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市川ユウキのPTタルキール覇王譚調整録 
 
text by Yuuki Ichikawa


0.導入
アロハ!市川です。
と、言うことで10月10日から12日までホノルルで3日間開催されましたプロツアー『タルキール覇王譚』への調整録を綴ろうと思います。
よろしくお願いします。




1.プロツアー前のメタゲーム予想

今回のプロツアーはローテーション後のスタンダードと言うことで、今までのスタンダード環境とは使えるカードが激変します。
ですので本戦で使用されるメタデッキや、デッキの根幹となるベースなどは自分たちで発見するのは勿論、テーロスブロック構築のデッキや、プロツアー前のStarCityGamesなどを参考にすることになります。

◇ジェスカイテンポ

Jeskai Tempo
Kevin Jones
1st Place at StarCityGames.com Standard Open on 9/27/2014
24land
2 《島/Island》
3 《山/Mountain》
2 《平地/Plains》
3 《戦場の鍛冶場/Battlefield Forge》
2 《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
1 《神秘の僧院/Mystic Monastery》
3 《シヴの浅瀬/Shivan Reef》
4 《天啓の神殿/Temple of Epiphany》
4 《凱旋の神殿/Temple of Triumph》

11creature
4 《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》
4 《カマキリの乗り手/Mantis Rider》
3 《道の探求者/Seeker of the Way》

25spell
1 《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》
2 《龍語りのサルカン/Sarkhan, the Dragonspeaker》
2 《払拭の光/Banishing Light》
2 《時を越えた探索/Dig Through Time》
4 《ジェスカイの魔除け/Jeskai Charm》
4 《稲妻の一撃/Lightning Strike》
4 《マグマの噴流/Magma Jet》
2 《蒸気占い/Steam Augury》
4 《かき立てる炎/Stoke the Flames》
15sideboard
2 《灰雲のフェニックス/Ashcloud Phoenix》
3 《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
2 《マグマのしぶき/Magma Spray》
2 《否認/Negate》
1 《悟った達人、ナーセット/Narset, Enlightened Master》
1 《嵐の神、ケラノス/Keranos, God of Storms》
1 《龍語りのサルカン/Sarkhan, the Dragonspeaker》
2 《神々の憤怒/Anger of the Gods》
1 《啓蒙の神殿/Temple of Enlightenment》
環境一発目となる大規模な大会、StarCityGamesStandardOpenで見事優勝を飾ったのはジェスカイテンポでした。
ブロック構築の流れを汲みやすいスタンダードでは《クルフィックスの狩猟者》と《森の女人像》のラインのデッキが強力だろうという前評判を吹き飛ばし優勝、トップエイトに2人を送り込む活躍。





特に《道の探求者》を採用している点が素晴らしいの一言です。
筆者もそれまでにフルスポイラーが出てからプロキシでデッキを組んだりしていたのですが、ジェスカイカラーのデッキでは1、2マナ域の優秀なカードが探せず、断念していました。
《道の探求者》はまさにそれに適合するカードと言えるでしょう。

スペルに比重を置いているこのデッキではほぼ3/3ライフリンクとして常に運用することが出来ますし、これが除去されるのであれば、後続の《カマキリの乗り手》、《ゴブリンの熟練扇動者》などが盤面に残りやすくなります。

また、環境のカードを見渡してみると《破滅の刃》のような低いマナコストで上のマナ域のクリーチャーまで対応出来る幅広いクリーチャー除去が《岩への繋ぎ止め》しかありません。
《胆汁病》や《稲妻の一撃》などのカードは相手の構成によっては腐ってしまう、というジレンマを抱えることになるのですが、このデッキはコンセプト自体がバーンに寄っていますので、手札に余っている火力は本体に投げつけれて、非常に合理的な構成になっています。





◇アブザンミッドレンジ


Abzan Midrange
William Comminos
2nd Place at StarCityGames.com Standard Open on 9/27/2014
24land
3 《森/Forest》
3 《平地/Plains》
1 《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
1 《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
1 《マナの合流点/Mana Confluence》
4 《砂草原の城塞/Sandsteppe Citadel》
3 《疾病の神殿/Temple of Malady》
4 《静寂の神殿/Temple of Silence》
3 《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》

