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Text by 森安元希
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『モダンマスターズ2015』
昨日、ついに『モダンマスターズ
2015年版』(略称『MMA2』)の全カードリストが発表になりました。
『MMA2』ではエルドラージ三柱を筆頭に、モダン・プールの代名詞たるカードの面々が再録されました。
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カード・パワーの高さに見合う高値がついていたカードの多くがリストに含まれたことに、喜びの声を上げたモダン・プレイヤーの数は多いのではないでしょうか。
また、優秀なサイドカードであるものの、需要に供給が追いつかず、"手の出しにくい値段"となっていた一部のカードも再録されました。
モダン参入への壁は今、最も低くなったと言っても過言ではないかもしれません。
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(《ハーキルの召喚術》は収録セットの関係上、Magic
Onlineでのみ高騰を続けていた珍しいカードです。)
またレアリティの調整も特徴的な要素の一つです。《稲妻》がその長いキャリアで初めてのアンコモンに。
《野生の末裔》はなんと、レアからコモンになりました。
近年のクリーチャー・スペックの向上を実感させる調整ではないでしょうか。
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(なお、神仏の化身を語源にするクリーチャータイプ"アバター"初のコモンでもあります。)
参加者数合わせて2万にも達しようかという世界3か所同時グランプリ(アメリカ・オランダ・日本)のフォーマットも『MMA2』リミテッドです。
モダンのみならずMTG業界全体において絶大とも言えるセットの発売は、もうじきです。
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『どんな記事にするか』
Damage 4 Wins!(D4W)では、この『MMA2』をどう取り扱うかを決めかねていました。
旧基本セットシステム同様、再録セットである今作では"新しいカード"を軸にデッキが組めません。
特集の仕方を3つの方法に絞って比較・検討してみました。
・『MMA2』に再録されたカードをキーカードにした4ターンキルのモダン・デッキを組むか。
これは最もベーシックな発想だと言えます。
《鏡割りのキキジキ》《欠片の双子》擁する「双子」デッキがとても分かりやすいデッキタイプの一つでした。(ちなみに数種類いる相方は、いずれも再録されていません。)
4ターンキルに限らず《名も無き転置》+《シルムガルの嘲笑》などの特徴ある面白い組み合わせは多そうです。
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超軽量ドラゴン・カード! |
・『MMA2』構築(再録されたカードのみ)でデッキを組むか。
いわゆるブロック構築です。
リミテッド・デッキをよりブラッシュアップさせるような形になります。
そのセット特有のシナジーを最大限に活かせるブロック構築、個人的には好みなのですが今回だと大きく一点、問題があります。
実際に『MMA2』構築はゲームを行う場が一切ないということです。
(スタンダードのブロック構築ならカジュアル・スタンダード的な要素でもあるのですが、カジュアル・モダンとも形が異なります。)
・『MMA2』シールド視線でデッキを組むか。
グランプリ・千葉2015のフォーマットである"『MMA2』シールド"で4ターンキルは達成しえるのか。に焦点を合わせる形です。
リミテッドで、4ターンキルは組めるのか。
これはグランプリ前のタイミングの記事としては最適かもしれません。
D4Wの編集者の一人でもある岩Show氏との話し合いの結果、『MMA2』シールド形式で書いてみることにしました。
なお、書くことを決めた地点でカードリストは半分も公開されていませんでしたので、企画倒れになる可能性もありました。 (編:賭けではありましたね)
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『打点毎にカードに順位をつけていく』
D4Wで言うところの「打点」とは、そのカードが適切なターンにプレイされた場合、4ターン目までに何点を与えられるか、という点数です。
まずは全カードリストを見て、打点毎にカードをソートしていきます。
ここであまりにもカードが足りないのであれば、記事自体を断念せざるをえません。
ピックアップする打点は大きく3つになります。
①一定枚数が必要な6打点。
②それらをサポートする4打点。
③そして6打点以上のキーカードです。
①から順番に見ていきましょう。
見落としがなければ、《吸血鬼の裂断者》《宮廷のホムンクルス》《ゴブリンの戦化粧》
《嵐血の狂戦士》《ヴィーアシーノの殺戮士》の5枚のようです。
6打点カードのうち、他のカードを必要としないカードが1種類だけありました。
《吸血鬼の裂断者》です。色が合えば採用の優先度は高そうです。
