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コウ チャンス「グランプリ名古屋レポート後編」
 
text by Changs kou 

 こんにちは、高暢秀です。

 前回の続きとしてGP名古屋の二日目、ドラフトについてかいていきます。

 まだ前編を読まれてない方は是非そちらの方からよんでみてください。

 では早速始めましょう。



 二日目のフォーマットはテーロスブロックドラフト。
前日のシールド戦と同じパックを使うのに環境はガラッと姿を変えるのが特徴だ。

 特にシールドとの違いで意識しなければならないのがスピードと多色化についてだ。

 スピードについては一般的にはドラフトの方がシナジーを意識してデッキを構築できるためその環境のキーワード能力やコンセプトによっては速くなる。

 今回のテーロスブロックでは授与と英雄的という二つのキーワード能力が圧倒的に攻めに向いている事からシールドに比べてスピードは速くなっている。

 それに伴って多色化するのはスピードダウンにつながるため向いていないと言える。

 つまり相手のスピードに置いて行かれないように2色でまとめた方がよい。

 そのためこの環境は色を読んで上下に座ったプレイヤーがピックしていない色をピックすることが今まで以上に重要である。


 ここまでがドラフトをするに当たっての条件でこれを踏まえて今回の作戦は

1.空いている色はなんでもやる。
空いていると感じたらどんどん色変えをして行く。
そのためにも1パック目に最低1色を軸として決める。

2パック目以降は軸と定めた色のカードは少し点数アップさせつつ2色目を探す。
こうすることで2色目の選択を遅らせることができ、尚且つカードの確保もできる。
このやり方はデッキが強くなりづらいが失敗もしづらいのが特徴だ。

2.黒はできれば遠慮したい。
なんでもやると言ったばかりだが黒はできれば遠慮したい。
黒は1パック目が他の色に比べて非常に弱いため軸として選択しづらいし、2パック目以降は強いため2色目を探していた他の人に参入される恐れがある。
遅く黒の高得点カードが流れてくるならもちろん取るが少し点数を落としてピックしていくことにする。

3.ダブルシンボルのカードは出来るだけ避ける。
この環境はダブルシンボルのカードがたくさんあるがこれらをたくさん取ってしまうと非常に事故りやすくなってしまう。
出来るだけ避けてピックすることで事故の確率を下げるのが目的。



以上3点を踏まえてピックスタート。


1-1 《勇気の元型》
他の候補は《窒息死》《灼熱の血》くらいで比較的弱めのパックの中に隠れていた強力なカードをピック。

1-2 《窒息死》
《窒息死》と《散兵の精鋭》の選択。
1-1に合わせて《散兵の精鋭》も良いがカードの強さでは《窒息死》が上と判断してこっちで。

1-3 《散兵の精鋭》
他には《灼熱の血》との選択と弱めのパックだが弱いパックの中に必ず白のカードが余っていることから白が空いているように感じたので白を軸に据えようとしてみる。

1-4《理想の調停者》
ここで青のレアが流れてくる。
シールドと違ってドラフトはスピードがはやいため無条件に強いとは言えないが6マナを払う価値は十分にある。
他の候補としては《オレスコスの太陽導き》、《散兵の精鋭》、《フィーリーズ団の精鋭兵》など。
やはり白が空いているように感じる。

1-5 《ニクス生まれのトリトン》
青が空いているのかとピック。
他にはまた《灼熱の血》が残っていた。

1-6 《散兵の精鋭》
《ケラノスの稲妻》がまだ残っていたが下と被りやすいし軸となりそうな白のカードがあるなら今はそれをピック。


 その後は白のカードを中心にピック。
青は1-5以降なにも取れなかったが2色目候補としては一番手。
そんなことを考えながら2パック目。

2-1《目ざといアルセイド》
地味目なパックだが強力な授与カードをピック。
レアの《クルフィックスの預言者》や《ナイレアの試練》にもそそられるが作戦通りにピックを進める。

