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黒田正城「私は赤いカードが大好きだ」 
 
text by Masashiro Kuroda


私は赤いカードが大好きだ。

 直接的な火力呪文、速攻のついた前のめりなクリーチャー陣、そして御大のドラゴン。すべてが美しい。赤いデッキを使うことができるのはとても幸せだ。


 そして、今のスタンダード環境はとても面白い。少し目立つデッキがあるのは事実だが、どんなタイプのデッキにも勝ち目があり、これだけ環境が成熟した状況でも、エスパー人間のような新しいデッキが生まれてくる。
グランプリに参加するプレイヤーがどんどん増えているのも納得だ。

 もうすっかりおっさんプレイヤーとなってしまった私には、マジックだけをずっと考えていられる時間的余裕がなくなってしまった。
しかし、今の環境になってからというもの、マジックに触れる時間は大きく増加している。
それはこの環境が持つ魅力が原因だろう、と思っている。



 では、その魅力とは何か?

 赤いデッキが強いからに決まっているじゃないか。



 本稿では、もうすっかりおなじみとなった「赤信心」というアーキタイプに対する考察をしてみたい。と言っても、いまさら赤信心のデッキ構成や動き方を説明する意味はないと思うので、私がここまでに得た経験を、皆さんに共有する方向で進めていきたい。



 まずは私のデッキ紹介から。
メイン、サイドの微妙な入れ替えはあるものの、1ヶ月以上ほとんど構成が変化していないので、完成系に近いと自負している。



Sample Deck
25land
4《凱旋の神殿/Temple of Triumph》
4《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
3《ボロスのギルド門/Boros Guildgate》
10《山/Mountain》
4《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》

25creature
4《灰の盲信者/Ash Zealot》
4《凍結燃焼の奇魔/Frostburn Weird》
4《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary》
4《ボロスの反攻者/Boros Reckoner》
4《モーギスの狂信者/Fanatic of Mogis》
3《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》
2《鍛冶の神、パーフォロス/Purphoros, God of the Forge》


10spell
2《パーフォロスの槌/Hammer of Purphoros》
3《岩への繋ぎ止め/Chained to the Rocks》
3《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
2《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》
15sideboard
1《岩への繋ぎ止め/Chained to the Rocks》
1《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
1《異端の輝き/Glare of Heresy》
1《鍛冶の神、パーフォロス/Purphoros, God of the Forge》
2《摩耗/損耗/Wear/Tear》
2《神々の憤怒/Anger of the Gods》
2《軍勢の集結/Assemble the Legion》
2《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun's Champion》
3《ボロスの魔除け/Boros Charm》


 それでは、有力デッキに対する戦い方を簡単に説明しよう。
 各デッキへの相性も参考程度に記載してみたが、あくまで個人的な感覚なので異論のある方はぜひご意見を。



・黒単系(相性  8-2)


 メインは五分程度の相性だがサイド後に激変、圧倒的有利になる。環境のトップメタに対し有利だということが、赤信心を使う大きな利点である。


サイドin

2《ボロスの魔除け/Boros Charm》
2《軍勢の集結/Assemble the Legion》
2《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun's Champion》
1《鍛冶の神、パーフォロス/Purphoros, God of the Forge》



サイドout

4《モーギスの狂信者/Fanatic of Mogis》
3《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》




信心を高めるための心得

その1:単体除去に弱い《モーギスの狂信者/Fanatic of Mogis》《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》を使わないこと。

 赤信心の象徴とも言えるこのカード、除去だらけの黒単を相手にしたときはこんなカードに変身する。

4マナ4/2、場に出たときに1点のダメージをプレイヤーに与える。

 その後、《変わり谷/Mutavault》か《夜帷の死霊/Nightveil Specter》か《群れネズミ/Pack Rat》と相打ちになる。

 おお、弱い。弱すぎる。こんなクリーチャーが役に立つはずもない。

 これを最初に教えてくれた調整仲間には本当に感謝。(恥ずかしいことに自分では気づかなかった…)
同じ理由で《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》も退場。
5マナで「対戦相手に4点のダメージを与えるかもしれない」なんてカードは、《溶岩の斧/Lava Axe》よりも圧倒的に弱い。



