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石田弘「カジュアルで遊ぼう」第3回 モミール戦略:構築編 
 
text by Hiroshi Ishida 

 さて前回のリプレイはどうだったでしょうか?

 今回からは、実戦的な、勝つためのモミールについて説明していこうと思います。

 まず今回取り上げるのは、モミールでのデッキ構築についてです。




●土地の配分は?

 当然ですが、モミールのデッキに入れられるのは5種類の基本地形のみ。

 デッキ枚数は60枚ですので、この中でどのように配分するかだけになります。


 ここで単純に考えて、5種類の基本地形を平均的に12枚ずつ……というのは、あまり良い構築とはいえません。


 運だけで出現するカードが決まるモミールですが、実際には構築の段階から勝負は始まっているのです。



●まず山から始めよ

 わかりやすく結論から話しますと、モミールではまず山ありき、です。

 よく「MTGで最強のカードは?」という問いに「島か山」と答えるお決まりのネタがありますが、ことモミールにおいては圧倒的に山です。

 中には、デッキ60枚全部を山で組んでいるプレイヤーもいるほどです。




 理由は簡単で、まずは多くのクリーチャーが「赤:ターン終了時まで+1+/0の修正を得る」という起動型能力……いわゆる「火吹き」能力を持っていることです。


 この能力を持つ生物は、実に様々なマナ域に存在しています。この能力を多く起動したい、少なくとも起動できるようにしておくために、山を多くする必要があります。


 パワーのパンプアップが出来れば、格上との相打ちも期待出来ますからね。

 とは言え、実際には低マナ域の生物は簡単に相打ちになってしまうことも多いです。



 そこで大事なのが、この火吹き能力は、高マナ域の生物も多く備えているということ。そう、みんな大好きドラゴン系ですね。



 6マナ域では元祖、《シヴ山のドラゴン/Shivan Dragon》を始めとして多くの生物が火吹き能力やそれに類する能力を持っています。



 7マナ域では通常の火吹き以外にも《古えのヘルカイト/Ancient Hellkite》や《シヴのヘルカイト/Shivan Hellkite》のようなダメージ系の火吹き能力も存在します。これらの能力を複数回起動出来れば、勝利は目の前でしょう。




 また余談になりますが、前回のリプレイで無双していた《オリヴィア・ヴォルダーレン/Olivia Voldaren》の能力も、こういったダメージ能力に分類されますね。こうした場を制圧できる除去能力の持ち主は他にも《山伏の長、熊野/Kumano, Master Yamabushi》や《流動石の監視者/Flowstone Overseer》、《弧炎撒き/Arc-Slogger》など他にもおり、いずれも赤マナが多いほど強力に効果を発揮します。



 8マナ域の目玉は《憤怒の天使アクローマ/Akroma, Angel of Fury》と《ヘルカイトの首領/Hellkite Overlord》。その攻撃性能は圧巻で、火吹き能力まで使えたら2回のアタックで相手を打ちのめしてしまいます。



 また、山はプレイするのにあまりリスクがありません。後述しますが、要は「山渡り」されることがあまりないということです。



 このように、多ければ多いだけ便利な山。

 自分もこういった理由から、山は1番多く入れています。


   





●そして沼



 山に続き、沼もまた、出来れば多く置きたい土地です。


 低マナ域では《蠢く骸骨/Drudge Skeletons》などの再生マナ、また《立ちはだかる影/Looming Shade》などのいわゆるシェイド系のパンプアップ能力で必要です。

