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安田真幸の勝手に挑戦・PTQタルキール覇王譚~Journey into Honolulu~ ホノルルへ行きたいかー!その4 
 
text bye Masayuki Yasuda


 みなさんこんにちは
 モダン、してますか?


 前回から約一カ月経ち、7-8月のPTQ連戦・そしてGP神戸に続くという、暑さに比例してモダン熱気がどんどん高まってくる季節になりました。






 先週号はムラエリュウジにジャックされてしまいましたので、4・5回目の合併号となります。いつもより文量多めでお届けしますので、お楽しみください!



 ジャックされたことはさておき、リュウジおめでとう!(でも本心は悔しい)

 各地のPTQを遠征しているプレイヤーにとって、先にPTQを突破された事実は、もちろんおめでとう!という気持ちはあるものの、やはり悔しいという思いは拭い切れません。

 なぜその位置に自分が立っていないのか、自分が勝つ為には何が足りていなかったのか・・・
悔しさをバネに、負ける都度それを反省し、次のPTQへの糧と生かすのです。

 次こそは自分が・・・と希望を抱きながら。



まさに人生、これぞ生き様





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●PTQ名古屋に向けて



さて、前回はPTQ大阪で我らが「チームメタボ」のKawakami君が決勝3没したのがハイライト。そしてPTQ大阪を終えてからの約一カ月、何をしていたかというと・・・


「黒緑ミッドレンジ」をひたすら回していました。


なぜ使っていない、むしろ天敵でもあるこのデッキをテストプレイしているのか?


孫子の兵法にこんな一節があります。


彼を知り己を知れば百戦殆うからず



MTG的にがっつり意訳するならば


「トリコトラフト使って黒緑ミッドレンジがきついってわかっているのなら、最も勝ちたい黒緑ミッドレンジをたっぷり練習して、短所長所を熟知しなさい。そうすればきっと勝てるから」


と言ったトコロでしょうか。

 これは今回のモダンに限らず、全て構築フォーマットで大事なことですね。

 苦手なデッキ、嫌いなデッキだからと言って避けていては成長は見込めません。構築・プレイングを攻守両視点から改善を進めるのが調整に於いて効果的なのは間違いありませんからね。

 もちろん「黒緑ミッドレンジ」の弱点を熟知できると共に、これを習熟する事で自分のプレイングの引き出しが増えるというメリットもあります。

というわけで感謝の黒緑ミッドレンジ10000回スパーリング(そんなにしてません)。強み・弱み、有利・不利、様々な点が見えてきました。

 それを踏まえた上で次のステップ、いつものデッキの調整です!



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●若猫杯とデッキ調整


 さて、PTQ名古屋の前日に「若猫杯」というモダンの草の根大会がありました。
翌日の調整を兼ねて、これに参加。





 使用したデッキはいつもの「トリコトラフト」です。今回はこのカードを新規採用。





着想はPTQ土浦のTOP8に残っていたデッキが《変わり谷》を採用していたところから得ました。

 《地盤の際》は確かに強力なカードです。
マナ基盤を削り相手の動きを制限しながら戦うというプランが、中盤以降ボディブローの様に響きます。

 ですがそれ以上に《変わり谷》が「トリコトラフト」にフィットしていました。

 少ないマナでリソースを使うこと無くライフを削りつつスペルを構える事が可能で、《地盤の際》が守備用カードとするならば《変わり谷》は攻守のバランスに優れたカードであると言えます。

 またこれまで癌だった《ヴェールのリリアナ》にも耐性が付きました。リソースの消費を最小限にしてリリアナを対処可能になったのは、非常に大きな変化です。

 この改良でデッキの完成度が一段階上がったと確信しました。


しかしメリットがあればデメリットもあります。《地盤の際》には少ないマナで相手の土地を攻めることが出来るというメリットがありました。土地攻めに弱いデッキ、つまり《トロン》や《風景の変容》といったデッキ相手のマッチ相性が、どうしても悪くなります。
前回採用していた《世界のるつぼ》+《地盤の際》というお手軽ハメゲーもできなくなっていますしね。そしてMOでのテストプレイの結果、相性は間違いなく悪化した事が確認されました・・・


どちらを優先して調整すれば良いのでしょうか?