22creature
4 《羊毛鬣のライオン/Fleecemane Lion》
4 《包囲サイ/Siege Rhino》
4 《森の女人像/Sylvan Caryatid》
3 《風番いのロック/Wingmate Roc》
4 《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
3 《オレスコスの王、ブリマーズ/Brimaz, King of Oreskos》

14spell
4 《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun's Champion》
3 《アブザンの魔除け/Abzan Charm》
1 《胆汁病/Bile Blight》
4 《英雄の破滅/Hero's Downfall》
2 《完全なる終わり/Utter End》
15sideboard
1 《自然に帰れ/Back to Nature》
1 《胆汁病/Bile Blight》
1 《闇の裏切り/Dark Betrayal》
2 《先頭に立つもの、アナフェンザ/Anafenza, the Foremost》
1 《エレボスの鞭/Whip of Erebos》
1 《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》
4 《悲哀まみれ/Drown in Sorrow》
2 《異端の輝き/Glare of Heresy》
2 《思考囲い/Thoughtseize》
上記のジェスカイテンポが優勝したトーナメントと、同時日程で開催された他のStarCityGamesStandardOpenでは、ブロック構築を制したパトリックチャピンの緑白黒ミッドレンジを踏襲したアブザンミッドレンジが結果を残していました。

『《森の女人像》からマナレシオの高いクリーチャー群を連打する。』

ただそれだけではありますが、どうしてなかなか、だからこそデッキパワーの低いデッキ達を一蹴するパワーがあります。

《包囲サイ》は同時期に出て来た前記のジェスカイテンポに対して非常に有効的なカードです。
《かき立てる炎》では対処出来ず、《ジェスカイの魔除け》でライブラリートップに送ったとしても場に出ただけで6点分のライフレースを返されてしまうので、これをマナクリーチャー経由で3ターン目に出されるだけでジェスカイテンポ側は苦戦を強いられます。

また、このカラーリングはローテーション後とは思えないほどカードが豊富で、クリーチャーだったら《ラクシャーサの死与え》や《責め苦の伝令》、除去だと《払拭の光》や《胆汁病》などこのリストには採用されていませんが、選択肢が豊富にあります。





◇緑黒信心


G/B Devotion
Ross Merriam
4th Place at StarCityGames.com Standard Open on 9/27/2014
24land
12 《森/Forest》
4 《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
4 《疾病の神殿/Temple of Malady》
4 《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》

35creature
4 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4 《起源のハイドラ/Genesis Hydra》
2 《女王スズメバチ/Hornet Queen》
4 《森の女人像/Sylvan Caryatid》
4 《旅するサテュロス/Voyaging Satyr》
4 《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
4 《破滅喚起の巨人/Doomwake Giant》
4 《開花の幻霊/Eidolon of Blossoms》
4 《世界を喰らう者、ポルクラノス/Polukranos, World Eater》
1 《狩猟の神、ナイレア/Nylea, God of the Hunt》

1spell
1 《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》
15sideboard
2 《高木の巨人/Arbor Colossus》
4 《ナイレアの信奉者/Nylea's Disciple》
2 《再利用の賢者/Reclamation Sage》
2 《英雄の破滅/Hero's Downfall》
2 《セテッサ式戦術/Setessan Tactics》
1 《苦悶の神、ファリカ/Pharika, God of Affliction》
2 《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》
前環境に存在していた緑赤信心と、ブロック構築で活躍していた緑黒白星座デッキの合いの子のような形の緑黒信心も結果を残していました。
この環境での《女王スズメバチ》の制圧力は群を抜いていて、『出したら勝ち』は言い過ぎかもしれませんが、それほどまでに対処の難しいカードです。

ブロック構築時と同じ流れになりますが、それらや《太陽の勇者、エルズペス》に対応出来る《破滅喚起の巨人》をタッチすることはとても自然な成り行きでしょう、《開花の幻霊》とも良いシナジーですね。




これら三つのデッキがこの時期のトーナメントでは一番完成度が高く、環境でも群を抜いて高いカードパワーを持つ《カマキリの乗り手》、《包囲サイ》、《女王スズメバチ》を上手く用いれていたので、プロツアー本番も多勢はこれら三つになるだろうと予想していました。






