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                                                  by Hiroshi Ishida 
                                                    
                                                  『コンスピラシードラフトを楽しもう』その1 
                                                   
                                                   
                                                  前回に続き、今回は実際のコンスピラシードラフトの風景をレポートしようと思います。今回はパック提供者が全カードを回収するファントム方式の7人ドラフトを行いました。 
                                                  どちらかと言えばカジュアル風味の強いドラフトですが、コンスピラシードラフトの楽しい雰囲気が伝われば幸いです。 
                                                  
 
  
                                                  ●ピックの風景
  
                                                    今回は7人ドラフトを行い、その後4人卓と3人卓に別れての対戦という形式です。 
                                                     
                                                    さて自分のファーストパックは……レアは確かどうでもいいかーどでしたが、策略に《ムッツィオの準備》がありましたのでこれをピック。 
                                                    クリーチャー固め取りのピック方針が見れるいいカードです。 
                                                     
                                                    2手目はレア抜けで、強力アンコモンの《ペラッカのワーム》をピック。流石に強いでしょう。 
                                                     
                                                    その後も緑の流れはよく、《桜族の長老》や《リスの巣》などをピック。 
                                                    《ムッツィオの準備》の事を考え《遠吠えする狼》を高めにピックしましたが、結果として今回の卓では殆どこのコモンは出なかったようで残念です。 
                                                    対面あたりで《隠れ潜む自動機械》が8/8でピックされていましたが、まぁ、気にしないことにw 
                                                   2パック目、初手は策略カード《ブレイゴの好意》。指定カードのコストが安くできるので《ムッツィオの準備》と合わせて《遠吠えする狼》を指定しよう! 
                                                    と考えていましたが、先ほど書いたようにその戦略は失敗しました。 
                                                     
                                                    他には2色目を何にしようか迷っていましたが、黒の流れが良かったのと《死の収穫の儀式》が使いたかったので黒が有力になりました。 
                                                    緑黒は《桜族の長老》のおかげで自発的に「陰鬱」が達成でき、アドバンテージも取れるのでタフな戦いの出来る、自分的にはお気に入りのカラーです。 
                                                     
                                                    2パック目終了時でだいたいデッキの形は出来上がっていたので、後は細部を詰めるだけです。 
                                                    2枚の策略を活かすために同名カードが複数欲しいと考えていたところ、あまり人気のない《突進するサイ》を3枚ピック出来ました。 
                                                    本来はあまりパッとしない生物ですが、4マナ5/5ならまぁまぁでしょう…… 
                                                   
													  
													 と思っていたらここで嬉しいサプライズが! 
                                                    ドラフト終了後、《取引仲介機》をピックしていたプレイヤーが《即応行動》を交換に出してきました。 
                                                    自分はこれと《電位式巨大戦車》とのトレードに成功。これでサイは5/5速攻になりました。これなら十分に脅威と呼べるでしょう! 
                                                   
                                                   という訳で完成したデッキは以下になります 
                                                  
                                                    |  
                                                |  
                                                   Sample 
                                                  Deck | 
                                               
                                             
                                            
                                               
                                                 
                                                  17land 
                                                   
                                                  8《森/Forest》 
                                                  8《沼/Swamp》 
                                                  1《平地/Plains》 
                                                   
                                                  12creature 
                                                   1《ペラッカのワーム/Pelakka Wurm》 
                                                  1《森蔦のエレメンタル/Woodvine Elemental》 
                                                  1《モークラットのバンシー/Morkrut Banshee》 
                                                  1《セルヴァラの突撃/Selvala's Charge》 
                                                  3《突進するサイ/Charging Rhino》 
                                                  2《セルヴァラの処罰者/Selvala's Enforcer》 
                                                  1《捕食者の雄叫び/Predator's Howl》 
                                                  2《胞子頭の蜘蛛/Sporecap Spider》 
                                                  2《泥地の吸血鬼/Quag Vampires》 
                                                  3《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》 
                                                    | 
                                                 
                                                  6spell 
                                                   
                                                   1《リスの巣/Squirrel Nest》 
                                                  1《誘発/Provoke》 
                                                  1《占骨術/Skeletal Scrying》 
                                                  1《黒薔薇の一片/Bite of the Black Rose》 
                                                  2《死の収穫の儀式/Deathreap Ritual》 
                                                   
