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市川ユウキのPT運命再編調整録 
 

text by Ichikawa Yuuki


0.導入

「時間が無い中で、どうやって効率的に練習をするか」

今回はそれがテーマだったように思えます。
2月6日から2月8日までワシントンDCで3日間開催されましたプロツアー『運命再編』への調整録を綴ろうと思います。
よろしくお願いします。





1.プロツアー前のメタゲーム予想~禁止を受けて~



プロツアー前の禁止改定によって《時を越えた探索》、《宝船の巡航》、《出産の殻》が禁止になりました。






◇《時を越えた探索》、《宝船の巡航》
タルキール覇王譚からモダン環境で猛威を振るっていた《時を越えた探索》、《宝船の巡航》が禁止に。



《宝船の巡航》によって成り立っていた青赤《秘密を掘り下げる者》系デッキが環境から退場。
《時を越えた探索》によってBG系の手札破壊に耐性を持たせていた《風景の変容》デッキも一歩後退することに。





◇《出産の殻》




また、モダン環境発足時より一定の勢力を保ち続けていた《出産の殻》デッキも《出産の殻》の禁止によって勿論の事、環境から淘汰される事に。

この3枚のカードの禁止、ここから導き出されるものは、BG系デッキのメタゲーム的な立ち位置の上昇でした。




BG系デッキはモダン環境に於いて、長く環境のトップを走っていたデッキでしたが、《時を越えた探索》、《宝船の巡航》が参入して以来、厳しい戦いが続いていました。

《思考囲い》や《コジレックの審問》などの手札破壊呪文と、《突然の衰微》などの除去呪文を絡めて相手の選択肢を減らし、《タルモゴイフ》や《漁る軟泥》などの優秀なカードでゲームを決めるのが基本的なデッキの動きであるBG系。

これらは優秀な呪文ですが、1:1交換を繰り返すだけなので《時を越えた探索》、《宝船の巡航》によって簡単にアドバンテージを取り返されてしまうことを苦手としていたのです。

また、BG系は従来より《出産の殻》デッキを苦手としていました。
《コジレックの審問》では対処出来ず、基本的な除去を《突然の衰微》に頼っているBG系に取って、4マナの《出産の殻》は場に出てしまったら非常に対処し辛いパーマネントです。

また、《出産の殻》以外にも《復活の声》や、《台所の嫌がらせ屋》などの除去耐性のあるクリーチャー群はデッキの中心である《ヴェールのリリアナ》に非常に強く、対戦相手が《出産の殻》を引かずとも五分以上の勝負になってしまうほどに厳しいマッチアップでした。






それらのカード、デッキが環境から淘汰されること。
また、タルキール覇王譚から《包囲サイ》、運命再編から《黄金牙、タシグル》と言った強力なカード達が追加されたこと。
この2点からBG系、特にデッキパワーが一番高そうなアブザンが環境のトップに立つだろうと予想しました。






何も思いつかなかったので、考えないことにしました。






2.プロツアー前のメタゲーム予想~BG系の上昇を受けて~

アブザンが環境のトップと予想すると、2番手のポジションに着くのは何か。
私はこの時、”親和”を予想しました。



親和はその環境最速の展開力により、1:1交換を繰り返すことをコンセプトにしているBG系に取って、以前より苦手としているデッキタイプでした。

またBG系の中でもアブザンがトップメタで、アブザンがアブザン同型を睨むと《黄金牙、タシグル》や《大渦の脈動》などの汎用性のあるやや重めのカードが増えることも予測すると、その相性差はより顕著になります。




勿論サイド後はアブザン側も《石のような静寂》のようなキラーカードを投入するのですが、私がテストプレイしてみた感想としては、それでもそこまで相性差を覆せていないなと言う感想でした。

