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岡本桂多のKill them All! 第6回 コンボを制するものは統率者戦を制する(前編) 
 
text by Okamoto Keita


「Kill them All!」を達成するために



 今回は色ごとに使われるカード単体を見ていくのではなくて、統率者戦特有の要素「無限コンボ」について紹介していきたいと思います。

 まず、統率者戦では対戦相手が3人いて、それぞれライフが40点ずつあります。その合計120点のライフを愚直にクリーチャーの攻撃などで削っていたのでは工夫をこらさない限り削りきることは難しいでしょう。

 この120点をどう削るかを考えるのも楽しいのですが、マジックでは反則技ともいえる「無限コンボ」がそれこそ無数にあり、それらが成功すれば対戦相手を全員同時に撃破してしまう事も簡単です。

 無限コンボは数多く存在しますが、実際に採用されるものは大分限られます。それにはいくつかの理由があります。

A:コンボパーツの枚数(最低2枚必要。3枚はギリギリ許容範囲だが4枚以上はあまり現実的ではない)

B:無限パーツの汎用性(コンボパーツの片方が処理されてしまった時や引かなかった時にちゃんとカード1枚分の仕事をしてくれるかどうか)

C:対処のしづらさ(クリーチャー除去、墓地対策が効くかどうか)

D:墓地対策耐性(墓地対策が効くかどうか)
各項目5点満点、合計20点満点で評価をしていきます。


 また、今回の無限コンボの紹介で何度も「生け贄手段」という単語を用いる予定です。これは、クリーチャーを生け贄に捧げる手段ではありますが、《出産の殻/Birthing Pod》などの使用回数・タイミングが制限されるものや、《カルテルの貴種/Cartel Aristocrat》のように勝利につながらないものは無限コンボには適さないのでなんでも良いというわけではありません。

 理想的な生け贄手段は《爆破基地/Blasting Station》か赤を含んでいれば《ゴブリンの砲撃/Goblin Bombardment》。次点で《アシュノッドの供犠台/Ashnod's Altar》か《ファイレクシアの供犠台/Phyrexian Altar》が挙げられます。



 2種類の供犠台では大抵の場合無限にマナが発生するだけなので、フィニッシュ手段が他に用意できない状況では勝利につながらないため一歩遅れをとっている形になります。



1.《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》関連

使用色:or黒or



《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》+《修復の天使/Restoration Angel》or《詐欺師の総督/Deceiver Exarch》or《士気溢れる徴集兵/Zealous Conscripts》or《やっかい児/Pestermite》

《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》+《稲妻造り士/Lightning Crafter》+生け贄手段

《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》が墓地にいる状態で《壊死のウーズ/Necrotic Ooze》+生け贄手段or墓地に《モグの狂信者/Mogg Fanatic》

A.コンボパーツの枚数★★★★★(最低2枚でコンボ)

B.汎用性:★★★★★(《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》も相方も単体でカード1枚分の仕事はする)

C.単体除去耐性:★☆☆☆☆(コンボパーツの相方次第ではあるがソーサリー除去に対してのみ耐性あり。タフネスが低くなりがちなので軽いクリーチャー除去で妨害されやすい)

D.墓地対策耐性:★★★★★(《壊死のウーズ/Necrotic Ooze》を使うルートでない限り、墓地対策は効かない)


 20点中16点の高得点の無限コンボです。

 《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》の相方は瞬速を持っているものが多く奇襲性に富んでいます。

  最速でコンボを決めに行く動きも強力ですが、あえて決めに行かず、統率者を囮にして相手に除去を使わせてからコンボを決めると玄人っぽく見えます。

 《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》と《士気溢れる徴集兵/Zealous Conscripts》は特に赤を含んでいればどちらもすんなりとデッキに入るため、非常に難しいですが警戒は怠らないようにしないといけません。

