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市川ユウキ日本代表への道 第1回今までのおさらい 
 
text by Yuuki Ichikawa


0.導入

ご無沙汰しておりません、市川です。
今回はWMCQ名古屋に向けてスタンダード環境をおさらいしていきたいと思います、よろしくお願いします。






1.プロツアー『マジック2015』

■大本命”黒単信心”の陥落、黒白ミッドレンジの登場


プロツアー『マジック2015』前は
「《群れネズミ》を禁止にしろ!」
「次のプロツアーは黒単信心選手権」


などと環境を席巻してしまうのでは無いかと心配された大本命の黒単信心。
ですが、蓋を開けてみたら何とトップ8には0!!

やはり黒単信心に勝てないデッキは持ち込まないのがプロプレイヤーと言ったところでしょうか、その中で黒単信心ではありませんが、《思考囲い》、《群れネズミ》、《冒涜の悪魔》と言った黒単信心のキーカード達を踏襲した”黒白ミッドレンジ”がそのお株を奪い、トップ8に複数入っていました。
William Jensen
プロツアー『マジック2015』トップ8
26land
8 《沼/Swamp》
1 《平地/Plains》
4 《神無き祭殿/Godless Shrine》
4 《静寂の神殿/Temple of Silence》
4 《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
4 《変わり谷/Mutavault》

14creature
4 《群れネズミ/Pack Rat》
3 《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》
3 《冒涜の悪魔/Desecration Demon》
3 《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa》
1 《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council》

20spell
4 《思考囲い/Thoughtseize》
3 《胆汁病/Bile Blight》
2 《肉貪り/Devour Flesh》
1 《究極の価格/Ultimate Price》
3 《英雄の破滅/Hero's Downfall》
3 《地下世界の人脈/Underworld Connections》
2 《払拭の光/Banishing Light》
2 《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun's Champion》
15sideboard
1 《罪の収集者/Sin Collector》
1 《死者の神、エレボス/Erebos, God of the Dead》
3 《強迫/Duress》
3 《破滅の刃/Doom Blade》
2 《神討ち/Deicide》
2 《今わの際/Last Breath》
2 《悲哀まみれ/Drown in Sorrow》
1 《地下世界の人脈/Underworld Connections》
チャネルファイアーボール”万神殿”が持ち込んだこのデッキは環境で2トップと思われた黒単信心、青白コントロールに強い構成となっています。



《ヴィズコーパの血男爵》は黒単信心、青白コントロールに強いカードで、特に黒単信心には『出したら勝ち』と言っても差支えが無いくらいのキラーカードです。

他にも《幽霊議員オブゼダート》や《太陽の勇者、エルズペス》など、環境屈指のパワーカードを搭載し、ロングゲームでも強い構成となっています。

上記にも書きましたが《思考囲い》から《群れネズミ》のような黒単信心の強みと思われる動き方も健在です。
これらはマジック2015で新しく加入した《コイロスの洞窟》、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》が可能とさせています。




そんなイイとこ取りの黒白ミッドレンジですが、勿論弱点はあります。
ズバリ、今まで上げて来た長所が弱点です。

え?って感じですが、本当です。《ヴィズコーパの血男爵》は場に残った時はライフレースに多大な影響を与えますが、除去されてしまうと本当に何も残しません。

《アスフォデルの灰色商人》はライフゲインに即効性があるため、ライフを攻めてくるビートダウン系、赤白バーンなどにはこちらの方が軍配が上がります。
また少数ながらも手に溜まりやすい白いクリーチャーを採用していることから、《生命散らしのゾンビ》に弱いことも見逃せません。

黒単信心か黒白ミッドレンジ、どちらかを選択する際にはメタゲーム的にどちらの方が強いかを良く吟味して選択しましょう。



※ワンポイントアドバイス


プロツアー前と比べてRabble Redのような早いデッキやジャンドプレインズウォーカーズのようなボードコントロールに重きを置いているデッキが増えてきました。
黒白ミッドレンジの《地下世界の人脈》は《アスフォデルの灰色商人》が入っていない為信心を溜めることに意味がありません。
上記のようなデッキが多いのであれば即効性があり、早く上のマナ域のカードに到達出来る《骨読み》の採用も検討してみても良いかも知れません。