2-2《トリトンの戦術》
非常に読みづらいのに嵌った時の効果は絶大なトリックをピック。
他には《葉冠のドライアド》、《旅するサテュロス》、《地平線のキマイラ》が候補だったが2色目候補としては青の方が上とこちらをピック。

2-3 《波涛砕きのトリトン》
神々の軍勢が加わってから授与が増えた関係で強くなった1枚。
他には《旅するサテュロス》がある。
緑はかなり空いているようだが他に十分な選択がある以上はこっちを。

2-4 《ラゴンナ団の長老》
少し弱いが仕方が無い。
ここでも緑の《恭しき狩人》が流れてくるがここから緑に入るのはためらわれる。

2-5 《信条の戦士》
ついに緑のカード以外見るもののないパックが。
ここからでもはじめられるのか?

2-6 《ラゴンナ団の長老》
このままだと失敗しそうなので多色に逃げるための《ナイレアの存在》と悩むが緑も薄くなりそうな現状では《ナイレアの存在》を当てにできないためこちらをピック。

2-7 《地平線のキマイラ》
このへんで3色になることを覚悟する。

2-8 《セテッサのグリフィン》
緑白でもいまいちだがこのままだとカードの枚数に不安が残るため押さえておく。

2-9 《ナイレアの試練》
2-10 《葉冠のドライアド》
2-11 《蛮族の血気》

 もうここまでされたら緑をやるしかない。
2-10では《旅するサテュロス》まで残っていて上も緑になってそうで不安しかないがこのまま弱いデッキが出来上がるのを見ているよりもあがいてみる。


 この時点で3色になりそうだが3パック目でどうにか修正できるよう頑張る。

3-1《葉冠のドライアド》
緑の本格的参入。
《パーフォロスの槌》もいまからではもう遅い。

3-2 《恩寵の重装歩兵》
3-3 《密集軍の指揮者》
3-4 《ヘリオッドの試練》
この辺りで少し光がさしてきたか。

しかしこれ以降はパック自体が弱いのか中々プレイアブルカードが回ってこない。
そして

3-8 《ナイレアの存在》
《英雄の記録者》もあったがこの時点で青な混ざってしまうのは仕方ないため色マナサポートをピック。

以下略


  このように当初の作戦から外れまくったが出来上がったデッキはこちら。

sample pool
16land
16基本地形

15creature
1《恩寵の重装歩兵/Favored Hoplite》
2《葉冠のドライアド/Leafcrown Dryad》
1《密集軍の指揮者/Phalanx Leader》
2《ラゴンナ団の長老/Lagonna-Band Elder》
2《散兵の精鋭/Elite Skirmisher》
1《勇気の元型/Archetype of Courage》
1《波濤砕きのトリトン/Wavecrash Triton》
1《ニクス生まれのトリトン/Nyxborn Triton》
1《目ざといアルセイド/Observant Alseid》
1《エファラの管理人/Ephara's Warden》
1《信条の戦士/Staunch-Hearted Warrior》
1《セテッサのグリフィン/Setessan Griffin》

9spell
1《トリトンの戦術/Triton Tactics》
1《戦士の教訓/Warriors' Lesson》
1《くぎ付け/Hold at Bay》
1《存在の破棄/Revoke Existence》
1《ケイラメトラの好意/Karametra's Favor》
1《蛮族の血気/Savage Surge》
1《ナイレアの存在/Nylea's Presence》
1《ヘリオッドの試練/Ordeal of Heliod》
1《ナイレアの試練/Ordeal of Nylea》


ダブル試練だったり優秀な授与があったりと目を引く部分もあるがバランスも悪くかなりの失敗ドラフト。
トップ8を目指すには3-0縛りだがかなり厳しい。
それでもやるしかないとやるだけやった結果