先手2ターン目に設置出来れば流石にかなりの効果を発揮しますが、メインボードを落としていると想定すると、後手のサイドボーディング後が必ず一本あります。

後手2ターン目に設置しても相手の展開が8割方終わっていることもあり、《未練ある魂》もセットで引いていないとそのまま盤面だけで、特に《ちらつき蛾の生息地》などのミシュラランドで押し込まれてしまうパターンが多かったです。


この事実から

『一番手はデッキパワーの高さからアブザン、次点はそれを倒す親和が一定数いるだろう。』


と考えました。







3.プロツアー前のメタゲーム予想~もう少し掘り下げる~

一番手がアブザン、次点が親和。
この二つに勝てて、他の有象無象なデッキ群にも勝てるようなデッキを思案する日々。
しかしそんなデッキが簡単に思いつくわけが無く。
両方とも総合的に強いから上位に食い込んでいるわけですから、当然の話。

余談ですが、前述した通り今回は仕事の関係からまとまった練習時間が殆ど取れず、PT毎にお世話になっている『菊名合宿』や、土日にどこかに集まって構築の練習!みたいなことは全く出来ず。
MagicOnlineや、一人回しで感触を確かめる日々でした。

そんな悶々と一人で孤独に、モダンを探求。
その中で3番手に置いたデッキは

『アブザン、親和、どちらかに勝てるがどちらかには勝てないコンボデッキ』

です。

抽象的な表現になってしまっていますが具体的には



◇アブザンには勝てるが、親和には勝てないコンボデッキ


(例)リビングエンド





◇親和には勝てるが、アブザンには勝てないコンボデッキ


(例)欠片の双子コンボ


などと言ったような感じ。
これらは当たり方によっては大勝もありますが、勿論逆に大負けする事もあり得ます。
例に挙げています欠片の双子コンボは、私自身去年のグランプリ神戸で使用した経緯もあり、テストプレイしてみましたがアブザンを前に挫折。




《未練ある魂》と《包囲サイ》によってテンポ型の構成はライフレースが出来ませんし、コンボ特化型も以前から引き続いて相性が悪く、それが良くなる帰来は特に無く。

ただ、これらのコンボデッキは永く使っていて習熟度の高いプレイヤーが多く、メタゲーム的にやや厳し目な立ち位置でもそれらを選択する傾向にあります。
ですので自分が選択を躊躇したコンボデッキ達も決して軽視出来ず、むしろそれらも打倒出来ないと上位には進出出来ないと考えました。


”アブザンや親和とも戦え、有象無象のコンボデッキ達にも有利に立てる”


そんなデッキが果たしてあるのか・・・いささか途方に暮れながら筆者が選択したデッキは・・・・!!


Ichikawa Yuuki 『Jund』
land
3 《黒割れの崖/Blackcleave Cliffs》
4 《怒り狂う山峡/Raging Ravine》
1 《黄昏のぬかるみ/Twilight Mire》
1 《森/Forest》
2 《沼/Swamp》
2 《草むした墓/Overgrown Tomb》
1 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
1 《血の墓所/Blood Crypt》
4 《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
2 《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
2 《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
1 《樹上の村/Treetop Village》

creature
4 《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
2 《闇の腹心/Dark Confidant》
2 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
2 《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
2 《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang》

spell
4 《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
2 《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》
4 《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》
4 《思考囲い/Thoughtseize》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
3 《突然の衰微/Abrupt Decay》
2 《終止/Terminate》
1 《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》

Sideboard
2 《古えの遺恨/Ancient Grudge》
4 《大爆発の魔道士/Fulminator Mage》
2 《ジャンドの魔除け/Jund Charm》
2 《殺戮遊戯/Slaughter Games》
2 《魂の裏切りの夜/Night of Souls' Betrayal》
1 《光と影の剣/Sword of Light and Shadow》
1 《原基の印章/Seal of Primordium》
1 《オリヴィア・ヴォルダーレン/Olivia Voldaren》


”アブザンや親和とも戦え、有象無象のコンボデッキ達にも有利に立てる”