■プロツアーの覇者は青白コントロール!が、その構成は非常に独特

プロツアー『マジック2015』を制したのは黒単信心に続いて2番手と予想されていた青白コントロールでした。

Ivan Floch
プロツアー『マジック2015』優勝
26land
6 《島/Island》
6 《平地/Plains》
4 《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
4 《啓蒙の神殿/Temple of Enlightenment》
2 《アゾリウスのギルド門/Azorius Guildgate》
1 《天啓の神殿/Temple of Epiphany》
1 《凱旋の神殿/Temple of Triumph》
2 《変わり谷/Mutavault》

34spell
4 《急かし/Quicken》
1 《不死の霊薬/Elixir of Immortality》
4 《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm》
2 《今わの際/Last Breath》
4 《解消/Dissolve》
3 《予言/Divination》
4 《至高の評決/Supreme Verdict》
2 《中略/Syncopate》
4 《スフィンクスの啓示/Sphinx's Revelation》
3 《次元の浄化/Planar Cleansing》
3 《思考を築く者、ジェイス/Jace, Architect of Thought》
15sideboard
4 《ニクス毛の雄羊/Nyx-Fleece Ram》
2 《テューンの大天使/Archangel of Thune》
2 《払拭/Dispel》
2 《反論/Gainsay》
2 《今わの際/Last Breath》
1 《神討ち/Deicide》
1 《記憶の熟達者、ジェイス/Jace, Memory Adept》
1 《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun's Champion》


このデッキは従来の青白コントロールではマスターピースと思われていた《霊異種》、《太陽の勇者、エルズペス》をメインボードに採用していません。
そのかわり数々の妨害呪文、《拘留の宝球》を廃して《次元の浄化》を搭載し、勝ち手段は《思考を築く者、ジェイス》の大マイナスか、《不死の霊薬》で相手のライブラリーアウトを待つというこれでもかと言うディフェンシブな構成。

場に出てしまったパーマネントは《急かし》を用いながら《至高の評決》や《次元の浄化》でリセットすると言う大雑把にも見えるその構成が話題を呼びました。



※ワンポイントアドバイス
黒白信心の項でも述べた通りRabble Red、ジャンドプレインズウォーカーズが増加して来たことにより青白コントロールは直近の大会では殆ど結果を残していません。

『《拘留の宝球/Detention Sphere》が入っていなくて《次元の浄化》で一気に流してくる』と言う構成が周知の事実になってしまったのもかなり大きい損失だと思います。
青白系コントロールを使うなら原点回帰して、《拘留の宝球》型に戻すのも良いと思います。




またサイドボードには赤白バーン、ジャンドプレインズウォーカーズなどに強い《否認》を多めに取ることをお勧めします。




■新プレインズウォーカーを引っ提げて登場!ジャンドプレインズウォーカーズ

新プレインズウォーカー、《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を主軸に置いたジャンドプレインズウォーカーズがトップ8に入り、その斬新な構成から(自分で言う)プロツアーの大きな話題になりました。
Yuuki Ichikawa
プロツアー『マジック2015』トップ8
24land
3 《森/Forest》
4 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
4 《奔放の神殿/Temple of Abandon》
2 《草むした墓/Overgrown Tomb》
3 《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
4 《悪意の神殿/Temple of Malice》
1 《血の墓所/Blood Crypt》
2 《変わり谷/Mutavault》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》

12creature
4 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4 《森の女人像/Sylvan Caryatid》
4 《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》

24spell
2 《思考囲い/Thoughtseize》
3 《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
2 《戦慄掘り/Dreadbore》
2 《究極の価格/Ultimate Price》
1 《突然の衰微/Abrupt Decay》
1 《ゴルガリの魔除け/Golgari Charm》
1 《化膿/Putrefy》
1 《ラクドスの復活/Rakdos's Return》
4 《歓楽者ゼナゴス/Xenagos, the Reveler》
2 《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》
4 《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》
1 《見えざる者、ヴラスカ/Vraska the Unseen》
15sideboard
2 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
4 《霧裂きのハイドラ/Mistcutter Hydra》
2 《マグマのしぶき/Magma Spray》
2 《思考囲い/Thoughtseize》
2 《破滅の刃/Doom Blade》
1 《ゴルガリの魔除け/Golgari Charm》
1 《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
1 《ラクドスの復活/Rakdos's Return》


マナクリーチャーないしは相手のパーマネントに対処しながら、二種類の速攻クリーチャーを生み出すプレインズウォーカーを終盤キャストすることによって、クロックを爆発的に増やすことを主軸のゲームプランに据えているこのデッキは当時はとても斬新で、プロツアーでも対戦相手にプレイミスを誘うことが多かったです。