 そして、高マナ域では沼を多く置く理由になっているゴッドクリーチャーがいます。

 7マナに存在する《ゲトの血の長、カリタス/Kalitas, Bloodchief of Ghet》。

 彼の能力が機能し出せばまずゲームに勝利出来ますが、使うには沼が3枚必要となります。沼を多く入れる理由の大半はここです。



 8マナ域には《黒死病の悪魔/Pestilence Demon》がいます。

 こいつの能力も強力無比で、沼があればあるほど強く使えます。まぁ単純に飛行とサイズだけでも強いのですが、沼が多ければ多いに越したことはありません。



 そして9マナ域の《奈落の君、苦弄/Kuro, Pitlord》。

 クアドラプル・シンボルという凄まじい維持コストを持っています。

 その分能力は強力無比で、戦場を完全に支配できますが維持するのは流石に困難です。

 この伝説のデーモンは、仮に維持できなくてもそのターン限りの除去呪文のように使うこともできますから、無理して維持しなくても働いてくれます。

ですがもし維持できればその巨体で一瞬にして相手を破滅させてくれるでしょう。

 その他にも《墓所の怪異/Crypt Ghast》や《ニルカーナの亡霊/Nirkana Revenant》で多くマナを出せるようになる事もあります。


 沼は山と違って、後述するように「渡り」の影響を受けてしまうというデメリットもあります。

 ですが「カリタス」を始めとして黒マナを要求する生物の中にはあまりにも強力ですので、自分は2番目に多く入れています。



 まぁ、個人的には基本地形の中で沼が一番好きという理由もありますが(笑)





●8枚目までにはすべての基本地形を置くのを目安に

 残りは平地、森、島ですが、結局はこれらの地形も入れていくことになります。


 結局は運次第で何が出てくるかわからないモミール・ベーシック。赤マナや黒マナ以外でも、起動能力で色マナを使う生物は多くいますから、すべての色マナが出せるようにしておくのが無難なわけです。

 さらには、8マナ域にはかの有名なエルダー・ドラゴン・レジェンド5種類が存在しています。

 これらのどれが出てもいいように、8枚目までにはすべての基本地形を1枚ずつは置けるようにしたいのが実情です。





 なので、沼と山以外の基本地形も少しずつですが入れておく必要があります。

 というわけで残りは平地、島、森をどうするかを説明していきます。





●無難な平地&森

 平地と森は特に多く入れる必要はありませんが、逆に置くことに関してほとんどデメリットはありません。



 平地ですが、色々なマナ域に白マナを要求するシステム生物がいます。

 特に強力なのが《おとりの達人/Master Decoy》に代表されるいわゆるタッパー系です。そのため平地は、1枚は置きたいです。



 森に関しては、緑マナを要求するシステム生物はあまりいません。

 基本的に、終盤までに1枚置ければいいでしょう。森は、もっとも重要度が低い基本地形といっていいかもしれません。



 平地も森も「渡り」を受けることは殆ど無いので、安心して置けるのは利点です。

 ただ6マナ域で《エフラヴァのジェディット・オジャネン/Jedit Ojanen of Efrava》をモミられたら……もうおしまいだぁ〜(笑)。





●問題児の島

 構築戦では最強クラスの基本地形である島ですが、モミールでの扱いは難しいと思っています。



 まず起動コストとしての青マナですが、低マナ域にもそこそこ強力なものがいます。特に優秀なのは《時の精霊/Time Elemental》、《時間の名人/Temporal Adept》ですが、これらはシンボルも重いし出てくる可能性も低いのでそこまで気にしても仕方ないかもしれません。



 それ以上に大事なことは、島には、それ自体にメリットもデメリットも存在するということです。

 具体的にメリットを言えば「生息条件:島」を満たせること。

 デメリットは「島渡り」を持つ強力な生物が多いこと、そして相手の「生息条件:島」のアタックを許してしまうことです。



 これらに関して、次項以降でより詳しく説明していきます。



●基本地形であることの、デメリットとしての側面

 エターナルでは《不毛の大地/Wasteland》の対象にならない、スタンでは《燃え立つ大地/Burning Earth》の影響を受けないなどの利点もある基本地形なのですが、モミールではもちろんそんなカードは関係ありません。



 モミールで大事なのは、基本地形としてのデメリットとしての側面——「渡り」の影響を受けるか否か、です。



 思うように相手を除去することができず、回避能力が大事なモミールにおいて「渡り」はもっとも危険な能力の一つです。飛行と違ってブロックすることもできませんからね。



 なので、あまり「渡り」されてしまう基本地形を置くのは避けたいところです。

 もちろん渡り能力を持ったクリーチャーが出るかどうかは運ですが、特に多いのが《沼の悪霊/Bog Wraith》系統が多く存在する「沼」と、海蛇系生物が多く存在する「島」です。


 山、平地、森それぞれにも「渡り」生物はいますが、あまり考えなくてもいいでしょう。

まぁ《岩間のトカゲ/Vug Lizard》を3モミされてしまったら諦める方向性で……(笑)