をテーマにプロツアーに向けてデッキを調整、私が選んだデッキは『ジャンド』でした。





◇何故ジャンドなのか

◆アブザン嫌い!
BG系を使用するなら、なぜ一番デッキパワーの高いアブザンを選択しないのか?
勿論アブザンも試しました、しかしハッキリ言って肌に合いませんでした。
《未練ある魂》は勿論パワーカードですが、コンボデッキに細いクロックで無力ですし、《ヴェールのリリアナ》と併せて3マナ域が過多になるのが気になりました。

また《包囲サイ》は相手に使われると強い印象を受けましたが、自分で使うとやはり4マナのソーサリータイミングのカードは重いなーと言う感想。

BG系特有のソリッドな部分が無くなっていて、もっさりしたデッキだなーと、こんなのBGじゃない!!
と一人で夜中にキれる日々、《貴族の教主》入りも試しましたがやはりマナクリーチャーですので、引きムラを感じますし、ただでさえ手札破壊が大量に入っていてトップ勝負にそこまで強くないのに更にマナクリーチャーまで・・・と考えるととても食指が動かず。




◆親和に強い!
2番手に来ると予想した親和デッキ、これへの耐性はアブザンよりジャンドの方に軍配が上がります。


やはり伝統的1マナ除去である《稲妻》はビートダウンに滅法強く、また《古えの遺恨》は《石のような静寂》と比べると場面に影響されず、いつ引いても親和に強いカードです。




◆コンボに勿論強い!
これはアブザンもそうですが、BG系は基本的に有象無象のコンボに強いです。
またBG系を睨んで一定数いると考えていたリビングエンドデッキに対しても、ジャンドですと 《ジャンドの魔除け》や 《殺戮遊戯》など、対応出来るサイドカードを用意できるので、サイド後も含めるとリビングエンドデッキに対して有利が取れます。




◆アブザンを対策する=ジャンドの対策 では無い。
誰しもがアブザンが最多だと予想していると思われるプロツアー、どのデッキもアブザンを対策してくるでしょう。
しかし、それがジャンドの対策になるとは限りません。

例えば欠片の双子コンボ、メインボードはBG系への圧倒的な相性差からサイドボード後は3枚から4枚の《誘惑蒔き》を投入してくることが予想されます。

アブザンですと、1枚~4枚程度入っている《流刑への道》などの確定除去を引かなければ厳しい展開になってしまうのですが、ジャンドですとその確定除去の枠の上から《稲妻》も含まれるので、《誘惑蒔き》で負けてしまうゲームは格段に少なくなります。



このように、アブザンはメタられる側であるが、アブザンから少し外したジャンドを持ち込みことによって、デッキパワーをあまり落とさずにメタゲーム的に優位に立てるのでは無いかと考え、私はジャンドを持ち込むことに決めたのです。






5.各パーツの解説

◇クリーチャー枠



《タルモゴイフ》はどの場面でも安定して強く、ジャンドは早いターンからクロックを掛けたいのでやはり4枚。
《黄金牙、タシグル》は《タルモゴイフ》と《闇の腹心》の中間のようなカードです。

アブザンと比べると《包囲サイ》分、線が細くなってしまうので、《黄金牙、タシグル》を2枚程度入れてサイズ負けし辛いようにしています。
ただ、《闇の腹心》で捲ってしまうとそれはそれは大変なことになってしまうので、《闇の腹心》を2枚に減らし、《クルフィックスの狩猟者》を2枚投入。

《闇の腹心》と《クルフィックスの狩猟者》の比較ですが、相手がキルターンを早くしなければならないコンボデッキ、赤緑トロンや、リビングエンド、護符コンボなどでなければ《クルフィックスの狩猟者》に軍配が上がります。
また、Zooやマーフォークなど基本的に3/3程度のスペックでコンバットを仕掛けてくるデッキも多少なりともいるだろうと思い、ライフを持たせる意味合いから《闇の腹心》と散らすことにしました。




