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「瀬畑太郎の紙とMOのあいだ」第2回 
 
第2回

ある朝、瀬畑太郎が不安な夢からふと覚めてみると、
ベッドの中で自分の出場大会がレガシーの、
選手権に変わってしまっているのに気がついた。(夏)後編

text by Sebata Tarou


前回の記事の続きです



4.シングルエリミネーション



QF ダークマーヴェリック ○×○



 従来のマーヴェリックに《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》をタッチした形。

 構成に依りますが《突然の衰微/Abrupt Decay》や《思考囲い/Thoughtseize》などをタッチしているのもありますね。



 1G目は《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》と《漁る軟泥/Scavenging Ooze》を2枚の《呪文嵌め/Spell Snare》でカウンター。

 《Maze of Ith》などによる妨害などもありましたが、《剣を鍬に/Swords to Plowshares》などの除去呪文は打たれず、《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》2体と《タルモゴイフ/Tarmogoyf》で押し切って勝利。


 2G目はこちらが序盤にクロックを用意出来ず、相手の《目くらまし/Daze》をケアしながらの《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》が着地してしまい、敗北。


 3G目は相手が《森/Forest 》、《不毛の大地/Wasteland》でマナベースが止まっていることから《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》を《水没/Submerge》で押し戻しながら《タルモゴイフ/Tarmogoyf》、《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》でビート。

 このまま押し切れるか、と思いましたが相手が白マナを引き込んでの《流刑への道/Path to Exile》、《剣を鍬に/Swords to Plowshares》で《タルモゴイフ/Tarmogoyf》は除外され、ゲームは終盤へ。



4-1. 議論




 《剣を鍬に/Swords to Plowshares》で《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を除外されてしまってこちらの盤面にはスレッショルドを達成した《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》、《Volcanic Island》、《Tropical Island》、相手の盤面には《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》、《森/Forest》、《平地/Plains》、《Savannah》、私のライフは23、相手のライフは6。

 《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》でアタック→相手は《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》でチャンプブロック。

 こちらのハンドには《真髄の針/Pithing Needle》とフェッチランドが1枚。

 相手はハンドを2枚有していて、先ほどまで土地が詰まっていたので何かしらのスペルであることは間違い無いでしょう。


 ここで私は2つの選択肢で悩みました。

■1つは《真髄の針/Pithing Needle》を《漁る軟泥/Scavenging Ooze》を指定、設置してエンド。

■2つ目はこのまま何もせずにターンエンド。


貴方ならどうしますか?







 前者は相手が《漁る軟泥/Scavenging Ooze》をハンドに溜めていた場合、かなり勝利に近づきます。

 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》を一度も起動させない訳ですから、3/3の《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》に対して2/2の《漁る軟泥/Scavenging Ooze》はブロッカーとしての意味を為さず、このままダメージが通り続けるからです。



 後者は相手が溜めているカードが《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》だった場合にゲームを静止させることが出来ます。《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》が起動を始めてしまうとこちらの場にある土地が相手の《不毛の大地/Wasteland》に依って破壊されてしまい、事実上対戦相手のライフを6、削りきることが不可能になってしまうからです。

 《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》が出てきたとしても、《不毛の大地/Wasteland》さえ起動を止めてしまえばゲームは静止した状態になり、相手のライフを削りきる可能性のあるカード(2枚の《稲妻/Lightning Bolt》や《硫黄の渦/Sulfuric Vortex》など)を引き込むまでの時間を《真髄の針/Pithing Needle》は与えてくれます。



 こう見ると後者の方が正しいプレイのようにも見えますが、後者を選択し、相手に《漁る軟泥/Scavenging Ooze》をプレイされてしまうと、《漁る軟泥/Scavenging Ooze》をその後のドローで処理できたとしても、相手のライフは7より上となり、《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》のアタックでのキルターンが1T遅れてしまう計算となります。