と、ここでこれまでの対戦履歴を振り返ってみます。

VS黒緑系ミッドレンジのマッチアップ回数: 7
一方、VS風景の変容のマッチアップ回数: 2
さらに、VSトロンのマッチアップ回数:  0回


どちらを優先するべきか、明らかではないでしょうか?


というわけで使用したデッキリストがこちら。


Metabolic Traft ver4
25land
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
4 《乾燥台地/Arid Mesa》
2 《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
2 《蒸気孔/Steam Vents》
1 《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
4 《天界の列柱/Celestial Colonnade》
2 《硫黄の滝/Sulfur Falls》
2 《島/Island》
1 《平地/Plains》
1 《山/Mountain》
2 《変わり谷/Mutavault》

13creature
4 《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
4 《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》
1 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
4 《修復の天使/Restoration Angel》

22spell
2 《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
3 《流刑への道/Path to Exile》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
4 《稲妻のらせん/Lightning Helix》
3 《呪文嵌め/Spell Snare》
2 《マナ漏出/Mana Leak》
2 《差し戻し/Remand》
2 《謎めいた命令/Cryptic Command》

15sideboard
2 《マグマのしぶき/Magma Spray》
2 《天界の粛清/Celestial Purge》
1 《石のような静寂/Stony Silence》
1 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
1 《摩耗/損耗/Wear/Tear》
1 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
1 《イゼットの静電術師/Izzet Staticaster》
1 《対抗変転/Counterflux》
1 《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》
1 《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》
1 《殴打頭蓋/Batterskull》
1 《雷口のヘルカイト/Thundermaw Hellkite》
1 《嵐の神、ケラノス/Keranos, God of Storms》

サイドボードの装備品セットは、少しお試し枠ではあります。


そして若猫杯の結果は

1回戦 黒緑赤ミッドレンジ ××
2回戦 青単マーフォーク ×
3回戦 緑白青ビートダウン ×
4回戦 親和 ×
5回戦 青赤Delver 


予選ラウンド2位通過!
ここからTOP4による決勝ラウンドです

準決勝 青赤Delver (5回戦の方)  ××

残念、一没・・・
苦手デッキと《血染めの月》にやられるという、典型的な負けパターンでした。




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●そしてPTQ名古屋



朝6時過ぎに集合、金沢の時に乗せてもらった友人の車で名古屋へ向かいます。




前日の若猫杯ではデッキ改良点の感触も良く、見つけた反省点も踏まえてサイドボードのみ変更しました。

2《マグマのしぶき/Magma Spray》
2《石のような静寂/Stony Silence》
2《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》
2《摩耗/損耗/Wear/Tear》
1《天界の粛清/Celestial Purge》
1《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
1《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
1《イゼットの静電術師/Izzet Staticaster》
1《対抗変転/Counterflux》
1《雷口のヘルカイト/Thundermaw Hellkite》
1《嵐の神、ケラノス/Keranos, God of Storms》




197人参加の8回戦後、シングルエリネーション

予選ラウンド通過ラインは6-1-1までか。

結果は・・・


1回戦 緑赤トロン ×
2回戦 緑単トロン ×
3回戦 黒緑赤ミッドレンジ ××
4回戦 青白黒コントロール ×
5回戦 黒緑白ミッドレンジ 
6回戦 青白赤タッチ黒けちコン 
7回戦 緑単トロン ××
8回戦 親和 ××



5-3・・・・・・




ただ一言叫びたい・・・・・・








トロン踏みすぎなんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ










決して会場全体にトロンが多かったという訳では無かったのですが・・・

これまでの対戦数が0のくせに《地盤の際》を不採用にした途端こうなるのは、オカルトだけどマジックあるあるですねホント。




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●PTQ名古屋の所感






この名古屋を駆け抜けたのが、「ハサミ親和」を使いこなしたムラエリュウジ。
彼とは同じ車で遠征したのですが、行きの車からハサミこと《アーティファクトの魂込め》が強い強いと言い続けていました。
M15がリリースされてからの新環境で、彼ほどこの新カードを調整したプレイヤーは、おそらくいないでしょう。(30時間以上はテストプレイしたそうです)