◇《紅蓮の達人チャンドラ》の採用



アブザンや、ロングゲームを挑んでくるトリココントロールなどへの耐性を考えて2枚採用。
対アブザンでは《未練ある魂》へのけん制や、アドバンテージ手段など、様々な役割を持ちます。

またアブザンは同型での速度を求めて《貴族の教主》を採用した形が主流になると予想。
そうであれば《稲妻》と《紅蓮の達人チャンドラ》を採用したジャンドで、5分からやや有利なマッチになるだろうと考えました。




◇《魂の裏切りの夜》の採用



サイドボードに2枚。このカードはアブザンの《未練ある魂》を封殺したり、感染デッキをゲームセットに追い込んだり、欠片の双子コンボが決まらなくなったり。
サイドボードではありますがユーティリティなカードと言えるでしょう、本戦で一番活躍したカードと言っても過言ではありません。

MagicOnlineで主に調整していましたが、感触は非常に良く、自分のプレイスタイルにも合っていることもあり、私は自信をもってプロツアーにこのジャンドを持ち込みました。






6.本戦

いよいよ本戦です、今回のプロツアーの目標は『10勝5敗以上でプロポイントを10点以上取る。』でした。
勿論プロツアーに出る以上、トップエイトを狙ってはいますが、それだけだとトップエイト戦線から脱落してしまった時に気持ちが切れてしまいます。
来期のプラチナレベル獲得を目指すと、ここでプロポイントを10点以上取れればグっと楽になる計算なので、石に齧りついてでもポイントが欲しい所です。






7.Day1/ドラフト

まずはドラフトから、ドラフトは練習の時の感想として

・初手レアからスタート→受けの広いピック
・初手レア以外のカードからスタート→受けの狭く決め打ち気味なピック

を意識しました。
この環境、初手級のレアカードが非常に多く、初手にレアが取れないことはハンデを背負った状態でのスタートと言っても差支えないでしょう。

それであればある程度リスクを取り、決め打ち気味に、具体的には2色のビートダウンをピックしよう、と言う方針が一つ。

参考:what we need -FRFドラフトクイックレビュー-
(happymtg.comより引用)

また、初手をレアからスタート出来た場合は逆に受けの広いピックを心掛けました。
8割近いプレイヤーがレアからスタートすると考えると、出たレアの色の偏りから、空く氏族や色が後半出てくる筈です。
それを享受する為に、自分の初手のレアを活かしながらも受けの広いピックを目指します、こちらは2色では無く、4色、多色土地の流れ方によっては5色だって厭いません。


つまり、簡単に言うと初手が非常に重要と言うことです、頼む・・・強力なレアカードよ初手に・・・・!!

と願った筆者の1stドラフトデッキはこちら

Day 1 Draft Deck

land
1《ジャングルのうろ穴/Jungle Hollow》
1《茨森の滝/Thornwood Falls》
1《陰鬱な僻地/Dismal Backwater》
2《花咲く砂地/Blossoming Sands》
4《森/Forest》
5《沼/Swamp》
1《島/Island》
3《平地/Plains》

creature
1《荒野の囁く者/Whisperer of the Wilds》
2《射手の胸壁/Archers' Parapet》
1《アイノクの先達/Ainok Guide》
1《ケルゥの吸血者/Kheru Bloodsucker》
2《グドゥルの嫌悪者/Abomination of Gudul》
1《長毛ロクソドン/Woolly Loxodon》
1《アブザンの鷹匠/Abzan Falconer》
1《アブザンの戦僧侶/Abzan Battle Priest》
1《囁きの森の精霊/Whisperwood Elemental》
1《血蠅の大群/Swarm of Bloodflies》

spell
3《消耗する負傷/Debilitating Injury》
1《アブザンの隆盛/Abzan Ascendancy》
1《薄暗がりへの消失/Douse in Gloom》
1《ラクシャーサの秘密/Rakshasa's Secret》
1《龍鱗の加護/Dragonscale Boon》
1《無残な競争/Grim Contest》
1《大蛇の儀式/Rite of the Serpent》
1《死の投下/Dead Drop》


こ・・・・これは!!!!