 このコンボの弱点はなんと言ってもクリーチャー除去に対する耐性の低さです。ほとんどのインスタント除去が効くので、可能な限り構えられるようにしましょう。あらかじめ《呪われたトーテム像/Cursed Totem》や《静寂の守り手、リンヴァーラ/Linvala, Keeper of Silence》で起動型能力を封じておくのも手です。


2.《不浄なる者、ミケウス/Mikaeus, the Unhallowed》+《トリスケリオン/Triskelion》

使用色:黒


A.コンボパーツの枚数:★★★★★

B.汎用性:★★★☆☆(《トリスケリオン/Triskelion》の単体での弱さが目立つ)

C.単体除去耐性:★★★☆☆(《トリスケリオン/Triskelion》への除去は意味がなく、《不浄なる者、ミケウス/Mikaeus, the Unhallowed》はタフネスが高くて黒いのである程度除去耐性を持つ)

D.墓地対策耐性:★★☆☆☆(墓地対策でコンボは止まるが単体で強い《不浄なる者、ミケウス/Mikaeus, the Unhallowed》は場に残るので完全に盤面は崩壊しない。)


 20点中13点のまずまずのコンボです。

 クリーチャー2枚のみのコンボで、戦闘フェイズを待たずに勝負を決める事が出来ます。また、デッキに黒が混ざっていれば簡単に採用する事が出来、コンボパーツのどちらも非常に安価ということもあり、よく見かける事があるコンボになっています。

 このコンボは始動する際にどうしても隙が生じてしまうので、《生き埋め/Buried Alive》から《犠牲/Victimize》や《生ける屍/Living Death》、《歯と爪/Tooth and Nail》や《中心部の防衛/Defense of the Heart》などで一気に場に出してKill them All!すると最高にクールです。

 黒単や黒緑系のデッキではこのコンボが採用されている事が多く、色によっては除去しづらい事があるので墓地対策でけん制するようにしましょう。


3.《壊死のウーズ/Necrotic Ooze》+《トリスケリオン/Triskelion》+《Phyrexian Devourer》

使用色:黒



A.コンボパーツの枚数:★★☆☆☆(3枚コンボだが《壊死のウーズ/Necrotic Ooze》以外は墓地にいてOK)

B.汎用性:☆☆☆☆☆(《Phyrexian Devourer》と《トリスケリオン/Triskelion》が単体で弱い)

C.単体除去耐性:★★★★★(《突然の死/Sudden Death》か《拭い捨て/Wipe Away》でない限り妨害できない)

D.墓地対策耐性:☆☆☆☆☆(《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》や《地の封印/Ground Seal》でない限り墓地対策で完全に止まる。そして墓地が除外されてしまった状態の《壊死のウーズ/Necrotic Ooze》は何もしない)


 20点中7点と総合的に見ると点数が低いコンボです。

 ですが、ほとんどの無限コンボに対して効果的だったクリーチャー除去による妨害が効かない事(除去に対応して更に《Phyrexian Devourer》の能力を起動していくことで除去が解決される前に対戦相手を蜂の巣に出来る)がこのコンボを採用する大きなポイントです。

 また、先ほどの2.のコンボは《生き埋め/Buried Alive》からの《犠牲/Victimize》か《生ける屍/Living Death》などの一気に2体以上墓地から釣り上げるカードでなければ一気に決めることはできませんが、このコンボは《再活性/Reanimate》など、1枚釣り上げるだけのカードでもフィニッシュする事が出来ます。そういった意味では《生き埋め/Buried Alive》と《再活性/Reanimate》などの釣り上げるカードの2枚コンボとも言えます。

 このコンボの弱点はただ一つ、墓地対策をもろに受けてしまう点です。これに関してはどうしようもありません。ただ、《壊死のウーズ/Necrotic Ooze》が場に出る前に墓地対策を起動して《トリスケリオン/Triskelion》か《Phyrexian Devourer》を追放しないといけないのでタイミングには注意しましょう。