いわゆる「シークレットテク」の採用とその調整・練習を含めて、納得の勝利ですね。

他にも一名《アーティファクトの魂込め》を使用した親和がTOP8に残っており、このデッキのポテンシャルが大幅にUPした事ことについて疑う余地はありません。


ちなみに、これまで私と車でPTQ遠征した人の突破率がなぜか高い(彼で5人目)ので、もしかしたら僕は幸運の男神なのかもしれません。
私を車に乗せてくださると、アナタもPTQ突破できるかも?(これもオカルト)



なお帰りの車で同行者が疲れて沈んでる中、リュウジのテンションがトップギアだったことも記しておきましょう。

↓待ち合わせ場所でニヤニヤしながら携帯をチェックするムラエリュウジ








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●エンジョイ松山



十年の汗を道後の温泉に洗へ
~正岡子規~



愛媛県は松山市、ここまで来たからには外せないものがあります。

それは、道後温泉!!!


古くは万葉集の時代から語られ、数々の明治の文豪が愛した湯街です。近年では「坂の上の雲」の舞台にもなりましたね。

いわゆるPTQ金沢に続きエンジョイ勢ですが、それはそれで良いのです。毎回張りつめた気分でPTQに向かうのも気疲れしてしまいますからね!

気持ち良ければ全て良し。



と、いうわけで・・・






市内を坊ちゃん列車で駆け巡り










名産に舌鼓を打ち











名所、松山城を訪れて











道後の湯に旅の垢を落とし






エンジョーーーイ!!!










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●デッキ改良


今回はいくつかの理由もあって、不採用にしたカードもありました。

デッキリストはこちら


Metabolic Traft ver5
26land
4 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
4 《乾燥台地/Arid Mesa》
2 《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
2 《蒸気孔/Steam Vents》
1 《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
4 《天界の列柱/Celestial Colonnade》
2 《硫黄の滝/Sulfur Falls》
2 《島/Island》
1 《平地/Plains》
1 《山/Mountain》
3 《変わり谷/Mutavault》

13creature
4 《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
4 《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》
1 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
4 《修復の天使/Restoration Angel》

21spell
4 《流刑への道/Path to Exile》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
4 《稲妻のらせん/Lightning Helix》
3 《呪文嵌め/Spell Snare》
2 《マナ漏出/Mana Leak》
2 《差し戻し/Remand》
2 《謎めいた命令/Cryptic Command》

15sideboard
2 《マグマのしぶき/Magma Spray》
2 《溶鉄の雨/Molten Rain》
2 《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》
2 《摩耗/損耗/Wear/Tear》
1 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
1 《天界の粛清/Celestial Purge》
1 《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
1 《イゼットの静電術師/Izzet Staticaster》
1 《対抗変転/Counterflux》
1 《雷口のヘルカイト/Thundermaw Hellkite》
1 《嵐の神、ケラノス/Keranos, God of Storms》
・《変わり谷》が強い
隙があればアタック、対黒緑戦での安心感、《刻まれた勇者》をブロック可能、様々な盤面で活躍してくれたので、3枚目投入。
ついに土地が26枚になりました。いっそ4枚にしてもいいかもしれません。


・《仕組まれた爆薬》を解雇。
元々採用されていた理由が対《未練ある魂》を兼ねたユーティリティ枠でした。
《未練ある魂》を全然見かけなくなっていた為、これを無くして《流刑への道》を追加。
(この後、GPボストンで《未練ある魂》入りデッキが優勝してしまいましたが・・・)
もちろん汎用性は下がりますが、親和・黒緑・双子相手には効果的なカードなので4枚にしても問題ないという判断です。デッキリストがよりシンプルになりました。


