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安田真幸の勝手に挑戦・PTQタルキール覇王譚~Journey into Honolulu~ ホノルルへ行きたいかー!その3 
 
text by Masayuki Yasuda

みなさんこんにちは
モダン、してますか?


早いもので今回で連載3回目。
3週連続でPTQに出るのは、マジック人生で初の出来事です。

このレポートも早くPTQを勝ち抜いて、ワイキキビーチの案内に移行できればナァ・・・と言うところなのですが ・・・

果たして今回の結果はどうなるでしょうか?


まぁ結果を出すまでの過程を楽しみながら、のほほんとやっていきましょう!



さて今回は遠征ではなく、我がホームタウン・大阪でのPTQ。

遠征記では無いけれどお楽しみください!



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昨今のPTQは参加人数が大幅に増え、予選ラウンドが非常に長くなっています。
都市圏での開催ともなると、8回戦・9回戦は当たり前。

後半戦は集中力が切れミスも増えてしまいます。
仮に予選ラウンドを通過した場合、新幹線や夜行バスの最終便といった帰宅の手段を考慮しなければいけません。

PTQという大会に参加する以前に、コンディションから試合後のケアまでしておく必要があるのです。

ここまで行くと、技術面以外に体力・精神面での勝負にもなってきます。

その点を考えると、ホームゲームという圧倒的アドバンテージはバカにできません。

朝の睡眠時間、会場までの移動時間とその交通費、勝手知ったる仲間の数。
野球であれサッカーであれ、ホームゲームが圧倒的に有利なのは同じ。

そう、マジックは競技スポーツなのです!


また私個人としても過去のPTQは全て関西圏で突破してきただけに、今日は勝負所と言えます。

是非とも快勝して、ワイキキビーチ用の水着を買いに行こうではありませんか!


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今回は、いや今回も使用デッキは「トリコトラフト」

使うの止める止める詐欺じゃねーか!!

とか言わないで。

使い続けているのも、一応の理由があるのです。



私は以前から様々なデッキをKawakami君という仲間と共に調整を行っています。
Standard、Extended、Legacyと、あらゆるフォーマットで共に調整を行ってきました。

彼はプロツアー、世界選手権出場の経験もあり、過去に「なぜ日本人は勝てなかったのか」と言われたプロツアーにおいて単独調整で勝ち星をもぎ取った事もある、歴戦の実力者です。

その彼をして「トリコトラフト」というデッキの評価を、
「betterな選択肢のうちの一つである」
と判断してくれているからです。


以前にも書いたことがあるのですが、モダンのデッキは全てが高パワーで、デッキ選択は何を使っても間違いとは言えません。
だからこそ絶対にこれ、という一強の選択肢は存在せず、ベストに近い、より勝利に近いデッキが複数存在するのがモダン環境。

敢えて言うなれば、「ブン回りを持つ」「挙動が安定していてプランを立てやすい」「様々な相手に対応力がある」「メタりにくい」等の特徴があれば、よりbetterであると言えるかもしれません。

その「betterな選択肢のうちの一つ」に「トリコトラフト」は入っていて、もちろん明確な弱点もあるもののそれを克服し得るポテンシャルはある。
という判断を下しているのです。

これはKawakami君と私の共通認識であり、それ故同じデッキを使い続け、都度調整・改良・失敗・また調整を繰り返してきました。


黒緑系デッキ以外になんとなく勝ててるから使い続けてる、って理由もあるんだけど!




そして今回の調整結果が、以下のリストです。


Metabolic Traft Ⅲ
25land
4《天界の列柱/Celestial Colonnade》
4《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
4《乾燥台地/Arid Mesa》
2《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
2《蒸気孔/Steam Vents》
1《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
2《硫黄の滝/Sulfur Falls》
2《地盤の際/Tectonic Edge》
2《島/Island》
1《平地/Plains》
1《山/Mountain》

13creature
4《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
4《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》
1《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
4《修復の天使/Restoration Angel》

22spell
2《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
3《流刑への道/Path to Exile》
4《稲妻/Lightning Bolt》
4《稲妻のらせん/Lightning Helix》
2《呪文嵌め/Spell Snare》
3《マナ漏出/Mana Leak》
1《差し戻し/Remand》
3《謎めいた命令/Cryptic Command》
15sideboard
2《マグマのしぶき/Magma Spray》
2《天界の粛清/Celestial Purge》
2《神の怒り/Wrath of God》
1《地盤の際/Tectonic Edge》
1《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
1《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》
1《イゼットの静電術師/Izzet Staticaster》
1《対抗変転/Counterflux》
1《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》
1《雷口のヘルカイト/Thundermaw Hellkite》
1《嵐の神、ケラノス/Keranos, God of Storms》
1《摩耗/損耗/Wear/Tear》


メインボードの変更点は、序盤に細かく動けるクロックを増やしたかった為、《ヴェンディリオン三人衆》を再雇用。
サイド後はコントロール的な動き方へシフトできる様、アドバンテージ要素と除去を増やしています。