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《宮廷のホムンクルス》は2ターン目までにアーティファクトを置くことで6打点です。
親和(アーティファクト)カードを多用したデッキでの採用が主になりそうです。
2マナの《ゴブリンの戦化粧》と《嵐血の狂戦士》は基本的に1ターン目に生物を展開していることが求められますが、どちらも単なる"3/1無能力"以上のスペックを有しています。《嵐血の狂戦士》は《はらわた撃ち》で無理やり狂喜を達成することも可能です。
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《ヴィーアシーノの殺戮士》は色拘束が極端に厳しいものの4ターンに能力を1度起動すると6打点です。(3-4ターン目に続けて起動すると8打点ですが、アクションが足りず4ターンキルが実現出来ません。)
②は枚数が多いので名前だけ羅列します。
1マナ
白:《コーの決闘者》
赤:《トゲ撃ちの古老》
無色:《銅の甲殻》《ダークスティールの斧》
2マナ
白:《古の法の神》《急報》《太陽の槍のシカール》
黒:《薄暮狩りのコウモリ》《鎌の切り裂き魔》《闇の腹心》
赤:《魂光りの炎族》《白熱の魂炊き》
緑:《水辺の蜘蛛》《巣の侵略者》《巨森の蔦》
無色:《突風掬い》《ルーンの苦役者》
多色:《ボロスの速太刀》《ディミーアのギルド魔導士》
3マナ
白:《ミラディンの十字軍》
緑:《野生の末裔》《生育》(X=2)
多色:《アッシェンムーアの抉り出し》
最後の③は、4ターンキルを現実的にする為の必須パーツです。
《鏡の精体》《補強》《セレズニアのギルド魔導士》《印章の祝福》と、専用デッキでの《頭蓋囲い》の5枚です。
ちなみに①②③合わせて34枚あり、『タルキール龍紀伝』が2マナ2/1大変異サイクル含め4打点以上は39枚なので、そう変わらないスピード感が形成できそうです。
《鏡の精体》はスタンダード当時からその爆発力が魅力のカードです。
二段攻撃持ちかトークンと組み合わせ使うことで3ターン目の自身をプレイして終えているタイムロスを取り返せます。
プレイ・ターンの関係上、《幽体の行列》とは4ターンキルではシナジーを形成しません(あくまで、4キルを狙う上でのシナジーに限った話です)。
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《補強》は③のうち、唯一のコモンです。
攻めのみならず受けにも非常に強く、複雑なコンバット・トリックが少ない『MMA2』環境ではトップ・クラスの性能を持っていると思います。
《補強》が2枚取れれば、4ターンキルは間近であると言っても差し支えなさそうです。
一番の相方は《幽体の行列》です。
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実に9点を叩きだすコンビネーション |
《セレズニアのギルド魔導士》もエンド・カード級の《灰色熊》です。
デッキに緑か白を含んでいれば入るので、アンコモンながら良くみる1枚になりそうです。
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旧ラヴニカ・リミテッドの魔物
《印章の祝福》は、1マナであることを赤に譲った(《粗暴な力》)代わりに、オマケのついた《巨大化》です。
相性が良いカードは基本的には《鏡の精体》や《補強》と同じですが、二段攻撃とのシナジーが最も強いです。(プロテクションを持つ《ミラディンの十字軍》を除く)
一番軽いので色が合えば一番融通が利きます。
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これら4枚は白を軸にした場合、同じ方向のカードの為、同じデッキに入るのですが、《頭蓋囲い》だけ趣きが異なります。
親和(アーティファクト)を持つアーティファクトを大量展開するデッキタイプ「親和」のほぼ専用パーツです。
(色拘束がないので単なる+1/+0の装備品として採用することも出来ますが、当然ながら打点は著しく落ち込みます。)
《頭蓋囲い》を活用して4ターンキルを達成する場合、メイン・アタッカーはほぼ間違いなく《宮廷のホムンクルス》か《皮剥ぎの鞘》、《金属ガエル》になるのではないでしょうか。
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4/2! |
今回は、汎用できる《補強》をフィーチャーした白緑デッキを組もうと思います。
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『仮想的カード制限』
組むデッキは決まりましたが、無制限に組んだのではシールドではありません。
かなり緩くはしていますが、レア6枚、アンコモン18枚、コモン60枚の40枚デッキをある程度再現するために、ルールを設けます。
・《補強》は3枚
・レアは3枚まで(神話レアは使わない)
・アンコモンは7枚まで
・《補強》以外の同名コモンは2枚まで
ザックリとはしていますが、これで、現実的にありえそうな程度に抑えて組みました。
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緑白トークン |