終盤出てくるのは《リリアナ・ヴェス》か《見えざる者、ヴラスカ》、せいぜい《紅蓮の達人チャンドラ》だろうと言う相手の心理を巧みに突きやすく、それで勝ちを拾うことも数知れず。





「ニッサ出してアタック、ニッサ出してアタック、ニッサ出してアタック!」



※ワンポイントアドバイス
このデッキは黒単信心系、及び青白コントロールに勝つために作られたので、この構成のままだとセレズニアアグロ、Rabble Red、赤白バーンが増えた今の環境では少々辛いかも知れません。

前回のWMCQ、東京予選で準優勝を収めたフジムラ氏のジャンドプレインズウォーカーズの構成はとても素晴らしく、改良と言っても差支えが無いほどだと思います。
叩き台はこちらから始めた方が良いでしょう。

フジムラ カズアキ
WMCQ東京 準優勝
24land
4 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
4 《草むした墓/Overgrown Tomb》
2 《血の墓所/Blood Crypt》
4 《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
4 《奔放の神殿/Temple of Abandon》
4 《悪意の神殿/Temple of Malice》
2 《変わり谷/Mutavault》

12creature
4 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4 《森の女人像/Sylvan Caryatid》
4 《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》

24spell
2 《ゴルガリの魔除け/Golgari Charm》
2 《戦慄掘り/Dreadbore》
4 《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
3 《英雄の破滅/Hero's Downfall》
2 《ラクドスの復活/Rakdos's Return》
4 《歓楽者ゼナゴス/Xenagos, the Reveler》
4 《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》
3 《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》
15sideboard
4 《強迫/Duress》
4 《マグマのしぶき/Magma Spray》
3 《霧裂きのハイドラ/Mistcutter Hydra》
2 《悲哀まみれ/Drown in Sorrow》
2 《殺戮遊戯/Slaughter Games》


また、WMCQ東京には筆者も参加していたのですが、ジャンドプレインズウォーカーズに《嵐の息吹のドラゴン》を採用しているリストも多く見受けられました。

一度プラス起動した《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を一撃で倒せますし、最近増加して来たセレズニアアグロに対しても有効なカードであることを考えると是非デッキに組み込みたい一枚でしょう。




■構築トーナメントは初出場?!のCunninghamを準優勝に導いたセレズニアアグロ

構築トーナメント初出場、当然プロツアーも初出場のJackson Cunninghamを栄光のプロツアーサンデーに導いたデッキはセレズニアアグロでした。

Jackson Cunningham
プロツアー『マジック2015』トップ8
24land
8 《森/Forest》
8 《平地/Plains》
4 《寺院の庭/Temple Garden》
4 《マナの合流点/Mana Confluence》

23creature
4 《実験体/Experiment One》
3 《万神殿の兵士/Soldier of the Pantheon》
2 《陽刃のエルフ/Sunblade Elf》
4 《羊毛鬣のライオン/Fleecemane Lion》
4 《復活の声/Voice of Resurgence》
3 《加護のサテュロス/Boon Satyr》
3 《ロクソドンの強打者/Loxodon Smiter》

13spell
3 《セレズニアの魔除け/Selesnya Charm》
3 《群れの統率者アジャニ/Ajani, Caller of the Pride》
3 《払拭の光/Banishing Light》
4 《ワームの到来/Advent of the Wurm》
15sideboard
2 《アジャニの存在/Ajani's Presence》
4 《セテッサ式戦術/Setessan Tactics》
4 《空殴り/Skylasher》
4 《ひるまぬ勇気/Unflinching Courage》
1 《不動のアジャニ/Ajani Steadfast》


マジック2015のカードはサイドボードの《不動のアジャニ》のみと、殆ど目新しいカードは入っていないので、なぜこのタイミングで登場したのかはいささか不思議ですが、回してみるとどうしてなかなか、プロツアーを準優勝するデッキパワーを感じられました。

《実験体》から始まり、《羊毛鬣のライオン》、《復活の声》と対処し辛いクリーチャー群、《加護のサテュロス》、《ワームの到来》とインスタントタイミングで登場するパワーの高いクリーチャー。
《セレズニアの魔除け》、《群れの統率者アジャニ》と言った打点を稼ぎだして『突然死』を目指せるカードチョイスなどは目を見張るものがあります。