2.各デッキの感触

今回も前回のプロツアー2015の時と同じように、渡辺雄也さん、山本賢太郎さん、井川良彦さんなどの関東で活動するプレイヤーと調整する運びとなりました。
また今回は関西から行弘賢さん、覚前輝也さんなどが調整のために上京して来ていたので、二人とも一緒に調整させてもらうことに。



◇緑黒信心

緑黒信心サンプルリスト
24land
24土地

32creature
4《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4《森の女人像/Sylvan Caryatid》
4《旅するサテュロス/Voyaging Satyr》
4《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
4《世界を喰らう者、ポルクラノス/Polukranos, World Eater》
4《開花の幻霊/Eidolon of Blossoms》
4《破滅喚起の巨人/Doomwake Giant》
4《女王スズメバチ/Hornet Queen》

4spell
4《書かれざるものの視認/See the Unwritten》

僕が調整会に持ち込んだのは緑黒信心でした。
一人回しをしている感じでは元のリストの《起源のハイドラ》が弱く感じられたので、それを減らして《書かれざるものの視認》を加えた形です。

テストプレイをした感想はとにかくジェスカイテンポとのマッチアップが厳しく、感触はよくありませんでした。
《女王スズメバチ》が間に合うようなゲーム展開の時のみ勝てるような感じで、それ以外は相手のクロックへの対処手段がメインボードだと全くないので、一方的なマッチアップになってしまいました。

そもそもこのデッキの信心要素がそこまで強く感じられない、と言う話になり、《開花の幻霊》を抜いて《包囲サイ》をタッチしたり、ある程度妨害要素を加えたりなどしてみたのですが、それでもジェスカイテンポへの相性は劇的に変わるわけでは無く、プロツアーではジェスカイテンポが一番多いだろうと調整チーム内では予想されていたので、緑信心は早い段階で選択肢から外れる形になりました。





◇赤白兵士
プロツアー本戦で井川良彦さんが使用し、見事10位に入賞した赤白兵士はこの時点で8割方組み上がっていました。

Yoshihiko Ikawa
プロツアー『タルキール覇王譚』スタンダード成績優秀者
21land
7 《平地/Plains》
4 《戦場の鍛冶場/Battlefield Forge》
4 《マナの合流点/Mana Confluence》
4 《凱旋の神殿/Temple of Triumph》
2 《山/Mountain》

15creature
4 《アクロスの十字軍/Akroan Crusader》
4 《恩寵の重装歩兵/Favored Hoplite》
4 《ブリマーズの先兵/Vanguard of Brimaz》
3 《密集軍の指揮者/Phalanx Leader》

24spell
4 《果敢な一撃/Defiant Strike》
4 《ドラゴンのマントル/Dragon Mantle》
4 《船団の出航/Launch the Fleet》
3 《神々の思し召し/Gods Willing》
1 《アジャニの存在/Ajani's Presence》
4 《急報/Raise the Alarm》
4 《ウルドのオベリスク/Obelisk of Urd》
15sideboard
1 《アジャニの存在/Ajani's Presence》
2 《停止の場/Suspension Field》
1 《異端の輝き/Glare of Heresy》
4 《オレスコスの王、ブリマーズ/Brimaz, King of Oreskos》
3 《貪る光/Devouring Light》
2 《黎明運びの戦車兵/Dawnbringer Charioteers》
2 《鍛冶の神、パーフォロス/Purphoros, God of the Forge》


ブロック構築時のスタニスラフ・ツィフカが使用していた赤白英雄から着想を得たデッキで、それに新たに《ウルドのオベリスク》が入っています。

《アクロスの十字軍》や《ブリマーズの先兵》を英雄的することなどによってトークンをばら蒔き、《密集軍の指揮者》や《ウルドのオベリスク》で全体強化してビートダウンすることがデッキのコンセプトです。

このデッキはプロツアー前まで日の目を浴びていなかったので、ローグデッキとして所謂『わからん殺し』も期待出来ますし、デッキ単体で見ても環境で1、2を争う爆発力があります。