これは対「黒緑ミッドレンジ」系デッキはサイド後コントロール型に寄せるのが最も良いサイドプランである、と判断した為です。

しかしメインボードからコントロールに寄せてしまうと、これまで勝てているマッチアップまでの相性が変わってしまいます。
いくら黒緑系に負け続けているとは言え、それだけを意識してコンセプトを変更する訳にはいきません。

以前コラムで書いた「デッキコンセプトを大事に」と述べたいい例ですね


ですので、このサイドプランを前提とした構築にしました。
冒頭の《ヴェンディリオン三人衆》の再雇用も、これを見据えてのものです。


「黒緑ミッドレンジ」への相性を改善しつつ他のデッキへのサイドボード枠を確保する必要があるので、ここの枚数調整は、本当にいつも苦労します。



ちなみにデッキ名に「Metabolic」と入っているのは、僕とKawakami君、時には他のメンバーを加えて(時には僕一人で)「Team Metabolic」というチームを組んでいるからです。
そろそろ結成6年目くらいですが知名度は皆無なので、皆さんチームメタボを宜しくお願いします!(無駄宣伝)



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では早速PTQ大阪本戦のレポート


281人参加の9回戦後、シングルエリネーション




PTQ川崎程ではありませんが、この人の多さにはほんと関心します。
参加者が50人前後の頃もあったと考えると、マジック人口も増えたんだなぁと・・・


今回は参加者に対するラウンド数が程々なので、予選ラウンド通過は7-1-1までか。

チームメタボブランドのデッキの成果は如何に・・・?


結果は・・・


1回戦 緑黒白出産の殻 ×
2回戦 黒単メガハンデス ××
3回戦 親和 ×
4回戦 風景の変容 ×
5回戦 赤白バーン ×
6回戦 青白赤コントロール ×
7回戦 青単マーフォーク 
8回戦 精力の護符 ×
9回戦 ID



7-1-1ッ!!
予選ラウンド7位通過ッ!!!



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やってくれました。

ヴェールのリリアナ擁する黒単メガハンデスはやはり厳しかったものの、他をなんとか退けての辛勝。
最終戦の相手が黒緑ミッドレンジだったのですが、問題なくIDできるラインだったので運が良かったです。


さてここからは会場をBigMagic日本橋店に移しての決勝ラウンド。
ビデオマッチ、カバレッジにも録られていますので、それを交えながらレポートしましょう。


なお決勝ラウンドの組み合わせは

タルモツイン VS 親和
青赤欠片の双子 VS 親和
トリコトラフト VS 親和
赤白バーン VS 黒緑ミッドレンジ


といった組み合わせです。





準決勝 親和


GAME1 後手 4枚/7枚
相手のデッキが分かっているだけに、雑なハンドはキープできない。
除去や呪文嵌めといった序盤を凌げるカードがキープ基準。

が、初手に恵まれず痛恨のトリプルマリガン・・・

一方相手は2ターン目にして手札の全てをダンプするイケイケ展開で、為す術もなく負け。



GAME2 先手 7枚/6枚
除去が複数枚あり序盤の盤面をしっかり整理できるハンドをキープ。

しかしここからなかなかクロックを引き込めず、マナフラッドに。
場が更地のまま時間だけが過ぎる。

そしてグダグダしているうちに血染めの月を張られ、手札の神の怒り2枚が打てなくなり怪しい雲行きに・・・
しかしなんとか仕組まれた爆薬を引き込み、場をリセットした上で、最終的には修復の天使を引き込んで火力と併せて無事勝利。

この時点で残り時間が10分。





GAME3 後手 7枚/5枚
相手がダブルマリガンでクロックが伸びないが、こちらもクロックを引き込めない。
《血染めの月》を2枚張られるも、これを《摩耗/損耗》、《瞬唱の魔道士》でのフラッシュバックで処理。
ここからしばらく《瞬唱の魔道士》と《ちらつき蛾の生息地》の殴り合いになり、先に相手が《刻まれた勇者》をクロックとして引き込んで優位に。
ここでこちらも《修復の天使》を引き込み、空中戦を睨んだ上で手札に火力を温存する。

そしてここで延長ターン。
最終ターンに稲妻のらせん含む火力を本体に叩き込み、ライフ差で勝利!