 沼に関してですが、たしかに危険な地形なのですが、前述したように、出来れば複数置きたいという困った土地です。

 ここは運とセンスがモノを言うところですが、ポイントとして、沼渡りを持つ生物は7マナ以上には存在しませんので、6モミまでで相手が「沼渡り」生物を出して来なかったなら安心して置くことができます。

 ですから、自分はハンドに貯めておいて、後半で一気に沼を並べる事が多いです。



 逆に「島」はかなり危険。

 高マナ域には《Marjhan》のような島があることが攻撃条件になっている生物もいますし、8マナの《水底のビヒモス/Benthic Behemoth》に島を渡られると一瞬でゲームが決してしまいます。

 なら島を置かなければいいのでは? と言えばまた違います。島は置いておいたほうがいい場合も多いのです。

 それが次に述べる「生息条件:島」の話です。



●基本地形であることの、メリットとしての側面

 先の項では基本地形のデメリットについて話しましたが、メリットとしての側面もあります。

 今は懐かしの能力「生息条件」。最近始めたプレイヤーの方には聞いたことのない人も多いかもしれませんが、すべてのクリーチャーが登場するモミールでは当然こういった古の能力を持った存在も現れます。


「生息条件」ですが、圧倒的に「生息条件:島」が多いです。海蛇系や《Skeleton Ship》など5マナ以上にも多く存在していますので、そういった生物を揉んでしまった時に島をコントロールしていないと哀しいことになってしまいます。



 しかし前述したように、島は渡られてしまったり、相手の「生息条件:島」生物の攻撃を受けてしまったりと危険度も高い基本地形です。

 最近の生物でも《大水追い/Floodchaser》や《流水の海蛇/Slipstream Serpent》のように生息条件ではなく、単に島があれば攻撃できるというものもいますしね。



 島を置くか否か。

 リスクを取るかリターンを取るか。


 この辺りは各プレイヤーの考え方やセンスにも左右されていて、モミールプレイヤーの中でも今も答が出ていない問題です。



 参考までに、自分は島を少なめにして、殆ど置かないようにしています。

「生息条件:島」の生物はそもそもあまり強くないので、別に場に出せなくてもいいや(どうせハズレを引いたのと同じ)という割り切りで考えています。

 それに、こちらが島を出していなければ、相手が「生息条件」や「渡り」を出した時に無駄にできますしね。





●高マナ域のカードの事を重要視する


 さてここまでの説明で「ゲトの血の長、カリタス」や「水底のビヒモス」、「エルダー・ドラゴン・レジェンド」など、特定のカード名を引き合いに出すことがありました。

 その反面「時間の名人」なんかは重要視していませんでした。



「どうせ特定カードが出るか出ないかなんて運次第なんだから、気にすることないんじゃないの?』と言われれば確かにその通りです。



 ですが高マナ域に行くほど、該当クリーチャーは減っていきますので、目当てのクリーチャーが出てくる確率は高くなってきます。

 逆に低マナ域のクリーチャーは該当生物が多すぎて、毎回違った生物が出てくるのであまり気にしても仕方ないのです。



 というわけで、7マナ以上のキーとなるクリーチャーは、意識しておくに越したことはありません。

 これらの重要なクリーチャーに関しては、次回以降の記事でまた詳しく取り上げようと思います。



●まとめとサンプルデッキ

・山は多め

・沼も多め

・平地、島、森はそれなりに。

・島の扱いには注意!

 こうなります。
dds's momir
1avatar
1《Momir Vig, Simic Visionary》

60lands
23《山/Mountain》

15《沼/Swamp》

9《平地/Plains》

9《島/Island》

4《森/Forest》

  今回のランド配分も、結局はゲームで役立つかどうかは運次第です。実際、60枚全部山で構築して勝っている人もいます。


 ですが、それでも、ほんの僅かでも。


 こうした勝利/敗北に直結するカードを意識しておくことは、モミールでの勝敗に貢献してくれるはずです。



 少なくとも漫然と各地形12枚ずつ、よりはいい結果になると思います。



 さて、これモミールのデッキ構築に関しては終了です。

 次回以降では、実際のゲームにおける戦術を取り上げていく予定です。 

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