                                                  策略カード 
                                                  《即応行動》(指定:《突進するサイ/Charging Rhino》) 
                                                  《ムッツィオの準備》(指定:《突進するサイ/Charging 
                                                  Rhino》) 
                                                  《ブレイゴの好意》(指定:《ペラッカのワーム/Pelakka 
                                                  Wurm》) 
                                                   |  
                                              | 
                                        
                                        
                                        
                                         
                                          
                                              
                                                 
                                                  マナ加速とアドバンテージに優れた、これぞ黒緑といったデッキです。 
                                                  レアカードこそありませんが戦闘力は十分で、策略によって5/5速攻となった《突進するサイ》はかなりの脅威となるはずです。 
                                                  《ブレイゴの好意》に関しては、サイは簡単にプレイできそうだったので、重い《ペラッカのワーム》を指定することにしました。 
                                                   
                                                  個人的に《死の収穫の儀式》は大好きなカードです。バンバンアドバンテージが取れるのが楽しい。 
                                                  《泥地の吸血鬼》はマナを伸ばせるデッキなので、渡りが機能する相手に対しては信頼できるフィニッシャーとなるでしょう。 
                                                  2枚の《胞子頭の蜘蛛》で飛行生物から身を守りつつ、打撃力のあるクリーチャーで場を蹂躙し、黒のカードでアドバンテージを取っていく流れを想定しています。 
                                                   
                                                  
 
 
  
                                                  ●参加プレイヤーとデッキ紹介 
                                                   
                                                  さてデッキ構築後はお楽しみの対戦です。 
                                                  今回は4人卓でのプレイとなりました。 
                                                  まずはプレイヤーと構築されたデッキの紹介を。 
                                                  いつもdds邸でリミテッドを遊んでいるメンバーで、いずれ劣らぬリミテッドジャンキーです! 
                                                  ちなみにプレイヤー名はすべてハンドルネームになります。 
                                                   
                                                   
                                                  ・dds666 黒緑 
                                                  言わずと知れた筆者。 
                                                  デッキは前述の黒緑。なかなかの手応えのあるデッキだが如何に? 
                                                   
                                                   
                                                  ・Willow 
                                                  青白コントロール 
                                                  dds邸古最古参のリミテッダーは《清純な天使》《黎明をもたらすものレイヤ》《総くずれ》などの強力なレアカードを要する青白のコントロールデッキを組み上げた。 
                                                  しかし本人は「策略1枚も入ってないとかありえない。俺はMTGじゃなくてコンスピラシーをやりに来たんだが、これ普通のMTGのデッキじゃん…… 
                                                  」と不満気である。  
                                                   
                                                   
                                                  ・団長 5色 35枚ノーコモンデッキ  
                                                  「取材あるんでしょ? だったら普通のデッキなんて組みませんよ」とピック前から意気込むリミテッドの奇才は、その言葉通りに凄まじいデッキを組み上げた。 
                                                   「ただのコモンに興味はありません。この中にアンコモン、レア、神話レアがいたら、あたしのところに来なさい。以上」と言わんばかりに組み上げられたデッキはなんとコモン0枚、すべてアンコモン以上の超レアリティデッキ! 
                                                  策略 《好都合な宣言》(これまでアンコモンである)の力で実現したノーコモンデッキの実力はいかに!? 
                                                   
                                                   
                                                  ・ジリ貧 
                                                  青白ビート 
                                                  「やべーわー何の見どころもないデッキだわージリ貧だわー」と自虐するも、組み上がったデッキは大量の《天頂の鷹》や《魂の目覚め》を《順風》で強化し殴る強力な高速ビートダウンデッキである。 
                                                  ちなみに今回のパック提供者だが1BOXから《ダク・フェイデン》2枚や《真価の宗匠》foilなど高額カードを大量に引いていたせいで最初からヘイトが高い。 
                                                  最初からジリ貧である。 
                                                   
                                                  
 
 
 
 
  
                                                  ●試合レポート! 
                                                  ここからは実際の試合のレポートになります。 
                                                   