その2:2ターン目の動きをよく考えること。

 相手が先手で沼2枚が立っている状態のとき、2マナのクリーチャー(特に《灰の盲信者/Ash Zealot》)をプレイしないように。
相手に「どうぞその余っている2マナを使ってください」と言っているようなもの。
 いつも使えるマナをすべて使って、最速の動きをすることが最善手ではない。



その3:《鍛冶の神、パーフォロス/Purphoros, God of the Forge》に祈りを捧げること。

 本体も強力だが、《パーフォロスの槌/Hammer of Purphoros》は場に出れば圧倒的優位に立てるカードである。3ターン目には最優先でプレイし、捨てさせられるようなことが無いように気をつけよう。



この3点を意識して戦えば、この対戦で負け越すことはまず無いはずだ。



・青単(相性  4-6)


 《海の神、タッサ/Thassa, God of the Sea》《波使い/Master of Waves》のツートップにいつも悩まされるマッチ。
こちらが勝つときは、《モーギスの狂信者/Fanatic of Mogis》で10点前後のダメージを与える逆転パターンが多い。

サイドin

2《摩耗/損耗/Wear/Tear》
1《岩への繋ぎ止め/Chained to the Rocks》
1《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》



サイドout

2《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》
1《パーフォロスの槌/Hammer of Purphoros》
1《鍛冶の神、パーフォロス/Purphoros, God of the Forge》




信心を高めるための心得

:《岩への繋ぎ止め/Chained to the Rocks》を安易に使わないこと。

 当たり前の話だが、このカードは上記の2枚に触れることができる唯一のカードで、命綱である。
よーく考えて使うようにしよう。



:できる限り《凍結燃焼の奇魔/Frostburn Weird》を出さないこと。

 《家畜化/Domestication》されると相手の信心が4も増えて悲惨なことになる。
相手の場に《凍結燃焼の奇魔/Frostburn Weird》がいるとき、ついつい《灰の盲信者/Ash Zealot》ではなくこちらを出してしまいがちだが、戦況が好転するわけでもなくリスクだけが高まるので注意しよう。



:《急速混成/Rapid Hybridization》を常に意識すること。

 このカードは戦況が激変してしまう、致命的なカードである。1ターン目から気をつけて見ていれば、気配を察知することはできるはずだ。
攻撃のタイミングは特に注意しよう。



 あまり有利なマッチアップではなく、負けた経験も一番多い。
だが最近は数が大きく減ったように思われるので、赤いデッキにとっては追い風だ。



・青白(相性  6-4)


 世の中一般には青白が圧倒的有利という評判をよく聞くのだが、私自身は青白に負けた記憶がほとんど無く、なぜそういう評価なのか非常に疑問に思っている。

 一度100戦ぐらいやって統計を取ってみたい。面倒なのでやらないが・・・。

サイドin


2《摩耗/損耗/Wear/Tear》
2《軍勢の集結/Assemble the Legion》
2《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun's Champion》
1《異端の輝き/Glare of Heresy》
1《鍛冶の神、パーフォロス/Purphoros, God of the Forge》
3《ボロスの魔除け/Boros Charm》



サイドout


3《岩への繋ぎ止め/Chained to the Rocks》
3《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
4《ボロスの反攻者/Boros Reckoner》
1《凍結燃焼の奇魔/Frostburn Weird》

信心を高めるための心得

:除去はすべてサイドアウトすること。

 《テューンの大天使/Archangel of Thune》が気になるという意見もあるが、《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》を立たせておけば、そのうち相手が耐え切れなくなって《至高の評決/Supreme Verdict》が飛んでくる。
 《異端の輝き/Glare of Heresy》がたまたま刺さることもあるので、とにかく無駄カードをデッキに残さないことが大事だ。(黒が入って《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa》が出てくるタイプだと、ドラゴンが死んでしまうためサイドボーディングがかなり難しくなる。)



:《拘留の宝球/Detention Sphere》を常に意識すること。

 《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》や《軍勢の集結/Assemble the Legion》、《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun's Champion》など、赤信心は非常に強力なパーマネントをたくさん有している。
 青白は《拘留の宝球/Detention Sphere》でしか対処できないため、どれに使わせるか意識しながら展開していこう。このカードをクリーチャーに使ってくれると、その後の展開がぐっと楽になる。
 最終目標は、《鍛冶の神、パーフォロス/Purphoros, God of the Forge》と《軍勢の集結/Assemble the Legion》、もしくは《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun's Champion》を場に残すことだ。