マナベースの問題から《変わり谷》をデッキに入れれない、各スペルの要求色マナが多いので、マナフラッドや色事故を起こしやすく、安定性が少し欠けている感じもしますが、ブン周りを見せたら他を寄せ付けない爆発力を持っており、それは環境随一でしょう。



※ワンポイントアドバイス
WMCQ東京でもトップ8に二人送り出し、プロツアーの結果はフロックでは無いことを証明したセレズニアアグロですが、リストはほぼ固定されています。
アリタ ケント
WMCQ東京ベスト4
24land
8 《平地/Plains》
8 《森/Forest》
4 《寺院の庭/Temple Garden》
4 《マナの合流点/Mana Confluence》

22creature
4 《万神殿の兵士/Soldier of the Pantheon》
4 《実験体/Experiment One》
1 《陽刃のエルフ/Sunblade Elf》
4 《羊毛鬣のライオン/Fleecemane Lion》
4 《復活の声/Voice of Resurgence》
3 《ロクソドンの強打者/Loxodon Smiter》
2 《加護のサテュロス/Boon Satyr》

14spell
3 《セレズニアの魔除け/Selesnya Charm》
4 《ワームの到来/Advent of the Wurm》
3 《払拭の光/Banishing Light》
1 《ヘリオッドの槍/Spear of Heliod》
3 《群れの統率者アジャニ/Ajani, Caller of the Pride》
15sideboard
4 《セテッサ式戦術/Setessan Tactics》
3 《空殴り/Skylasher》
3 《ひるまぬ勇気/Unflinching Courage》
2 《アジャニの存在/Ajani's Presence》
2 《異端の輝き/Glare of Heresy》
1 《不動のアジャニ/Ajani Steadfast》


《加護のサテュロス》を減らして《ヘリオッドの槍》を投入している以外、ほぼプロツアーのリストと変更がありません。
それほどCunninghamのリストは練り上げられていたということでしょう。


伸びしろがあるのかは如何せん不明ですが、ビートダウンスキーな皆様には是非お勧めのデッキです、青白コントロールが減ってきているのも追い風ですね。




2.WMCQ東京

■遅れて来たエース、Rabble Red

マジック2015の新カード、《ゴブリンの熟練扇動者》を軸にした赤単アグロ。
プロツアーにも一定数存在し、Jeremy Dezaniが惜しくもオポ差9位に入ったのもこのデッキでした。
WMCQ東京でもかなりの数がいたことを記憶しています、またトップ8にも一人送り出す結果に。

カトウ ケンスケ
WMCQ東京トップ8
21land
18 《山/Mountain》
3 《変わり谷/Mutavault》

29creature
4 《火飲みのサテュロス/Firedrinker Satyr》
4 《鋳造所通りの住人/Foundry Street Denizen》
4 《ラクドスの哄笑者/Rakdos Cackler》
3 《軍勢の忠節者/Legion Loyalist》
4 《火拳の打撃者/Firefist Striker》
4 《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary》
4 《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》
2 《瓦礫帯のマーカ/Rubblebelt Maaka》

10spell
3 《タイタンの力/Titan's Strength》
3 《稲妻の一撃/Lightning Strike》
4 《かき立てる炎/Stoke the Flames》
15sideboard
4 《大歓楽の幻霊/Eidolon of the Great Revel》
2 《マグマのしぶき/Magma Spray》
2 《灼熱の血/Searing Blood》
2 《頭蓋割り/Skullcrack》
1 《軍勢の忠節者/Legion Loyalist》
1 《馬力充電/Dynacharge》
1 《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
1 《地鳴りの踏みつけ/Seismic Stomp》
1 《燃え立つ大地/Burning Earth》


このデッキの特徴は手数の多さです。
殆ど1、2マナ域のクリーチャーで構成され、1:1除去を打ち込んでくる黒単信心系、ジャンドコントロールには速度で圧倒します。
またデッキの名前となっている《ゴブリンの熟練扇動者》は『場に残ったら勝ち』と呼んでも差支えが無いほどのカードパワーで、場を捌き切ったあとに出てくる彼1枚にゲームを取られることも。



※ワンポイントアドバイス
デッキの構造上青単には苦戦を強いられますが、《軍勢の忠節者》の大隊能力で《波使い》のエレメンタルトークンにブロックされないので、青単とマッチングされたらそこを意識してプレイすると良いでしょう。

今やすっかりなりを潜めてしまった《炎樹族の使者》も、このデッキなら大活躍。
スタンダード環境始まってから「バーニングバーニング・・・」と常に連打される側の筆者でしたが、連打する側だった方は彼に有終の美を飾らせる時が来たかも?知れません。



「バーニング、バーニング、ファイアフィストゴー!」




■WMCQ東京、優勝は古来より存在するアーキタイプ、赤バーン!

