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岩Showの『世界、激シブ発見!』その1 
 

text by Iwa Show

 えー久しぶりに、こういう形の記事を書きます。皆様、いつもお世話になっております、岩Showで御座います。プレイヤーとしては何の実績もありませんが、PTで実況をしたという誇れる実績をようやくその手にすることが出来ました。これも、皆様の日々のサポートあってこそであります。改めて、ありがとうございます!

 さて、本題に入りましょ。このコラムは、僕がマジックの情報という潮流の中で「シブい」「激シブ」と思ったものをピックアップして皆様にご紹介~というもの。

マジックはどんな環境でも、最終的にデッキリストは洗練され次の変化を待つものである。新セット発売前の、リストを眺めた時に感じる溢れんばかりの可能性も、発売後に研究・研鑽が進む中で無駄な物をそぎ落とされ綺麗に磨かれ、1つの形へと収束して行く。その様はさながら宇宙。言い過ぎた。まあ、各種プレミアイベントで結果を残したデッキが次第にアップデートされていって結局「ワンチャンある」と言われたカードも出番なく終了、次セットへ…っていうのがね。残酷な現実が…耐えられない!

そぎ落とされたものは本当に要らないものだったのか?某チェーン店も使い道が大いにあるのに捨てられている部位の肉を海外から格安で輸入して、一時代を築いたではないか。TOP8だけがデッキじゃないってぇ!視野を拡げれば、もっとエゲつないアイディアがザクザクとあるのだ!そんなものを紹介していけるコラムを目指して。

 第1回はBMO Vol.3 Legacyから。「エルフ」が優勝して、改めてやり込めばやり込むほど強いというこのアーキタイプの持ち味を披露した。そんな裏で、惜しくもTOP8には残れなかったが、弾けまくっていた(であろう)デッキが2つ、その名を賞金圏内リストに刻み付けた。まずは1つ目をご紹介。


BIGMAGIC OPENレガシー13位 Kubo Haruki
15land
4《教議会の座席/Seat of the Synod》
2《伝承の樹/Tree of Tales》
3《大焼炉/Great Furnace》
2《古えの居住地/Ancient Den》
4《囁きの大霊堂/Vault of Whispers》


26creature
4《信号の邪魔者/Signal Pest》
4《メムナイト/Memnite》
4《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》
4《大霊堂のスカージ/Vault Skirge》
3《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》
3《エイトグ/Atog》
4《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》

19spell
4《オパールのモックス/Mox Opal》
4《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》
4《頭蓋囲い/Cranial Plating》
3《Berserk》
4《物読み/Thoughtcast》

Sideboard
3《被覆/Envelop》
2《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》
1《殴打頭蓋/Batterskull》
1《Berserk》
2《真髄の針/Pithing Needle》
1《鞭打ち炎/Whipflare》
2《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》
3《エーテル宣誓会の法学者/Ethersworn Canonist》

  モダンでもガード(対策)が下がれば頭角を現すデッキ、「親和」。軽量アーティファクトを並べてシナジーを形成、《頭蓋囲い》で打点を高めて一気に押し切るビートダウン。シンプルで、だからこそプレイミスを許さないやり込みデッキの代表格でもある。

レガシーではモダンで禁止されている《教議会の座席》らアーティファクト・土地カードがフル投入出来るため、純粋なアッパーバージョンを用いることが可能だ。可能なのだが…この、惜しくもTOP8まであと一歩及ばなかったデッキは_そもそも、「親和」がこの位置にいること自体が相当にアツいのだが_その構成要素がシブすぎてたまらない。

《エイトグ》と《Berserk》。シブいねぇぇぇぇぇめちゃくちゃシブい!《エイトグ》はそれこそ「親和」が産声をあげた頃には搭載されてはいたが、後に《電結の荒廃者》というこのデッキにおいてはあらゆる面で上回る1枚が登場して以降、だんだんと追いやられて立場を失ってしまったカードだ。『アンティキティー』にて登場し、《サイカトグ》という鬼神の如き亜種を生み出し、アイドル枠として何かと愛される《エイトグ》。

彼(彼女)が還ってきた理由が、《Berserk》。《エイトグ》と《電結の荒廃者》の7枚体制で、モリモリ食べて《Berserk》で倍増パンチドカン!故に、モダンでは微妙な存在になりつつある《物読み》も優先して4枚投入。引く食う引く食う…もう「One Shot Kill」しか見えない。《剣を鍬に》?知らんよ、流行の「青単全知」には入ってないっしょ。そんな姿勢そのものが激シブ。