フルスポイラーが出た当初から井川さんと渡辺さんが熱心に調整していて、その完成度の高さから私も何度も使用を考えたのですが、このようなアーキタイプに自分が不慣れなこと、《悲哀まみれ》、《神々の憤怒》などの全体除去への脆さなどが気になり使用を見送ることに。

また、緑系のデッキ二つ”緑信心”、”アブザンミッドレンジ”に対してのマッチアップ相性はとても良かったのですが、これもジェスカイテンポへの相性はあまり良くなく、そこも私に二の足を踏ませていました。





◇アブザンミッドレンジ



ジェスカイテンポのクロックにインスタントタイミングで対応出来、また、アブザンミッドレンジが苦手としている《女王スズメバチ》に対応出来る《胆汁病》は環境でもかなり強い除去だろうと判断した筆者は、《胆汁病》を入れたアブザンを組もうと考えていました。

ただ、2マナ以下のクリーチャーの中で《森の女人像》と比肩する《羊毛鬣のライオン》もアブザンミッドレンジには不可欠なカードで、これらを両立するマナベースを組み上げるのは非常に困難です。

2ターン目にBBとGWが要求されるデッキ・・・そんなものあって良いのか・・・・。
と、プロツアー前の週に行われるグランプリ上海への道のりで山本さん、井川さんと色々思案した結果・・・!!

アブザンミッドレンジサンプルリスト
24land
4《マナの合流点/Mana Confluence》
4《砂草原の城塞/Sandsteppe Citadel》
4《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
3《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
2《森/Forest》
1《平地/Plains》
4《静寂の神殿/Temple of Silence》
2《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》

24creature
4《森の女人像/Sylvan Caryatid》
4《羊毛鬣のライオン/Fleecemane Lion》
4《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
4《オレスコスの王、ブリマーズ/Brimaz, King of Oreskos》
4《包囲サイ/Siege Rhino》
4《風番いのロック/Wingmate Roc》

12spell
4《胆汁病/Bile Blight》
4《払拭の光/Banishing Light》
4《アブザンの魔除け/Abzan Charm》



3色出るランドを8枚投入することによって2ターン目BBとGWを共存させつつ、なんと3ターン目にWW、GGも要求するなんとも欲張りなアブザンミッドレンジを作成。

《マナの合流点》4枚なんて、悪ふざけのようにしか見えませんが(実際飛行機の乗り継ぎで考えた悪ふざけですが)、《砂草原の城塞》によって《マナの合流点》を置くターンを遅く出来たり、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》でダメージを食らわないように出来たりと、想像していたよりもランドから食らうダメージ量が少ないことが判明しました。

これはとうとうソリューションが出来たか!!
と興奮していましたが、これでGP上海二日目のスーパーサンデーシリーズに出場した山本さんの反応は冷ややかなものでした。
確かにマナベース上ではクリアしていますが、やはり事故はつきもので、もたついている間に有利なジェスカイテンポに負けてしまったり。
また、使用しているカード達は至って普通なものなので、アブザンミッドレンジ同型でもマナベースを無理しているにも関わらずそこまで他を出し抜いていないことが判明。


これにて山本さん曰く『とりえなし』の烙印を押されてしまった私の夢のアブザンミッドレンジ、これも没になりました。


これはプロツアー一週間前のグランプリ上海での出来事なので、プロツアーまでもう一週間も準備期間はありません。


いよいよ、使うデッキを決めなければ・・・と考えた筆者が選んだデッキは・・・・!!






3.使用したデッキの解説

市川ユウキ
プロツアー使用デッキリスト
25land
3《神秘の僧院/Mystic Monastery》
4《凱旋の神殿/Temple of Triumph》
1《天啓の神殿/Temple of Epiphany》
3《戦場の鍛冶場/Battlefield Forge》
3《シヴの浅瀬/Shivan Reef》
4《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
2《島/Island》
3《平地/Plains》
2《山/Mountain》

14creature
4《道の探求者/Seeker of the Way》
4《カマキリの乗り手/Mantis Rider》
4《オレスコスの王、ブリマーズ/Brimaz, King of Oreskos》
2《灰雲のフェニックス/Ashcloud Phoenix》