栄えある日本で行われた最初のWMCQを突破したのはグランプリでもトップ8経験のある強豪、アリャビマ アウリアラーマンさんが操る赤白バーンでした。
アリャビマ アウリアラーマン
WMCQ東京 優勝
24land
9 《山/Mountain》
4 《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
4 《戦場の鍛冶場/Battlefield Forge》
4 《凱旋の神殿/Temple of Triumph》
3 《変わり谷/Mutavault》

9creature
4 《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》
1 《大歓楽の幻霊/Eidolon of the Great Revel》
4 《チャンドラのフェニックス/Chandra's Phoenix》

27spell
4 《ショック/Shock》
4 《稲妻の一撃/Lightning Strike》
4 《ボロスの魔除け/Boros Charm》
4 《頭蓋割り/Skullcrack》
4 《灼熱の血/Searing Blood》
4 《かき立てる炎/Stoke the Flames》
3 《戦導者のらせん/Warleader's Helix》
15sideboard
4 《サテュロスの火踊り/Satyr Firedancer》
2 《異端の輝き/Glare of Heresy》
2 《労苦/Toil》
2 《岩への繋ぎ止め/Chained to the Rocks》
2 《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》
1 《摩耗/Wear》
1 《神々の憤怒/Anger of the Gods》
1 《戦導者のらせん/Warleader's Helix》


マジック2015から加入したカード《かき立てる炎》はバーンデッキにピッタリのカードです。
《若き紅蓮術士》のトークンのダメージが通らない盤面になったら召集に利用したり。《ヴィズコーパの血男爵》を除去しやすいのも良いですね。

また青白コントロールが《次元の浄化》型であると仮定するのであれば、《チャンドラのフェニックス》はミッドレンジ以降のデッキ群、青白コントロール、黒単信心系、ジャンドプレインズウォーカーズ、3つのデッキからすると対処し辛く、まさに悪夢のようなカードと言っても良いでしょう。
WMCQ準優勝だったフジムラさんのサイドボードに《マグマのしぶき》が4枚取られているところからもこのカードがどれだけキツいかがわかるかと思います。



※ワンポイントアドバイス


また、このデッキで素晴らしいと思うのはサイドボードに4枚投入された《サテュロスの火踊り》です。
赤白バーンはデッキの構成上、Rabble Redと同じく青単信心は辛いマッチアップなのですが、
こと《サテュロスの火踊り》を引ければその前提は変わってきます。

全てのバーンスペルが《焼尽の猛火》になるとなればゲームがなんと楽になるか、《潮縛りの魔道士》?はい《ショック》本体、《夜帷の死霊》?はい《稲妻の一撃》本体、《波使い/Master of Waves》?はいトークン1体どうぞ、ってな具合に。

青単信心側も《急速混成》くらいしか《サテュロスの火踊り》に触れるカードが無いので場に出さえすればかなり楽なゲーム展開になるでしょう。

また、プロツアー準優勝でメタゲームに食い込んできているセレズニアアグロに対しても非常に有効なカードで、《岩への繋ぎ止め》より《サテュロスの火踊り》を優先してデッキに入れたアリャビマさんの構築力が光ります。


3.オマケ


■市川のオススメ!青単信心

筆者はWMCQ名古屋には出場しないのですが、出るとしたら青単信心をプレイすると思います。
 
Oliver Polak-rottmann
Grand Prix Utrecht 優勝
25land
20《島/Island》
4《変わり谷/Mutavault》
1《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》

28creature
4《審判官の使い魔/Judge's Familiar》
4《雲ヒレの猛禽/Cloudfin Raptor》
4《潮縛りの魔道士/Tidebinder Mage》
4《凍結燃焼の奇魔/Frostburn Weird》
4《海の神、タッサ/Thassa, God of the Sea》
4《夜帷の死霊/Nightveil Specter》
4《波使い/Master of Waves》