準決勝 赤白バーン


カバレッジ
があります。

対バーンの勝ち筋は明確で
・早いターンにクロック(できればトラフト)を置く
・稲妻のらせんの枚数
この二つです。

カバレッジにもありますが、GAME1を致命的な勘違いで落とすものの、毎回トラフトが初手にある運もあり辛勝。
GAME2、GAME3は最終的にカウンターを2枚抱えながらの最終ターンだったので、かなり余裕がありました。

やはりトラフトの処理のされにくさ、クロックの大きさは酷いですね。








決勝 青赤欠片の双子

ビデオマッチを撮られてますので、そちらをどうぞ。

ニコニコ動画  Youtube


結果はGAME1が4マリガン、GAME3が2マリガンで、手数も土地も足りず圧敗でした。

少し検討の余地があったのが、1マリガン後の土地5枚+瞬唱のいうハンド。
これはキープするべきだったかもしれません。

この理由は、
「トラフトで急戦を仕掛けたい場合や、除去ハンドをキープしたい場合はもう一度マリガンした方が強い初手になる可能性が高い。
しかしこのマッチで目指すのはロングゲームなので、瞬唱+土地5枚をマリガンしてより良い初手に恵まれる可能性は低い。」

というものです。

ゲームプランを意識せず、最初の7枚が土地6+マナ漏出だったので、「スペル1の初手はマリガン」という
何となくマリガンをしてしまったと思います。


もう一点、GAME3の動き方にも反省点があります。
ダブマリだが初手が、青赤フェッチ・地盤の際・トラフト・天界の粛清・修復の天使という強ハンド。
しかし土地が2枚で止まり、3t詐欺師の総督→4t双子であっさり終戦。

このゲームは明らかにミスしていて、フェッチを切らずに温存していれば、詐欺師の総督によるタップを避けて天界の粛清(或いは引き込んだ《摩耗/損耗》)を構えることができていました。


モダンに慣れている人であれば当たり前のテクというかプレイングだと思いますが、僕は正直後で指摘されるまでその発想がなかったです。
GAME1のマリガン判断といい、ここにきてモダン経験の少なさが出てしまい、仕方ないと思う反面やはり悔しさも残る結果となりました。



決勝敗退・・・・・・






残念!!Kawakami君の冒険はここで終了してしまった!!






えっ?これはヤスダの挑戦じゃなかったのかって??



・・・



・・・





チームメタボの結果は?と言ったが・・・・





いつから私のレポートだと錯覚していた!!?







一戦目で黒緑ミッドレンジに負けてからの0-2残飯ッ!圧倒的残飯ッ!!





「ヤスダの霊圧が・・・消えた・・・!!」
とか言われて散々ですチクショウ。




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「PTQ大阪の感想と反省」

私の結果はさて置き(目を逸らしたい)、同じデッキを使った友人が決勝まで勝ち残ったのは嬉しい事です。
もちろん優勝して貰えたら最高だったのですが。


大阪での結果を見るに、親和がTOP8に3人と大躍進したことが見逃せません。
また黒緑ミッドレンジ系がTOP8に1人のみと、一気に数を減らしました。

おそらくですが皆から相当意識された結果、勝ち辛くなってきているのでは無いでしょうか?

そのあたりの勝ちデッキ、会場のデッキについては、メタゲームブレイクダウンと睨めっこして考えてみるのも面白いかもしれません。



今回使用したデッキの構成については、なかなか満足しています。
しかしコントロールに寄せるにも色々なアプローチがあり、今後はその数パターンをテストしてみたいなと思います。

例えば、
《刃の接合者》や《台所の嫌がらせ屋》を入れて、盤面を横並べで強化する型




《スフィンクスの啓示》やPWを入れて、手数数で差を付けボードを掌握する型




それぞれ利点・欠点があり、サイドボード枠と相談の上、構築してみないといけません。


また間もなくM15が発売されますので、環境が動く可能性もあります。

まだ全てのカードが発表されていないのでどこまで影響を与えるかは判断できませんが、いくつかのデッキは強化・或いは弱体化するのは間違いないでしょう。


6/29のPTQ土浦は一回休み、次回の挑戦は7/21のPTQ@名古屋です!

M15が発売された直後のPTQ、どんな新しいデッキが出てくるのか楽しみです。
参加される皆様は共に頑張りましょう!

それでは、良いモダンライフを!
Good Luck






余談

大会終了後、深夜の難波の居酒屋
決勝没のKawakami君
準決勝没のくーやんとBabaさん

会場に一人しかいない3没者と会場に二人しかいない2没者が揃う、壮絶な残念会でした。


そこに漂う負のオーラはすさまじいものがあったとかなんとか・・・





安田真幸
主な戦績
レガシー選手権2011 優勝
レガシー選手権2012 5位
プロツアーオースティン2008 出場
プロツアー名古屋2011 出場”
プロツアー“ドラゴンの迷路” 参加未遂

フォーマットを問わずプレイするオールラウンダー。レガシー選手権優勝、3度獲得したプロツアーの権利もすべて違うフォーマットというところからも、その器用さが伺える。
海外でのプレイ経験も豊富なベテランプレイヤーである。

本人のブログ:MTG戦歴を報告致します
過去の記事
「Modern Deck Tech このデッキを実物提示教育致します(Trico Traft)」

Deck Tech: 安田 真幸(大阪)の「ずっと俺のターン!」


「安田マサユキの “実物提示教育致します”」
第1回
第2回
第3回

「勝手に挑戦・PTQタルキール覇王譚~
Journey into Honolulu~」

その1
その2



 
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