                                                   
                                                  ダイスロールにより先行はdds666。伏せられた3枚の「秘策」系カードのせいで最初からヘイト高めか。 
                                                   
                                                  序盤はみな土地を置くだけで大人しい展開になるかと思われたが、一人だけが違った。 
                                                   
                                                  「やべーわー序盤から展開してくと後半ジリ貧になるわー」と嘯きながらも、ジリ貧がいきなり《順風》+《魂の目覚め》という強力なクロックを形成し場を掌握。 
                                                   
                                                  対するようにdds666も《桜族の長老》の加速から早速策略をオープンし5/5速攻の《突進するサイ》でジリ貧に応戦する。 
                                                   
                                                    
                                                  《桜族の長老》のマナ加速と策略2枚の力を得て5/5速攻と化した《突進するサイ》が4ターン目に駆け抜ける! 
                                                  策略カードはコンスピラシーの醍醐味です! 
                                                   
                                                  Willowは《死裂の剣》を《歪んだ爪の変成者》に装備させ強力な飛行生物をつくりだすが、これはジリ貧の《義務の誓約》によりコントロールされる。 
                                                  「まぁ警戒だし仕方ないからなー殴るしかないんですよねーすみませんねー」と気楽にパワー7の飛行生物に気軽に殴られたdds666はたまらない。 
                                                   
                                                  序盤から打撃戦の様相を呈する場ではあったが、そんな中団長は一人マナスクリューし動かない、否動けない。 
                                                  しかし残り3人とも状況が状況なので、そんな団長に構っていられずほぼ無傷のままである。 
                                                  そんな団長が放った《大量破壊》で場は一気に綺麗に。 
                                                  適当に島を破壊されたジリ貧はカラースクリューしまさにジリ貧になってしまう。 
                                                   
                                                    
                                                  大技「大量破壊」が決まったー! 場は一気に更地に! 
                                                   
                                                   
                                                  その後、団長のノーコモンデッキのレアパワーが炸裂! 
                                                  《グレンゾの反論》《強制の門》と次々にリセットカードがプレイされ場は七転八倒する。 
                                                   
                                                  だがこれだけリセットカードがプレイされても皆手札は潤沢のままだ。 
                                                  次々プレイされる《魂の目覚め》や《セルヴァラの処罰者》の協議によって常に新しいカードが提供され、場が動き続ける。 
                                                  この疾走感溢れる展開もコンスピラシーの魅力だろう。 
                                                   
                                                  その後も小競り合いが続くが、適度にプレイされる除去カードやカウンタードにより、誰かの一強支配にはならないシーソーゲームが続いていく。 
                                                   
                                                  全員ライフは10点付近まで落ち込んだ中盤戦、Willowは《清純な天使》、ジリ貧は5/5の《天頂の鷹》、dds666は《ペラッカのワーム》、団長は《魂売り》と強力なクリーチャーをそれぞれ要し、拮抗しなからも緊張感ある場が形成された。 
                                                   
                                                   
                                                    
                                                  
                                                   ゲームも大詰め。「清純の天使」「ペラッカのワーム」「魂売り」と強力な生物のぶつかり合い。このダイナミズムも多人数戦の醍醐味! 
  
                                                  全力を出せば誰かを殴り倒すことはできるが、そうなるとその隙に他のプレイヤーに倒されてしまう……どのプレイヤーもうかつに動けない、危ういバランスの場である。 
                                                   
                                                  ここで地味に《霊都の灯籠》をプレイする団長。相手の強力なカードを山札下に送り込む行為は一見不可解だがすぐにその答えは出た。 
                                                   
                                                   団長はここで力強く《不正利得》をプレイ!
  