R10 負け
R11 勝ち
R12 勝ち


 トップ8の芽はなくなるもの2-1と踏ん張る。
周りも少し失敗気味なデッキが多く強い部分をしっかりと引けたためどうにか勝ち越せた。

  R10では上家とあたったが青緑をピックしていた。
色読みが大切と言っておきながら上と被ってしまった。


 トップ8の芽はなくてもここからは一つでも順位をあげて賞金額のアップを目指す。
おそらく10-4-1までが賞金圏内で現在9勝しているので最初の二つのうちどちらかに勝てれば最終戦IDで賞金は確保できる計算だ。

 そんなことを考えつつセカンドドラフト。

1-1 《アクロスの徴兵人》
神啓と凄まじいシナジーを形成するだけでなく展開を円滑にしてくれる《バネ葉の太鼓》と悩む。
《バネ葉の太鼓》は周りの評価がかなり低いのでその強さについてもっと語りたいところだが別の機会にとっておこう。
かなり悩んだが《アクロスの徴兵人》の強さは別格とこちらをピック。

1-2 《撤回のらせん》
他の選択肢は《ティマレットの召使い》くらいで文句なく優秀なスペルを確保。

1-3 《ニクス生まれのトリトン》
青が空き気味かなとこれをピック。
《墓荒らし蜘蛛》があるがこれは緑黒でこそ真価を発揮するカードなので今回は見送る。

1-4《メレティスの天文学者》
これに授与を重ねるだけで勝ててしまうカード。
これがあると《層雲歩み》などのキャントリップ付きオーラの点数も上がる。
また、このときにも《墓荒らし蜘蛛》があったが先ほどと同様の理由でスルー。

1-5《保護色》
優秀なコンバットトリックをここでピック。
緑のカードが数枚あったがそれほど高得点のカードは含まれていなかったため流して下を誘導する。

1-6《オレスコスの太陽導き》
1-7《ニクス生まれの盾の仲間》

連続で白の中堅クラスが流れてきて白も薄いのかなとピック。

1-8《層雲歩み》
キャントリップ付きのオーラはさっきピックした《メレティスの天文学者》や英雄的との相性は抜群。

1-9《バネ葉の太鼓》
なんと周りの評価が低かったのか初手で断腸の思いで流した《バネ葉の太鼓》と再開。


1パック目終了時点では少しクリーチャーが少なめだが青を中心に2色目の第一候補としては白、二番手として赤と考えながら2パック目へ。
ちなみに上から全く黒が流れてこなかったため上は黒と予想、2色目候補から実質はずす。


2-1《波涛砕きのトリトン》
ファーストドラフトでも述べたように評価の上がった1枚。
《メレティスの天文学者》と合わせて青のオーラ系デッキを目指したいところ。

2-2《悪夢の織り手、アショク》
黒を2色目候補からはずすと言ったな。
すまん、ありゃあ嘘だ。
さすがにこのレベルのボムは見逃せない。
《航海の終わり》があったが比較にならない。
まだ青黒と決めたわけではなく、むしろよくても黒はタッチで使うつもりでいたが強力なプレインズウォーカーをピックできてご機嫌状態。
しかしこのアショクが本当に悪夢を連れてくることなどこのときはまだ知る由もなかった・・・

 ここから青も白も赤も緑も全く流れてこなくなる。
流れてくるのは・・・黒ばかり。

 本来これは《悪夢の織り手、アショク》をピックしたこととも噛み合っていて喜ばしい展開のはずなのだが流れてくるのはスペルばかり。
結局ここでは《ファリカの療法》を2枚と《鞭の一振り》そして遅めに流れてきた《アスフォデルの灰色商人》などをピックして2パックは終了。