今回の1000枚枠の《囁きの森の精霊》!!!!
いやーカードは褒めるものだなー、と意味の分からない非ディジタルな事を考えながらピックは進行。
4手目で《荒野の囁く者》がピック出来たこともあって緑は確定、そのあとは《アイノクの先達》などをつまみつつも多色土地を取って受けを広く。
《無残な競争》が1周して来たことも受けてBG軸の多色デッキに出来たらなーと言ったところ。

そんなことを考えていたら2パック目、3パック目であれよあれよと流れてくるBG系のカード。
前環境から大好きな《射手の胸壁》が2枚、グッドコモンの《消耗する負傷》が3枚取れたりと完全に流れに乗れた恰好。
3-2で《アブザンの隆盛》も流れて来て、青絡みの土地を取っていたので《グドゥルの嫌悪者》2枚もタッチ出来て練習でも見たことがないような出来!


結果は勿論!

1R ジェスカイ ○○
2R マルドゥ ○○
3R ジェスカイ ○○

全て2-0の3-0。
当たったデッキがどれも緑絡みのデッキでは無く、《消耗する負傷》と《薄暗がりへの消失》がほぼ確定除去のような立ち回りをしてくれました、ラッキー。
《囁きの森の精霊》は勿論強く、これだけで取ったゲームがいくつもありました。流石の1000枚カードだ!!







8.Day1/構築ラウンド

1stドラフト3-0は私が今まで出場した5回のプロツアーで一度も無く、まさに快挙。
このまま流れに乗って初日を終わりたいところですが。

4R 《風景の変容》 ××
5R バーン ×○○
6R ジャンド ○○
7R アブザン ×○○
8R 緑白ビートタッチ黒 ××


構築は3勝2敗、トータル6勝2敗で初日を終了。
4ラウンド目の《風景の変容》は《大爆発の魔道士》をサイドに4枚、《殺戮遊戯》を2枚取っているので勝ちたかったのですが、3本目は相手のハンドが完璧で《コジレックの審問》→《闇の腹心》→《コジレックの審問》と動きながらも負け。

8ラウンド目はトップエイトにも残ったジェイコブウィルソン操る緑白ビートタッチ黒で、《萎れ葉のしもべ》を絡めたビートダウンに押し込まれてしまって敗北。




《コジレックの審問》で手札を除いたらこんなハンドでお互い思わず苦笑。


これだけ見ると不運な感じもしますが、5ラウンド目のバーンは正直絶望的なマッチアップで、サイドボードも全く取っていないので、当たってしまった時には眩暈がしたものですが、相手のサイドボーディングミスもあって勝ち。

また7ラウンド目のアブザンは《復活の声》、《台所の嫌がらせ屋》、勿論《未練ある魂》もあるよー。と、これでもかというBG同型ヘイトな構成でしたが《紅蓮の達人チャンドラ》、《魂の裏切りの夜》が活躍して勝利と、幸運なこともあったので文句は言えません。



9.Day2/ドラフト

初日を6勝2敗以上で折り返したのは実は今まで一回も無く、私の初日の最高成績です。
トップエイトに入るときはいつもDay2で連勝出来ることが多く、今回もそれが適用されるなら・・・?
とか淡い事を考えながら2ndドラフトです。
同卓にジョンフィンケルと、山本賢太郎と、豪華な卓。
ジョンフィンケルは私の下家だったこともあり着席した際に笑顔で英語で話しかけられたのですが、私の英語力では要領を得ず、うーむ、辛い。