 また除去することが叶わず、《真髄の針/Pithing Needle》で《漁る軟泥/Scavenging Ooze》を指定したとしても相手のサイズは3/3ないし、4/4。

 こちらの唯一のクロックである《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》のダメージが通らなくなってしまいます。

 ダークマーヴェリックの方がカナスレより長期的なゲームになった時に強いカードが入っているので、ここで選択ミスから起こる足止めはこちらに大きく不利となるでしょう。




 私は悩みに悩んで、受けの広さから後者を選択しましたが、どちらが正しかったかは今でもわかりません。





4-2. 続き



 前記にもある通り、何もせずにターンを相手に返しました。

 次のターン、相手は《Karakas》セットランドからの《漁る軟泥/Scavenging Ooze》、《ルーンの母/Mother of Runes》・・・・!!!

 見事に賭けに負けた形、最悪です。

 返しに《真髄の針/Pithing Needle》で刺そうにも墓地のクリーチャーを食べて3/3ですし、《ルーンの母/Mother of Runes》もいるので《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》はこのターンの相打ちを強いられます。

 さっき《真髄の針/Pithing Needle》で指定しておけば・・・・と後悔の念を唱えながらのドローは・・・《水没/Submerge》!!

 ひとまず《水没/Submerge》で《漁る軟泥/Scavenging Ooze》をライブラリートップに戻しながら《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》でアタック。

 《ルーンの母/Mother of Runes》の召喚酔いが解けてしまうのは厳しいですが、仕様が無いことでしょう。

 相手が《漁る軟泥/Scavenging Ooze》を再展開してターンをもらうとこちらのトップは・・・《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》!!

 刹那によって《ルーンの母/Mother of Runes》の起動も許さず墓地へ直下、そのまま殴りきって勝利となりました。

 ミスプレイをトップが解決、あまり喜ばしい勝ち方では無いですが、辛くもSFに進出。








Side board

In

1《漁る軟泥/Scavenging Ooze》

1《二股の稲妻/Forked Bolt》

1《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》

2《硫黄の渦/Sulfuric Vortex》

3《水没/Submerge》

1《真髄の針/Pithing Needle》

1《古えの遺恨/Ancient Grudge》



Out

4《もみ消し/Stifle》

1《目くらまし/Daze》

2《呪文貫き/Spell Pierce》

1《Force of Will》

2《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》



 《もみ消し/Stifle》は《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》以外に対象が乏しいのでサイドアウトします。

 《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》も相手のクリーチャーの基本サイズが大きいのであまり有効的なカードではありません。

 マーヴェリックのキャストしてくるスペルは対処できなかったら負けに直結するスペルが多く、ゲームをコントロール仕切れません。

 クロックを序盤に出し、《水没/Submerge》などでテンポを取って、《硫黄の渦/Sulfuric Vortex》などで相手に重たいところをキャストされる前にゲームを決めるのが理想です。





Semi Final カナディアンスレッショルド ×○○



 1G目は対戦相手が後手2T目から3T連続でキャストしてきた《タルモゴイフ/Tarmogoyf》が全て通ってしまって為すすべなく惨敗。


 2G目は相手ワンマリガン、こちらの《不毛の大地/Wasteland》でのランデスから数ターン復帰出来ずに勝ち。


 3G目はこちらが1ランドの初手でしたが《思案/Ponder》、《渦まく知識/Brainstorm》などのドローソースがハンドにあることからキープ。

 後手1ターン目《思案/Ponder》で土地を探すもトップに無く、シャッフル後のドローもスペル・・・。

 返しに相手は《不毛の大地/Wasteland》でこちらの《Tropical Island》を破壊!

 これは負けたかーと思いながらドローしたらなんと2連続土地!

