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森安 元希「2人ドラフトのすヽめ」 
リュウジのMOクエストEVERY DAY チャンス

2015.9.11
text by 森安 元希





『2人ドラフトのすヽめ』



皆さん、大会の賞品で貰ったパックってどうしてますか?

平日大会で賞品として貰う数パックって、手に余しがちではないでしょうか。

今回は、ちょっとのパックがある。友達が1人いる。
そんな時に、もっともっとお手軽に楽しくパックを使う為の
『2人ドラフト』のやり方を紹介しようと思います。

今回紹介する『2人ドラフト』の方法は、3種類。

「ウィンストンドラフト」

「ソロモンドラフト」

「ウィンチェスタードラフト」


どの場合でも必要なパックは「1人3パック」。
「プレイヤー2人と6パック」があれば、遊べます。

4パックシールド(2人と8パック)よりもなお、お手軽ですね。

それぞれのルールはMTGWikiにも解説はあるのですが、
実際にパックを使った画像を加えて、少し詳しく説明していきましょう。




『2人ドラフトの準備方法』


3種類の「2人ドラフト」は準備方法が途中まで同じです。
まずは6パックとも開封しましょう。
8人ドラフトと違い、順番に開けるというわけではありません。




基本的に中身は見ません。
パックから開けるときから裏向きにしましょう。



トークンカード(広告カード含む)は不要なので抜きます。
必ず基本土地が入っているセットの場合は、それも抜きましょう。
最近のパックではこれら2枚が先頭にあるのでそれをどけましょう。
1パック15枚のうち、基本土地を抜いて14枚。
いわゆる最新セットを使う場合は14枚の場合が多そうです。




1人3パックで42枚。15枚使うパックなら45枚。
これを2組使います。
「ウィンチェスタードラフト」では、42枚の束を2つの状態で使います。





「ウィンストンドラフト」「ソロモンドラフト」では
84枚の1束にして、完全にレアリティのソートを混ぜる迄、シャッフルします。
以降、この束を山札と呼びます。

ピックの「先手」「後手」をランダムに決めたら、実際にピックの手順に入ります。

※なお今回は「マジック・オリジン対戦キット」の一部カードを使用した再現写真を用いています。




『ウィンストンドラフトの遊び方』

まず今回紹介する3種類のうち、最も初心者向きとされる「ウィンストンドラフト」からです。

先日のプロツアー・オリジンにて市川ユウキプロと八十岡翔太プロが一晩遊んでいたことが伝わってから、
にわかにプレイヤー間で脚光を浴びた遊び方でもあります。


まず「後手」プレイヤーが山札の上から3枚を引いて、順番に裏向きに置きます。




それぞれ山札に近い順から

「1番パイル」

「2番パイル」

「3番パイル」

となります。パイル(pile)は「束」のことで、枚数に関わらずパイルと呼ばれます。
1番、2番、3番でも通じるので、あまり重要な単語ではありません。




まず「先手」が「1番パイル」のカードの表を見ます。

今回は「マジック・オリジン対戦キット」プールから、《先祖の復讐》です。
タルキールのリミテッド環境では「除去」と「サイズアップ」「長久シナジー」を一手に担う優秀なカードですが、ダブルシンボルという色拘束の厳しさが懸念です。