・《溶鉄の雨》を採用。
前回トロンにイワされたから・・・という訳ではありません。(確かに意識はしてますが)
これは対「黒緑ミッドレンジ」にも使えるのです。前半で書いた「黒緑ミッドレンジ感謝の10000回スパー」でわかった弱点の一つに、マナ基盤が非常に脆いという点がありました。
さらに《タルモゴイフ》や《漁る軟泥》を除去された後のパンチは《樹上の村》頼みな所もあるので、これを処理できる点も優秀なのです。
その他、対コントロールデッキにもサイドインできる為、見た目以上にいい仕事をしてくれます。《瞬唱の魔道士》で使いまわせるのもポイント。


大まかな変更点はこの3点でしょうか。

 まず誰もが意識するのは、前回優勝をもぎ取った「ハサミ親和」。
どの程度使用者が増えるのかはわかりませんが、デッキの強さがUPしているのは間違いないので上位に残る可能性は高いでしょう。
しかしもともと除去が豊富な構成なので、他のデッキと比べてメインボードから親和と対等に戦えるのが、「トリコトラフト」の優位性の一つです。
テストプレイの結果も勝敗に《アーティファクトの魂込め》は大した影響を及ぼさなかったので、対策を増やす必要性は感じませんでした。


後はこれ以上トロンを踏まないように、祈祷を続けるのみです!



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●そしてPTQ松山開戦


 準備・調整はしっかりやりましたし、前日においしいご飯を食べて気分も爽快。


98人参加の7回戦後、シングルエリネーション

今回の予選ラウンド通過ラインは5-1-1までか。

結果は・・・


1回戦 緑単トロン(名古屋で負けた方)  ××
2回戦 黒緑白ミッドレンジ ××




 音速で目無し!!敗北ッ!!圧倒的敗北ッ!!!


というかまたトロン・・・やっぱりMTGはオカルトありますよね(遠い目)
全てを投げ出して温泉で癒されたくなる気持ちをグッっと堪え、全ラウンドをやり遂げます。


3回戦 青赤双子 ××
4回戦 感染 ×
5回戦 感染 
6回戦 青白トロン 
7回戦 青白赤キキジキコン 


4-3・・・・・・


ざ・・・残飯・・・



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●PTQ松山を終えて



PTQチャレンジツアー、これにもそろそろ終わりが見えてきました。残るは8/9の京都とその翌日8/10の福山、この2回のみです。
(8/17のPTQ東京は参加できません。残念)

 この2週間の結果と先日行われたGPボストンの結果を踏まえて、またメタゲームが動く事が予想されます。

私も次回に向けてさらに練習を重ねないといけません。
だんだん勝率が下がっている気がするのですが・・・


残りの2回に向けて成すべき事は、少しでも自らを高める事。試合結果に一喜一憂するのではなく、勝ちまでの過程を省みる、負けの理由を分析する事。

最後に勝利を得るために、そして後悔しない為にも、飽くなき反省は大事ですからね!


果たしてその2回でホノルル行きチケットを勝ち取れるのでしょうか?乞うご期待!!


それでは、良いモダンライフを!
Good Luck


安田真幸
主な戦績
レガシー選手権2011 優勝
レガシー選手権2012 5位
プロツアーオースティン2008 出場
プロツアー名古屋2011 出場”
プロツアー“ドラゴンの迷路” 参加未遂

フォーマットを問わずプレイするオールラウンダー。レガシー選手権優勝、3度獲得したプロツアーの権利もすべて違うフォーマットというところからも、その器用さが伺える。
海外でのプレイ経験も豊富なベテランプレイヤーである。

本人のブログ:MTG戦歴を報告致します

過去の記事
「Modern Deck Tech このデッキを実物提示教育致します(Trico Traft)」

Deck Tech: 安田 真幸(大阪)の「ずっと俺のターン!」


「安田マサユキの “実物提示教育致します”」
第1回
第2回
第3回

「勝手に挑戦・PTQタルキール覇王譚~
Journey into Honolulu~」

その1
その2
その3
その4
 
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