21spell
4《稲妻の一撃/Lightning Strike》
4《マグマの噴流/Magma Jet》
4《払拭の光/Banishing Light》
4《かき立てる炎/Stoke the Flames》
3《龍語りのサルカン/Sarkhan, the Dragonspeaker》
2《時を越えた探索/Dig Through Time》
15sideboard
2《予知するスフィンクス/Prognostic Sphinx》
2《マグマのしぶき/Magma Spray》
2《停止の場/Suspension Field》
3《対立の終結/End Hostilities》
1《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun's Champion》
3《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
2《神々の憤怒/Anger of the Gods》
『ジェスカイテンポに勝てるデッキでプロツアーに出たい』

と考え続けた筆者でしたが、明確にジェスカイテンポに有利なデッキを作れなかったので、『ジェスカイに強いジェスカイ』をコンセプトにデッキを構成しました。


以下が各カードの解説になります。


・《オレスコスの王、ブリマーズ》が4枚
ジェスカイ同型では《稲妻の一撃》や《マグマの噴流》では対処出来ない安定したクロック。
他のマッチアップでも《ゴブリンの熟練扇動者》と比較して、特に後手での安定感が違ったので、《オレスコスの王、ブリマーズ》をメインアタッカーに据えた構成にしました。


・《ジェスカイの魔除け》の非採用、《払拭の光》を4枚フル投入。

アブザンミッドレンジや緑信心の《包囲サイ》、《世界を喰らう者、ポルクラノス》などにしっかり対応出来るように《払拭の光》を4枚採用することにしました。


・サイドボード後は《対立の終結》などを入れて、ミッドレンジ然としてゲームを
また、通常のゲーム展開だとどうにもアブザンミッドレンジに勝てなかったことから、サイド後は《対立の終結》などの盤面を返せるカードを投入して、よりミッドレンジ然としたゲーム展開を目指すことに。


その他《灰雲のフェニックス》など、アタッカーを《オレスコスの王、ブリマーズ》に変えたことにより、他のパーツも必然的にロングゲームを見据えたカードチョイスになります。






4.結果とまとめ

Day1

1stドラフト

1R ××
2R ××
3R

構築

4R 緑黒信心
5R シディシウィップ
6R アブザンミッドレンジ
7R ジェスカイテンポ ××
8R マルドゥミッドレンジ ××


Day2

2ndドラフト

9R ××
10R
11R ××

構築
12R 青黒コントロール ×
13R シディシウィップ ××



と、二日間合わせてドラフトラウンド2勝4敗、構築ラウンド4勝3敗、トータル6勝7敗となってしまい、プロポイント、賞金どちらでも上乗せが出来ないラインになってしまったのでドロップ。
直近2回のプロツアーの結果から考えるとふがいない結果に終わってしまいました。


まず目に付くのはドラフトラウンドの弱さ。
ドラフト自体、あまり得意ではない部類でプロツアー参加者の中では平均より下だと考えているので、今回のタルキール覇王譚ドラフトのような『地力が出る』環境でその弱さが浮き彫りになってしまったようです。

これは根本的な問題なのでとにかく試行回数を重ねたり、もっと上手いプレイヤーに意見を求めるなどして地力を上げなけれなならないなと言うのが今回のドラフトでの感想でした。
ちょっと今までが上手く行き過ぎていましたね。

構築ラウンドに関しては途中でドロップしてしまったので結果をあまり加味せずまとめるのですが、今回のデッキは”失敗”だったと思います。


ジェスカイテンポをミッドレンジな方向性に伸ばしていく構築は良い選択ではありませんでした。

そもそもジェスカイテンポは2マナや3マナの終盤になると弱いクリーチャーや、火力などが大量に入っているデッキなので、相手が手札を使い切る前に倒すことがデッキのコンセプトでしょう。