「先手」はこれを「ピックする」か「ピックしない」かを決めます。
今回は一旦「ピックしない」を選んでみましょう。




先手はピックしなかった《先祖の復讐》を「1番パイル」に裏向きで戻します。
後手にはそれが何かはまだ分かりません。

そして「先手」は「1番パイル」に山札からカードを1枚移動させます。
裏向きの《先祖の復讐》の上に、お互いがまだ見てない1枚が増えました。

このとき、先手も後手もパイルの上下の順番は変えられません。




次に「先手」が「2番パイル」のカードの表を見ます。
《勇壮な対決》でした。
これも「除去」と「サイズアップ」を担いますが、「除去」の性能としてはより優秀です。

これを再び「ピックする」か「ピックしない」かを決めます。
今回は「ピックする」を選びました。

ピックすることを選んだカードはパイルに戻しません。
裏向きにして自分の手元に置いておきましょう。

その後、「先手」は「空いた2番パイル」に山札からカードを1枚移動させます。
お互いがまだ見てない1枚が2番パイルになりました。




先手がカードをピックしたら、後手に手番が移ります。
後手も先手と同じように「1番パイル」から順番に表を見ます。

この時、「1番パイル」には2枚のカード(《先祖の復讐》ともう1枚)がありますが、
パイルに複数のカードがある場合は全てを一度に見ます。

そして、その全てのカードを「ピックする」か「ピックしない」かを決めます。
「後手」が1番パイルの2枚を「ピックする」ことを選びました。

その後「後手」は「空いた1番パイル」にカードを1枚追加します。
ピックする・ピックしない・ピックする枚数に関わらず、追加は1枚です。

このようにお互いが順番にパイルを見ながらピックを進めていきます。




ピックを進める中で、「1番パイル」をピックしない。「2番パイル」をピックしない。
「3番パイル」の1枚を見たら、弱いカードだった。ピックしたくない。ということもあると思います。
そういう時には若干の救済措置があります。
「3番パイル」を「ピックしない」ことを選んだ場合は、山札の一番上のカードをピックします。
※この場合、「3番パイル」にはカードが1枚追加されます。

山札がなくなり、パイルもなくなるまで交互にこのピックを繰り返したら、終了です。

ピックしたカードと基本土地を使って40枚(以上)デッキを組みます。
通常のリミテッド同様、ピックしてデッキに使用しなかったカードがサイドボードです。


『ウィンストンドラフトの特徴』

ウィンストンドラフトのピックの特徴をまとめてみましょう。

①一度に見れる枚数が少ない。

ピックで見れるカードは1枚~4枚程度です。
ピック回数自体は多目でも、悩む時間は短くすみます。


②相手のピックが「残ったカード」から分かる。

相手のピックは基本的には分かりません。
自分が「残したカード」のあるパイルを相手がピックしたこと。
相手が「残したカード」のあるパイルを自分がチェックすること。
この2点はとても重要な情報なので、パイルのカードの順番が大切です。

いわゆる通常のドラフトにおける「サイン」や「協調」といった要素にも近いところですね。

③少しずつのピックなので、強いカードが偏らない。

①にも繋がるところですが、一度にピックする枚数が少ないです。
「弱いパック」「神パック」のような極端なカードプールの引き方になりません。
シールドで言うところの「パック運」の要素が薄くなります。

④「2人ドラフト」に共通する特徴ですが、「お互いの総ピック数が一致しない」です。

“強い1枚を選ぶのか。少し弱めの数枚を選ぶのか。”というようなピックの選択が増えます。
8人ドラフトでは見られないピックのバランスですね。




『ソロモンドラフトの遊び方』

次に紹介するのは「ソロモンドラフト」です。


その特徴的なピック方法から、俗に《嘘か真か》の略称、“FoFドラフト”とも呼ばれます。
ウィンストンドラフトに慣れているプレイヤーに好まれる傾向にあるでしょうか。



まず「後手」プレイヤーが山札から8枚を引きます。




その後、全てを表向きにします。
この8枚は先手・後手お互いが見れます。




「後手」はこの8枚を好きなように2つのパイル(右と左)に分けます。
写真のように4枚:4枚を基本に、3枚:5枚 2枚:6枚 1枚:7枚の4パターンから選びます。




「先手」が左右のパイルのうち好きな方をピックして取ります。
「後手」は残ったパイルをピックします。
お互いピックしたカードが分かるように置きましょう。

次は「先手」が8枚を引き、同様に2つのパイルに分けます。
「後手」が好きな方を、「先手」が残った方をピックします。
これを山札がなくなるまで続けます。

84枚束の山札で行なうと最後の1回は4枚なので、4枚を2つの束に分けます。
端数の取り扱いに関しては事前に話して決めておきましょう。

ルール自体はとても簡単なので、ピック手順自体に悩むところは少ないと思います。




『ソロモンドラフトの特徴』

同じ「2人ドラフト」であるウィンストンドラフトと比較して、
ソロモンドラフトの特徴を確かめましょう。

①一度に見れる枚数が多い。

ピックする際に、お互いが必ず「8枚」見れます。
またピックする側は「貰う方」だけでなく、実質的に「渡す方」も決めます。
悩む箇所が増えてゆきます。

またピックされる側も2つのパイルに分ける際に選択肢が多くあります。
ウィンストンに比べてピック回数自体は少ないですが、悩む時間が長くなりがちです。
この悩む(思考)時間をお互い楽しむのもソロモンドラフトの特徴でしょうか。