                                                  団長は墓地から強カードを回収し一人だけ優位に立とうとしていたのだ。 
                                                  しかもこの時回収された《議会の採決》はプロテクションを無視して《清純な天使》さえ除去してしまえる。これにはWillowも思わず苦い顔。 
                                                  という訳で最も危険な《清純な天使》は《議会の採決》で除去されたが、実はこの時他プレイヤーが談合していれば2票ずつの採決で《清純な天使》《ペラッカのワーム》の2枚ともが除去できていた。 
                                                  危ない、危ない。 
                                                   
                                                   
                                                    
                                                 
                                                  「霊都の灯籠」で墓地掃除した後の「不正利得」という強力なコンボが炸裂! 
                                                  回収した3枚はどんな脅威にも対応できるカードばかり! 
                                                   
                                                   
                                                  ここで状況を整理すると、ライフでも場でもdds有利だが《死の収穫の儀式》によるドローのし過ぎによりそろそろ山札がないw 
                                                  《不正利得》で回収された《突進するサイ》を3枚一気に走らせればどのプレイヤーでも倒せるが、その後どうなるかは微妙な所である。 
                                                   
                                                  とはいえライブラリーアウトというクロックからは逃れられないわけで、ここは多少の損は覚悟の上で他プレイヤーのライフを均一に削っていく事に。 
                                                   
                                                  そんな中《占骨術》で山札をちょうど0枚にした団長が満を持して《アカデミーの精鋭》をプレイ。14/14というサイズも規格外だがそれ以上に驚異的なのがそのドロー能力。 
                                                  《霊都の灯籠》とこの能力を組み合わせ、墓地から好きな呪文をいくらでもプレイできる=どんなクリーチャーも除去してしまえる状況になってしまったのだ! 
                                                   
                                                  このまま場を支配されると《霊都の灯籠》でライブラリアウトからも逃れられる団長の勝利は確定。 
                                                  これには残り3人のプレイヤーも戦慄し一時的同盟が組まれるも、土地をフルタップしているとはいえ団長の守りは固く飛行生物しか通らない。 
                                                  その上《鏡の大魔術師》によりターンを返すとライフまで回復されてしまう……! 
                                                   
                                                  と、ここでジリ貧が会心のトップデック!《上天の貿易風》により《霊都の灯籠》がバウンスされ、ライブラリアウトでの敗北が免れなくなってしまうw 
                                                   
                                                   
                                                    
                                                 
                                                  団長の山札は0枚ですが、ここで現れた14/14の《アカデミーの精鋭》。サイズもさることながら《霊都の灯籠》とのコンボで墓地のあらゆるカードを即座に回収してプレイできるという鉄壁の場に! 
                                                  ……なおこの直後《上天の貿易風》で灯籠をバウンスされてライブラリアウトして敗北しましたw 
                                                  
  
                                                   
                                                  ここで最大の脅威が消滅することが確定したので、ddsは虎の子の《突撃するサイ》を走らせジリ貧を葬り去る。 
                                                  「ご苦労だったなジリ貧よ、お前の役目は終わった。ゆっくり休むんだな!」 
                                                  多人数戦では他プレイヤーの存在によってバランスが保たれる状況が多い。いつ誰を倒すかはかなり大切なファクターとなる。 
                                                  とにかくこれで実質、Willowとの1対1に! 
                                                   
                                                  しかしドローまでは団長もまだ敗北しない。アップキープに最後っ屁の《鏡の大魔術師》が起動されdds666のライフは5に。そしてそれ以上に山札は残り3枚! 
                                                   
                                                  だがここまでで消耗しきったWillowの場は弱く、スピリットトークンでは《ペラッカのワーム》のトランプルは防げない。ダメージレースも《胞子頭の蜘蛛》によって拒絶されておりゲームは決まったかに思われた……が。 
                                                   
                                                  Willowのトップは《渦まく知識》!これによって引き込まれた《義務の誓約》で《ペラッカのワーム》が無力化され、dds666も団長に続きあえなくライブラリアウト。 
                                                  
 
  
                                                   
                                                  陰謀渦まくコンスピラシードラフト戦は、willowが優勝と相成った!! 
                                                   
                                                  
 
 
  
                                                  ゲーム終了後、勝者Willowは語る。  
                                                  「《上天の貿易風》を《霊都の灯籠》ではなくクリーチャーに打ち込んで団長の場をこじ開け、dds666に殴らせるようにしていればジリ貧にも勝ちの目はあった」 
                                                  「まぁ……貿易風で灯籠戻せってアドバイスしたのは俺ですけどね!!」 
                                                   
                                                  最後に物を言ったのは政治力。 
                                                  やはりこのゲームは通常のMTGではなくコンスピラシーだったようだ。 
                                                   
                                                   
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