そのコンセプトを壊す構築をしてしまったような気がします。
ですので、相手の除去を《神々の思し召し》でかわしてテンポを取ったり、非クリーチャースペルをオフェンシブなカードのみで構成している渡辺さんのジェスカイテンポはデッキの長所を伸ばす見事な構築だった言えるでしょう。
渡辺 雄也
プロツアー『タルキール覇王譚』 トップ8
24land
2 《島/Island》
3 《山/Mountain》
2 《平地/Plains》
3 《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
3 《シヴの浅瀬/Shivan Reef》
4 《神秘の僧院/Mystic Monastery》
3 《戦場の鍛冶場/Battlefield Forge》
4 《凱旋の神殿/Temple of Triumph》

15creature
4 《道の探求者/Seeker of the Way》
4 《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》
4 《カマキリの乗り手/Mantis Rider》
3 《オレスコスの王、ブリマーズ/Brimaz, King of Oreskos》

21spell
2 《神々の思し召し/Gods Willing》
4 《稲妻の一撃/Lightning Strike》
4 《マグマの噴流/Magma Jet》
4 《ジェスカイの魔除け/Jeskai Charm》
4 《かき立てる炎/Stoke the Flames》
3 《龍語りのサルカン/Sarkhan, the Dragonspeaker》
15sideboard
2 《予知するスフィンクス/Prognostic Sphinx》
3 《マグマのしぶき/Magma Spray》
1 《神々の思し召し/Gods Willing》
4 《停止の場/Suspension Field》
3 《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
1 《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》
1 《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun's Champion》

『おめでとう、渡辺雄也!』


デッキを構築する上で、そのデッキの弱点を考え改善するのは最もですが、それによって長所を失わせてはならない。と、プロツアーの対戦中にぼんやりと感じていました。
次のプロツアーは同じ轍は踏まないようにしたいですね!






5.最後に宣伝

と、言うことでドラフトも構築もダメダメな結果に終わってしまいました。

次は悔いの無いように今までよりも準備期間を設けて、納得のいく構築やドラフトを目指したいものです。

しかし悔しい!この反省を活かせる場は無いものか!!!!



http://www.bigmagic.net/bmo.html


と、言うことで今週末に行われるBIGMAGICOPEN、筆者も参加します。(宣伝)
26日日曜日に行われるスタンダードは勿論、25日土曜日に行われるレガシーにも参加します。(宣伝)
最後まで読んで頂きありがとうございました、反省の鬼と化した市川と、次はBMOでお会いしましょう!!(宣伝)

市川ユウキ
マスクスブロック時代よりMTGを始め、インベイジョンが入る頃に引退。
ミラディンの傷跡が発売した頃にMagic OnlineでMTGに復帰。
ほぼ同時期にニコニコ生放送にて"瀬畑"のハンドルネームでMagicOnline配信を開始。
その独特で軽妙な毒舌トークと、確かな実力から人気を博す。

配信者としてのキャリアを重ねると共に地道な努力を続け、2013年MOPTQを2期連続で突破。
更に日本レガシー選手権において前人未到の2連覇を果たし一気に国内においてブレイク。

そして2014年。『プロツアー・ニクスへの旅』『プロツアー・マジック2015』において、
2連続プロツアーTOP8入賞を果たし、プロ最高ランクであるプラチナレベルにまで上り詰める。
『プロツアー・マジック2015』において使用した《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を4枚投入した『ジャンド・プレインズウォーカー』デッキは世界のトッププレイヤー達から賞賛を受けるなど、デッキチューナーとしての評価も高まっている。

正に今、世界で最も注目を集めているプレイヤーだ。


主な戦績
・プロツアー・マジック2015 6位
・プロツアー・ニクスへの旅 4位
・グランプリ神戸2014 7位
・The Last Sun 2013 ベスト8
・Eternal Festival Tokyo 2013  3位
・2013日本レガシー選手権(夏)優勝
・2013日本レガシー選手権(春)優勝

市川ユウキ(瀬畑太郎)
「瀬畑太郎の紙とMOのあいだ」

第1回
第2回
第3回

特別企画「新環境でつかまえて」

”プロツアーニクスへの旅”に向けての調整録

市川ユウキのGP神戸調整録

市川ユウキ日本代表への道
第1回 今までのおさらい
第2回 Rabble Red&ローグ特集
最終回 何故市川は勝てなかったのか

市川ユウキの「これを1000枚買え!!!」
タルキール覇王譚編


 
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