Day 2 Draft Deck
land
1《遊牧民の前哨地/Nomad Outpost》
1《風に削られた岩山/Wind-Scarred Crag》
1《急流の崖/Swiftwater Cliffs》
6《山/Mountain》
5《平地/Plains》
4《島/Island》

creature
2《跳躍の達人/Leaping Master》
1《アブザンの鷹匠/Abzan Falconer》
1《砂草原ののけ者/Sandsteppe Outcast》
1《沸血の処罰者/Bloodfire Enforcers》
2《イフリートの武器熟練者/Efreet Weaponmaster》
1《沸血の処罰者/Bloodfire Enforcers》
1《灰雲のフェニックス/Ashcloud Phoenix》
1《不屈のダガタール/Daghatar the Adamant》
1《龍鱗隊の将軍/Dragonscale General》
2《隠道の神秘家/Mystic of the Hidden Way》
1《護法鱗のドラゴン/Wardscale Dragon》

spell
3《苦しめる声/Tormenting Voice》
1《抵抗の妙技/Feat of Resistance》
1《ジェスカイの魔除け/Jeskai Charm》
1《石弾の弾幕/Barrage of Boulders》
2《素早い蹴り/Swift Kick》

出来たデッキはこちら。



・・・・運命再編のレアが2枚もある!?(すっとぼけ)





そうなんです、初手《不屈のダガタール》からスタートしてホクホクしていたら上家からなんと《龍鱗隊の将軍》が!
上家は何を取ったんだろう・・・と思いながらもありがたくピック。

その後はあまり白が流れて来ず《不屈のダガタール》を取ったこともあり、アブザンにいけたらいいなとピックしていたらあまり緑と黒のカードも流れが良くなく、《素早い蹴り》などを取りながらだんだんとジェスカイ方向へ。

2パック目移行はジェスカイカラーのカードがどんどん流れてくる展開。
《イフリートの武器熟練者》は取りきれずに1枚流してしまった程でした。
3-1の《灰雲のフェニックス》はただただラッキー。

デッキは弱くはありませんが、2マナ域のクリーチャーが《跳躍の達人》2枚しかなく、またマナベースも9:7:5とやや脆弱。
3枚の《苦しめる声》で無理やり回しながら3枚のレアカードで勝てたら良いなと言った感じ。

気になる結果は、


9R 青赤(サイド後ティムール) ○○
10R アブザン ○○
11R アブザン ○○



まさかの1stドラフトに続き、全て2-0で3-0!
デッキは弱くはないが2-1スペックくらいかなと思っていた筆者的にはビックリ。
2枚しかない2マナ域をしっかり2ターン目に出せるゲームも多かったですし、相手の事故も多く運が良かったなーと言う感想。
因みに最終ラウンドの対戦相手が上家だったので



『《龍鱗隊の将軍》流して何取ったの?』

と聞いたら




『《光変化》だよ!』

って答えてくれました、道理で白流れてこないわけだ・・・。





10 Day2/構築ラウンド

ここまでの成績はトータルで9勝2敗!
残り4ラウンドを3勝1敗で切り抜ければ最終ラウンドをID出来てトップエイトに入れる算段、これは3度目のトップエイト、イったか!?!?

12R バーン ××
13R リビングエンド ○○
14R 白黒トークン ××
15R アブザン ××
16R ソウルシスターズ ○○



2勝3敗、トータル11勝5敗でトップエイト成らず!ギャー!!!


12ラウンド目の3ゲーム目、ゲームの勝敗に関わる致命的なミスをしてしまって負けてしまったことが全てだったような気がします。
せっかく相性最悪なマッチアップを取れた筈なのに、デッキに申し訳ない気持ちでいっぱいです。

13ラウンド目は相手のドローが終始芳しくなく勝利出来ましたが、14ラウンドの白黒トークンと15ラウンドのアブザンにはドローも燻ってしまい完敗を2連打。


トップエイトが見える位置から転げ落ちて見も心もボロボロですが、最終ラウンドを勝てれば目標としていた10点。と気持ちを切り替えソウルシスターズに勝利。

《紅蓮の達人チャンドラ》と《ジャンドの魔除け》、《魂の裏切りの夜》が活躍し、ジャンドを選択したことをやや後悔しながら臨んだ最終ラウンドでしたが、報われるような勝利に感動。