使用されたKuboさんには1000激シブpoint進呈。何に使えるpointかはどこかの会場でお会いした時にでも。

続く2つ目だが…まずデッキ名がシブい。

「Cozmic Horror」

イイネェ。ではそのリストを見てみよう。

BIGMAGIC OPENレガシー48位 Akita Naoto Cozmic Horror

25land
6《沼/Swamp》
1《島/Island》
4《Underground Sea》
1《Bayou》
4《汚染された三角州/Polluted Delta》
4《湿地の干潟/Marsh Flats》
3《不毛の大地/Wasteland》
2《ミシュラの工廠/Mishra's Factory》

6creature
4《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
2《粗石の魔道士/Trinket Mage》

29spell
4《思考囲い/Thoughtseize》
3《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》
1《冥府の教示者/Infernal Tutor》
1《毒の濁流/Toxic Deluge》
3《渦まく知識/Brainstorm》
3《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
2《真髄の針/Pithing Needle》
1《拷問台/The Rack》
1《呪われた巻物/Cursed Scroll》
3《罠の橋/Ensnaring Bridge》
4《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
1《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas》
2《ズアーの運命支配/Zur's Weirding》


Sideboard
3《Force of Will》
3《死の影/Death's Shadow》
2《見栄え損ない/Disfigure》
2《根絶/Extirpate》
1《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
1《奔流の精霊/Torrent Elemental》
1《概念泥棒/Notion Thief》
1《はね返り/Recoil》
1《毒の濁流/Toxic Deluge》


決して《星界からの恐怖》を用いている訳ではないが…そのリストは、「見たことあるようで実は全くない」そんな感想を見れば見るほど思う、不思議なものである。

土地構成からして、異形と呼ぶほかない。一見所謂「スゥルタイ・デルバー」のように見えるがよくよく見れば沼が圧倒的に多い。クリーチャーは定番の《死儀礼のシャーマン》と…《粗石の魔道士》?この時点でもうクェスチョンが止まらない。そしてスペル群…おぉ、わからん!一見しただけではちょっとわからんよ!整理して見ていこう。


・0&1マナ


ここまではわかる。お約束というか義務というか。ブレスト3枚というのが既にシブいけど。






なんなんよこのメンツ!シブすぎんだろうが!まあ粗石から1マナアーティファクトをシルバーバレットする、所謂「ほぞ」戦略であるが、それにしても《拷問台》《呪われた巻物》はすごい。爆薬もオマケの除去ではなく、メイン除去として3枚。これは珍しい。




・2マナ


ナンジャコリャー。しかもこれ1枚だけ!「ANT」「ベルチャー」でしか見たことない1枚やで…これはちょっとヒントになるね。《拷問台》…うん、ちょっとずつ見えてきた。




・3マナ


やっぱりね。そんな予感はした。このデッキは、現代によみがえった「エンプティハンド・ロック」だ!それ何?という方は僕が随分と前に書いたこちらを読んでみて欲しい。

Deck Remember Vol.2 「エンプティハンド・ロック」

当時は《罠の橋》と《底なしの奈落》でお互いの手札が空の状況を作りつつ攻めさせない、というデッキだった。この奈落が、純粋にカードパワーで勝りつつ同様の効果を持つリリアナに置き換わっているのだ。これは…チョイスがシブすぎる。橋を貼ったら後は死儀礼ビームをバカスカ撃ちこめ!




・4マナ


テゼレットはロックが決まった後の勝ち手段であり、《罠の橋》を探す役割も兼ねる。そして《ズアーの運命支配》!こんなんねぇ、たまらんですよ!リリアナと手札破壊で相手の手を落としきったならば、後はこのカードで蓋をするだけ。毎ターンの2点の支払いは《死儀礼のシャーマン》がもたらしてくれる。ロック、完了。このラインのカードを複数搭載するのは少々リスキー。故に《冥府の教示者》が採用されているのだろう。かつてのエンプティが《吸血の教示者》を採用していたように…。

サイドボードにも《はね返り》《奔流の精霊》と激シブチョイスが光る。両者共に死儀礼との相性も素晴らしい。これは、まさしく我々が知覚出来なかった次元の狭間からやって来た物体X。コズミック・ホラーと呼ぶべき形だ。

Akitaさんには666000激シブpoint進呈。激シブHall of Fameに一歩先んじた形となる。



いやー、どないでしたか?シブかったでしょ!?両名とも、深い愛情とやり込みを感じる非常に美しいリスト、そしてマネーフィニッシュという実績。僕のような激シブ中毒者からすると「ありがとうございます」の一言しか出てこない。本当に、感動させていただきました。またの活躍を、心より祈っております。

それではまた、世界のどこかでシブいものを見つけた時にお会いしましょう!皆の激シブ報告も待ってるよ!

Stay Cool! Enjoy Magic!


 
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