 この時点でピックしたカードの中に攻めるカードは皆無。
だがまだ3パック目があると攻めるカードの点数をアップしながら3パック目へ。


3-1《形見持ちのゴルゴン》
黒のアンコモンの中でもかなり強い部類のカードを獲得。
《航海の終わり》もあったがこれはスペル過多の現状無理に確保することはない。

3-2《前兆語り》
攻めるカードも特になかったので《悪夢の織り手、アショク》を探しながらマナカーブを埋めてくれるこのカードをピック。

3-3《蒸気の精》
軽くて殴れるカード。
《ファリカの療法》があったがほしいのはクリーチャー。

3-4《海檻の怪物》
条件付きながらもサイズは優秀。
それにしても黒は流れてこない。
やっぱり上がやっているようで喧嘩してしまったようだ。

3-5《ファリカの癒し人》
取るものがないためタッチで使う可能性を考慮してピック。
しかしさっきから目の前を通り過ぎる優秀な緑のカード群。
《定命の者の宿敵》2、《旅するサテュロス》3、《ネシアンのアスプ》などなど。
完全に色をミスってしまったようだ。


 このあとも特に攻めるカードをピックすることができずにドラフト終了。

できたデッキはこのようになった。


sample deck
16land
15基本地形
1《未知の岸/Unknown Shores》

13creature
1《苛まれし英雄/Tormented Hero》
1《アスフォデルの放浪者/Asphodel Wanderer》
1《メレティスの天文学者/Meletis Astronomer》
1《青銅の黒貂/Bronze Sable》
1《蘇りし者の密集軍/Returned Phalanx》
1《蒸気の精/Vaporkin》
1《前兆語り/Omenspeaker》
1《波濤砕きのトリトン/Wavecrash Triton》
1《海檻の怪物/Sealock Monster》
1《形見持ちのゴルゴン/Keepsake Gorgon》
1《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》
1《ファリカの癒し人/Pharika's Mender》
1《ニクス生まれのトリトン/Nyxborn Triton》

11spell
1《旅行者の護符/Traveler's Amulet》
1《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》
1《撤回のらせん/Retraction Helix》
1《予記された運命/Fate Foretold》
1《層雲歩み/Stratus Walk》
2《ファリカの療法/Pharika's Cure》
1《保護色/Crypsis》
1《悪夢の織り手、アショク/Ashiok, Nightmare Weaver》
2《鞭の一振り/Lash of the Whip》


弱い。
弱すぎる。

このデッキはどうやって勝つのだろうか。
明らかに色選択をミスったという感じが伝わってくる。

それでもあきらめるわけにはいかない。
緑の強力カードを大量に流しているのでメインから《アスフォデルの放浪者》を採用してみた。

完全に《悪夢の織り手、アショク》頼みという感じだが所詮デッキに1枚しか入っていないカード。
そうそう世の中都合よくいくわけが・・・・


R13勝ち
R14勝ち



!!!
都合よかった!!
毎回登場する《悪夢の織り手、アショク》をしっかり守りとおして2連勝を達成。
無事最終戦をIDを選択することでGP名古屋は終了。
通算11勝3敗1分の44位で賞金300ドルをゲット。


反省
もうドラフトに関しては反省しかない。
色選択を2回ともしっかりとできなかった。
運よくドラフトを4勝1敗1分にできたがこれではいけない。
原因は単純な練習不足があげられる。
シールド練習に時間を割きすぎたのだ。
このあたりのバランスは難しいのだけどこれからの課題としていく。



 どうだっただろうか?

 リミテッドは運の要素が強いフォーマットかもしれないが考えることはこんなにもたくさんある。

 むしろ練習をしっかりと積みさえすれば技術介入要素が構築戦よりも多いので勝ちやすいとすら思える。

 次のリミテッドシーズンではみんなもリミテッドをやりこんでみてはどうだろう。

 いや、リミテッドシーズンに限らず新しいパックが発売されるたびにパックを剥くついでにシールド戦を楽しんでみるのもいいだろう。

 ちょうど新しくニクスへの旅が発売されるので是非おためしあれ。


 パックをお買い求めの際は是非お近くのビッグマジックで!!!


 それではまたの機会にお会いしよう。



 
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