11.まとめ

終わってみればドラフトラウンド6-0。構築ラウンド5-5と、構築ラウンドで大きく躓いてしまい、トップエイトを逃す形になりました。

今回の誤算はバーンデッキが想像より遥かに多かったことです。

2日目モダンメタゲーム・ブレイクダウン
(プロツアー『運命再編』・イベント特設ページより引用)

バーンデッキは使用率がアブザンに次いで2番手と、私が親和が座すると考えていた位置に付いていました。
バーンは調整の過程で《秘密を掘り下げる者》デッキが退場したことから、ライフゲインなどのサイドカードを取ると、バーンデッキ専用になってしまうことから、想定から切った方がトータル的な勝率が上がると踏んでいました。
そこを漬け込む形で使用者が増えたと考えると、なるほどと納得してしまうばかりです。

また、これは当たり方もあったと思うのですが《欠片の双子》コンボなどのコンボデッキに殆ど当たらなかったのも成績が伸び悩んだ要因だと考えています。

ただ、結果だけで物事を捉え、それを基に反省をしていくとプレイヤーとしての軸がブレてしまいます。
ですので、今回は構築の惨敗を敢えて



『止む無し』



でまとめたいと思います、こういうことも、プロツアーに沢山出ていれば、あるでしょう。





前述した通り、11勝5敗は獲得プロポイントが10点。
プロツアー前までで20点保有していたので合わせて30点。
残り2回プロツアーがあって、出場するだけで3点が2回で計6点。
先ほどの30点と合わせると36点ですので来期のゴールドレベルが確定しました。
ゴールドレベル獲得は今期の最低条件だと思っていたので、達成出来て一安心です。

プラチナレベル獲得までは上乗せ12点と、まだまだ先の長い話ですが、モチベーションを保って何とか達成したいですね!





調整録、いかがでしたでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました、また次の機会にお会いしましょう。


市川



市川ユウキ
マスクスブロック時代よりMTGを始め、インベイジョンが入る頃に引退。
ミラディンの傷跡が発売した頃にMagic OnlineでMTGに復帰。
ほぼ同時期にニコニコ生放送にて"瀬畑"のハンドルネームでMagicOnline配信を開始。
その独特で軽妙な毒舌トークと、確かな実力から人気を博す。

配信者としてのキャリアを重ねると共に地道な努力を続け、2013年MOPTQを2期連続で突破。
更に日本レガシー選手権において前人未到の2連覇を果たし一気に国内においてブレイク。

そして2014年。『プロツアー・ニクスへの旅』『プロツアー・マジック2015』において、
2連続プロツアーTOP8入賞を果たし、プロ最高ランクであるプラチナレベルにまで上り詰める。
『プロツアー・マジック2015』において使用した《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を4枚投入した『ジャンド・プレインズウォーカー』デッキは世界のトッププレイヤー達から賞賛を受けるなど、デッキチューナーとしての評価も高まっている。

正に今、世界で最も注目を集めているプレイヤーだ。


主な戦績
・プロツアー・マジック2015 6位
・プロツアー・ニクスへの旅 4位
・グランプリ静岡2015 3位
・グランプリ神戸2014 7位
・The Last Sun 2013 ベスト8
・Eternal Festival Tokyo 2013  3位
・2013日本レガシー選手権(夏)優勝
・2013日本レガシー選手権(春)優勝
・世界選手権2014出場
市川ユウキ、BIGMAGICとプロスポンサー契約を締結!!

市川ユウキ「グランプリ静岡への参加レポート」 

市川ユウキの「これを1000枚買え!!!」
「タルキール覇王譚」編
「運命再編」編


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第1回 今までのおさらい
第2回 Rabble Red&ローグ特集
最終回 何故市川は勝てなかったのか

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