・同系(相性:もちろん5-5)


練習量の多い方が勝つ。運ゲーではない。


サイドin

2《神々の憤怒/Anger of the Gods》
2《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun's Champion》
1《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
1《岩への繋ぎ止め/Chained to the Rocks》



サイドout

4《モーギスの狂信者/Fanatic of Mogis》
2《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》
 除去山盛りの消耗戦。アドバンテージの取れるチャンドラは残した方が良いかもしれない。1点のダメージではクリーチャーを除去できないので、今は抜いているが…



信心を高めるための心得


:《モーギスの狂信者/Fanatic of Mogis》をあきらめること。

 これは賛否両論あるだろうが、私は必ずこの形で戦っている。ミラーマッチでこのカードが決め手になった回数より、押されているときに引いて腹が立った回数の方が多いためだ。



:強気にマリガンすること。

 経験上、この対戦は5枚でも十分勝負になる。中途半端な手札では一瞬で負けてしまうこともあるので、マリガンはためらわないようにしよう。
特に、先手で山1枚、ニクソス1枚のときはやらないことをおすすめする。次のターンにアンタップインの赤マナを引く確率は非常に低い。



:毎日山を100回タップすること。

 信心が高まり、初手に《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary》が来る確率が高まるらしい。



・エスパー人間(相性:6-4)



 タップインの土地がとても多いため、展開で一歩リードできる。しかし、サイド後はゲーム展開が大きく異なってくるため見極めが難しい。
 いずれにしても、インスタントが入っていない赤信心は《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council》がどうにもならないので、それまでに決着をつける必要がある。

サイドin

1《岩への繋ぎ止め/Chained to the Rocks》
1《異端の輝き/Glare of Heresy》
2《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun's Champion》
2《摩耗/損耗/Wear/Tear》



サイドout

3《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
3《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》




信心を高めるための心得

:展開力を重視すること。

 エスパー人間が新しいタイプのデッキと言うこともあり、まだ確信が持てていないのだが、《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》で相手のしょうもないクリーチャーを除去するより、自陣を整えることの方が大切だと思われる。除去をたくさん入れても、長期戦になって相手が喜ぶだけなので注意しよう。



:エスパー人間側のサイドボーディングを把握すること。

 使う人によってサイドイン/アウトが大きく異なるようだが、タフネス1のクリーチャーを大量に抜いて、長期戦に持ち込むパターンが多いように思う。出てきたカードを記憶して、3本目にもつれこんだときのサイドを考えよう。



:とにかく最速で攻撃すること。

 全体的にはやや有利という印象だが、《冒涜の悪魔/Desecration Demon》と《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council》の連打を食らうと大抵負けパターン。そうさせないためには、序盤に大きくライフを削っておくことがとても大事なので、サイドボード時に軽いクリーチャーを減らさないようにしよう。





ということで、最近よく目にする4タイプのデッキに対する戦い方をまとめてみたが、皆さんの反応はいかがだっただろうか?
 同じデッキを使っていても、まったく違った意見の人もいると思うので、是非感想を聞かせてほしい。

 ちなみに「神々の軍勢」が入った後の赤信心はどうなるだろうか?







 《宿命的火災/Fated Conflagration》と《炎輪のフェニックス/Flame-Wreathed Phoenix》など、期待できるカードもいくつか存在するためまだまだこのデッキは可能性がありそうだ。また、《歓楽の神、ゼナゴス/Xenagos, God of Revels》のように赤絡みの多色カードも魅力的。今は赤白が飛びぬけて強いが、違った色の組み合わせも是非試してみたい。



 ただ、非常に気になる点がひとつ。
 今まで有利がついていた黒単(タッチ緑や白も含む)が、《悲哀まみれ/Drown in Sorrow》という全体除去を手に入れた。これによって序盤の展開力が大きく削がれたり、《冒涜の悪魔/Desecration Demon》を寝かせるための兵士トークンが全滅したりという危険が高まってしまった。プレイングでカバーできる範囲だとは思われるが、今後注意が必要だろう。



 それでは新しいカード一覧を眺めつつ、まずは来週のプレリリースでお会いしましょう!


 
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