7spell
1《サイクロンの裂け目/Cyclonic Rift》
3《急速混成/Rapid Hybridization》
1《凱旋の間/Hall of Triumph》
2《タッサの二叉槍/Bident of Thassa》
15sideboard
1《サイクロンの裂け目/Cyclonic Rift》
2《家畜化/Domestication》
1《変身術士の戯れ/Polymorphist's Jest》
1《霊異種/AEtherling》
2《否認/Negate》
2《解消/Dissolve》
1《払拭/Dispel》
3《反論/Gainsay》
2《思考を築く者、ジェイス/Jace, Architect of Thought》


テーロスが発売して以来、そのデッキ構成を殆ど変えない青単信心ですが、ようやくまた出番が回ってきているように思えます。

Rabble Red、赤白バーン、セレズニアアグロと有利なアーキタイプが環境に多数存在し、黒単信心系も有利な黒白ミッドレンジに移行しています。

ジャンドプレインズウォーカーズも比較的有利なマッチアップだと思いますし、サイドボードに軽量除去として取られている《マグマのしぶき》は青単信心に劇的に刺さるカードでも無いでしょう。

唯一青白コントロールは相性が悪いマッチアップだと思いますが、《次元の浄化》型だと《海の神、タッサ》、《変わり谷》が盤面に残りやすく、悪いマッチアップながらもまだやり合えるのではないかと思案しています。


と、メタゲーム的には良いことづくめで、それのせいかプロツアー後のグランプリ、Grand Prix Utrechtではトップ8に3人、トップ16まで含めると5人と大躍進しました。


意識されると弱いアーキタイプではあると思いますが、このグランプリ後に行われたWMCQ東京では特にマークがキツかった印象も受けていないので、日本で行われるイベントであれば青単信心はかなり狙い目なデッキでしょう。



「最後にひと波!」


※ワンポイントアドバイス

青白コントロールの項と重複しますが、現在《否認》はかなり強いサイドカードだと思います。
赤白バーン、青白コントロール、ジャンドプレインズウォーカーズを考えると4枚サイドに欲しいところ。




4.最後に

これにてWMCQ名古屋前のスタンダードのおさらいは終わりです、如何だったでしょうか。
環境末期のスタンダードは従来ですと2つ、3つのアーキタイプに絞られること多いと思います。
ですがこの環境は様々なアーキタイプが虎視眈々と王者になることを狙っていて、非常にエキサイティングで面白い環境だと思います。
WMCQ名古屋、それに続くWMCQ大阪と、まだまだ目が離せません。

WMCQ名古屋は筆者は残念ながら参加出来ないのですが、読者の方々が健闘出来ることを願っています。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう!グッドラック!



市川ユウキ
マスクスブロック時代よりMTGを始め、インベイジョンが入る頃に引退。
ミラディンの傷跡が発売した頃にMagic OnlineでMTGに復帰。
ほぼ同時期にニコニコ生放送にて"瀬畑"のハンドルネームでMagicOnline配信を開始。
その独特で軽妙な毒舌トークと、確かな実力から人気を博す。

配信者としてのキャリアを重ねると共に地道な努力を続け、2013年MOPTQを2期連続で突破。
更に日本レガシー選手権において前人未到の2連覇を果たし一気に国内においてブレイク。

そして2014年。『プロツアー・ニクスへの旅』『プロツアー・マジック2015』において、
2連続プロツアーTOP8入賞を果たし、プロ最高ランクであるプラチナレベルにまで上り詰める。
『プロツアー・マジック2015』において使用した《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を4枚投入した『ジャンド・プレインズウォーカー』デッキは世界のトッププレイヤー達から賞賛を受けるなど、デッキチューナーとしての評価も高まっている。

正に今、世界で最も注目を集めているプレイヤーだ。


主な戦績
・プロツアー・マジック2015 6位
・プロツアー・ニクスへの旅 4位
・グランプリ神戸2014 7位
・The Last Sun 2013 ベスト8
・Eternal Festival Tokyo 2013  3位
・2013日本レガシー選手権(夏)優勝
・2013日本レガシー選手権(春)優勝

市川ユウキ(瀬畑太郎)
「瀬畑太郎の紙とMOのあいだ」


第1回
第2回
第3回

特別企画「新環境でつかまえて」

”プロツアーニクスへの旅”に向けての調整録

市川ユウキのGP神戸調整録

市川ユウキ日本代表への道
第1回 今までのおさらい

 
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