②お互いのピックが“完全に”分かる。

今までピックしたものと今ピックするものはお互いに公開されています。
そのなかで、「渡しちゃいけないもの」や「絶対に欲しいもの」がハッキリしてきます。

ウィンストンよりもお互いのカードの価値観が合致しているかが大きく問われます。
特にお互いにデッキの概況が見えてくる中盤以降、特にパイルの分け方に技量が必要です。
経験者向け・玄人好みとされる最大の理由です。

③「当たり」「外れ」のピックが出てくる。

1回で2人合わせて8枚のピックです。
そのなかには全部「弱いコモン」であったり、レアが数枚含まれていることも出てきます。
②の要素で非常に技量が必要な面を持ちつつ、
運の要素も高まっているという反対の二つの特性があります。

④デッキに統一感が出やすい。

ウィンストンやブースタードラフト(8人ドラフト)よりももっと直接的に、
相手と「協調」するタイミングが出てきます。
自分が一方的に得をするピックがしにくい反面、お互いに得がある分け方・取り方を選びやすいです。
シナジーや色拘束などの面で、お互いに「デッキを作る感覚」はより強いと思います。




『ウィンチェスタードラフトの遊び方』

先の2種類と比べると知名度が格段に落ちる2人ドラフトのやり方です。
ウィンストンドラフトの派生系として誕生しました。すべてのピックが公開された「ロチェスタードラフト」というフォーマットとの融合、といったところでしょうか。フォーマット名もこの2つを組み合わせたものであるとのことです。

最初にピックの準備のところで説明したように、「42枚束の2組」を使います。




お互いに42枚束の山札を向かい合わせに置きます。
2枚引いて、ウィンストンドラフトのように自分の山札の横にパイルを作ります。
お互い合わせて4つのパイルとなるように置きましょう。


全てを表向きにします。
その後、「先手」がその4つのパイルの中から1枚を選んでピックします。




お互い自分の手前の2つのパイルに1枚ずつカードを追加します。
2手目では1か所だけ1枚。残りが2枚になります。

次に「後手」が1つのパイルを選んでピックします。2枚以上のパイルを選べば、全てをピックします。
その後、再びパイルにカードをそれぞれ追加し、同じ手順を繰り返します。
これを山札がなくなり、パイルも全てなくなるまで続けます。


『ウィンチェスタードラフトの特徴』

「ウィンストン」「ソロモン」との比較をしていきましょう。

①欲しいカードを我慢できる。

欲しいカードが2つのパイルにある場合。
片方を取っても、もう片方がなくなるわけではありません。
ブースタードラフトでいうところの「1周するのを期待」のような状態ですが、
単純な確率では“4分の3”で自分のピック手番で残っています。

ただ相手側もそれを察してカットする可能性も高まりますが、
もし戻ってくれば、ピックの往復によって追加のカードが2枚乗っています。
前のピックで取るよりも2枚オトクになっているとも言えます。

「我慢」が大切な要素なので、ピックする順番が重要です。

②お互いのピックが完全に分かる

ソロモンドラフトと同じ要素です。
ピックはより細かく、順番に2~4枚ずつピックされていきます。
お互いがピックしたカードに対する方向性の微調整がより大切になっていきます。

③「当たり」「外れ」の束が出にくい

また、ウィンストン同様、パイル単位では1枚ずつしかカードが増えません。
「強い」「多い」ようなパイルに成長することは、どちらかが途中で止めるため発生しにくいです。

④デッキに統一感が出る

これもソロモンドラフトと似ている項目です。
自分が想定するデッキコンセプトに向かいやすいです。
勿論相手も同様なので、ピックの主導権の取り合いが行なわれることが最も特徴的です。