 その後は相手がワンマリガンであまり有効牌を持ってなかったこともあり、その勢いのまま勝利。

 またもトップに助けられるゲームでした。




サイドボードは前述した同型戦と同じです。





Final オムニテル ○○



 1G目はお互いにワンマリガンですが、対戦相手の後手1T目の《思案/Ponder》を《呪文貫き/Spell Pierce》でカウンター。

 その後相手の土地が1枚から中々伸びず、その間に《タルモゴイフ/Tarmogoyf》でダメージを重ねます。

 数ターン後に《裏切り者の都/City of Traitors》をセットから《実物提示教育/Show and Tell》をキャスト→《目くらまし/Daze》→《Force of Will》→《Force of Will》 とカウンター合戦を乗り切りなんとか勝利。


 2G目は相手の先手1Tの《島/Island》、《水蓮の花びら/Lotus Petal》→《防御の光網/Defense Grid》を運よく持っていた《Force of Will》でカウンター。

 相手がワンマリガンからの1T目の動きだったこともあり、相手はリソース不足に苦しんでいる模様。

 1G目と同様に相手のドローソースをカウンターして土地を伸ばさせず、スレッショルドした《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》2体で殴りきって勝利しました。



Side board

In

2《赤霊破/Red Elemental Blast》

1《狼狽の嵐/Flusterstorm》



Out

1《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》

2《二股の稲妻/Forked Bolt》





 SnTなどと違って、サイドボードのカードがあまり刺さりません。

 《もみ消し/Stifle》はフェッチランドくらいにしか打つ対象が無く、不要牌も多く残ってしまいます。

 しかし、オムニテルはコンボデッキの中では比較的遅い部類のデッキです。

 相手がコンボパーツを揃えている間にさっさと殴りきるか、《渦まく知識/Brainstorm》とフェッチランドでこちらの不要牌を有効牌に変えましょう。









5. 終わりに



 終わってみればID除けばあれよあれよの9連勝で優勝でした。

 GP本戦で勝てないのは競技プレイヤーを自称する以上、由々しき問題ではありますが、200〜300人規模での同フォーマットでの大会で二連覇出来たことに関しては、素直に自分を褒めたいところです。




 カナディアンスレッショルドは一見するとレガシーフォーマットに於いてはカードパワーが低いカードが多かったり、カウンタースペルが多いので難しいデッキなのでは無いかと思われがちです。

 ですが、そんなことは全然ありません。


■トップが何だったらゲームに勝てるからこう動こう

(ドローソースが多いのでこの考え方は非常に重要です)

 ドローソースを打つのに《Volcanic Island》、《Tropical Island》どちらを寝かそうか(《稲妻/Lightning Bolt》を引いて、すぐ打ちたいなら・・・?
《敏捷なマングース/Nimble Mongoose》をこのターンに出したい相手だったら・・・?)とか、このターンに《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》を裏返せば1ターン早く勝てるから誘発にスタックして《渦まく知識/Brainstorm》を打とう!


などのように、キルターンの設定(ライフレース)が重要なデッキです。


 これらはレガシーだけではなく、スタンダード、モダン、リミテッドなどでも蓄えられる知識ですし、レガシーを専門にプレイしていなくてもカナディアンスレッショルドは扱えると思います。


 ちょっと買ってみて遊んでみてください!・・・・と言うには正直手が出し辛いお値段ですので、レガシーをやっている友達に借りてみたり、プロキシでスタンダードをやっている仲間同士で始めてみるのをお薦めします。


 今のスタンダードには無い、古き良きクロックパーミッションを楽しめると思いますよ!!






 さて、いかがだったでしょうか?

 駆け足ではありましたが、前回大会からのデッキ調整、レガシー選手権2013-夏-への参加レポート、それに付随するゲームプラン、サイドプランなどを提示させて頂きました。

 こちらの記事がカナディアンスレッショルドを愛する方へのアドバイスや、逆にこのデッキを憎む方へのアドバイス、もしくはレガシーフォーマットを知らない方への興味の一端になったとしたら幸いです。


 それでは、またの機会にお会いしましょう。



瀬畑太郎


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