⑤山札を分けている

ウィンストンソロモンと異なる点です。
高レアリティが1つのパイルに偏ることを阻止しています。





『レアカードの分け方』

ルールというよりはマナーやトラブル回避の補足的な説明です。

ウィンストンソロモンでは表を見ないでシャッフルしてしまうため、
「パック」と「出たレアカード」を紐づけられません。
勝者総取りや順番取り、“坊主めくり”なら問題ありませんが、
「自分のパックから出たカードは自分が欲しい」というような場合は、
事前にお互いに自分のレアカード(+フォイル)だけ確認するという手立てがあります。
その場合は、ピックの基準も若干変わりますね。

いずれにせよお互いのパックを混ぜる関係上、
トラブルにならないよう必ずレアカードの分け方は事前に決めておきましょう。





『使用カードセット』

それぞれ公に推奨されてる使用カードセットの特徴が少しずつ異なります。

・ウィンストンドラフト

「そのセットに収録されてるカードをお互いが良く知っていること」

ピックの際に一度に見れる枚数が少ないです。
推測情報が多くなり、ピックの基準が他のカードの予測に基づくことからの推奨理由です。
予測があまり広大になりすぎないよう同一セット×6を強く推奨します。
勿論、お互いが納得の上であればバラバラでも問題ありません。

個人的なお勧めセットは『マジック・オリジン』×6です。


最新セットなので賞品になりやすく、シナジーもあって素直なパワー・カードも多いです。

・ソロモンドラフト
「同じセットのものが多い方が望ましい」。

ピック時に見れるカードが多いです。
カード毎にあまり大きく性質や能力が異なると、対比しにくいかもしれません。
直接対比して、そのカードが強いか弱いかをその場その場で検討することになります。
事前に使用するセットに含まれるカードのテキストを知っている必要は、特にありません。

個人的なお勧めセットは
『タルキール覇王譚』×2『運命再編』×2『タルキール龍紀伝』×2


のように“同一ブロックのパック”です。

大きなコンセプトは統一させつつカードパワーにも時代的な差異がない中で、
「変異」と「大変異」のように似たようなカードの、どちらがより良いかを考えてゆきましょう。

・ウィンチェスタードラフト
「パックでも良いし、ランダムでも良い」。

プレイヤーの選択(我慢)にピックが大きく采配されます。
あまりカードプールの総合的なバランスに影響されません。
バラバラの6パックやコモンだけでも楽しく遊べます。
他のドラフトで使って84枚束の中身全てをお互いが把握している“おかわりドラフト”としても優れています。

個人的なお勧めセットは
「テーロス」「神々の軍勢」「ニクスへの旅」
「タルキール覇王譚」「運命再編」「タルキール龍紀伝」×1


のような“スタンダード再現”セットです。
どんなプールでも楽しく遊べるので、安定して安く入手できて、
かつパワーバランスが大きく崩れない隣接ブロックです。
スタンダード・プレイヤーなら知っているシナジーも使いやすい。というあたりです。

入手自体に難がないなら、タルキール・ブロックの他、アラーラ・ブロックやラヴニカ・ブロックのように
多色をプッシュしたセットは、難しさも楽しさも表現できると思います。

逆に『ミラディン』と『ミラディンの傷痕』、『ラヴニカ:ギルドの都』と『ラヴニカの回帰』、
そして今度の『ゼンディカー』と『戦乱のゼンディカー』のような
“次元縛り”も、強烈なシナジーを持ちつつ特徴的なカードプールになるでしょう。


『参加プレイヤーの数』

ウィンストン・ウィンチェスターは「1人あたり3パック」の基準を維持すれば、3人以上でもピックできます。
特にウィンストンは1周しても大きくピックできる枚数が変わらない為、3人のときにお勧めです。

また3人で10パックなど、パックに多少の差があっても問題なく遊べます。
カジュアルなフォーマットなので、こういった“遊び”の部分が多いのも楽しみ方ですね。





『2人ドラフトのすヽめ』

ちょっとのパックがある。友達が1人いる。
これからはそんなとき、是非2人ドラフトしてみてください。

これまでに味わったことのない、カジュアルなマジックの魅力に触れられることでしょう。

最初に「ウィンストン」で。そのあと、同じプールを使って「ウィンチェスター」で。
3回目はパックを少しだけ追加して「ソロモン」で-・・・
きっと3つとも違うデッキ、違うゲームになるでしょう。

ちょっとのパックを、めいっぱい遊びつくしてみてください。
森安でした。


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