 幸いにも《生き埋め/Buried Alive》+《再活性/Reanimate》で一気にコンボを揃えるには合計で4マナだけ必要なので、相手が墓地対策を初手に握っているのでない限りは最速で1~2ターン目に決めてしまえば妨害されることなく勝利できるでしょう。


4.《寺院の鐘/Temple Bell》+《精神力/Mind Over Matter》(+《荒廃鋼の巨像/Blightsteel Colossus》やエルドラージなど自動でライブラリーに戻るカード)

使用色:



A.コンボパーツの枚数:★★★★☆(3枚目の自動でライブラリーに戻るカードはデッキの中にあればいいので事実上《寺院の鐘/Temple Bell》と《精神力/Mind Over Matter》の2枚コンボ)

B.汎用性:☆☆☆☆☆(《寺院の鐘/Temple Bell》は起動すると対戦相手もドローできてしまうため、妨害手段をすぐに引かれやすくなる。《精神力/Mind Over Matter》はそれだけだとアドバンテージを失うだけで悪戯にヘイト値を上げるだけ。自動でライブラリーに戻るカードは基本的に重く、普通は出せない)

C.単体除去耐性:★★★★★(クリーチャーを一切用いていない。)

D.墓地対策耐性:★★★★★(《無限に廻るもの、ウラモグ/Ulamog, the Infinite Gyre》などのエルドラージだとライブラリーを修復する能力に対応して墓地を全て除外すると修復できなくなるが、《荒廃鋼の巨像/Blightsteel Colossus》などの置換能力もちなら関係ない)


 20点中14点の点数だけ見れば平均的なコンボ。


 《寺院の鐘/Temple Bell》でカードを引き、《精神力/Mind Over Matter》でカードを捨てて《寺院の鐘/Temple Bell》をアンタップさせて何度も起動して対戦相手をライブラリーアウトさせるコンボです。手札に余裕があれば対戦相手の土地を全て《精神力/Mind Over Matter》でタップさせてから始動するとより安全です。

 それぞれのパーツの単体での弱さが非常に際立ちますが、その反面妨害手段が限られ、一旦揃えば手がつけられないのが特徴です。

 アーティファクト破壊やエンチャント破壊でコンボパーツを破壊しようとしても、手札が潤沢であればそれに対応して更に起動して対戦相手をライブラリーアウトさせる事が出来ます。

 1枚で2マナ以上生み出せるパーマネント(旧ラヴニカのバウンスランドや《金粉の水蓮/Gilded Lotus》など)があると、《精神力/Mind Over Matter》を出し、2マナ以上生み出せるパーマネントをアンタップさせて《寺院の鐘/Temple Bell》を唱えて一気に勝負を決めにいけるので即効性もあります。



 このコンボを警戒するのは非常に難しいです。強いて弱点をあげるとすれば青マナを多く要求する事で、どうしてもマナアーティファクトに頼らざるを得ないので、それらを地道に破壊してマナベースを不安定にさせていくのが重要です。また、片方しか場に出ていないタイミングでちゃんと破壊するようにしましょう。《クローサの掌握/Krosan Grip》なら刹那のおかげで対応されることなく1枚でコンボを止めてくれます。

 そして、アーティファクトエンチャント破壊が効かないとはいえ、コントローラーがあまり手札の無い状態であれば、他3人が一気に破壊すれば対応する事が出来ずにそのまま妨害されてしまいます。コンボが揃ったからと言って安易に投了しないようにしましょう。もちろんデッキの中に対抗手段が無いorあってもプレイできる状態でないなら関係ありません。



5.《目覚ましヒバリ/Reveillark》関連

使用色:

 このコンボは多くのルートがあります。

《目覚ましヒバリ/Reveillark》+《霊体の先達/Karmic Guide》+生け贄手段

《目覚ましヒバリ/Reveillark》+《影武者/Body Double》+生け贄手段

《目覚ましヒバリ/Reveillark》+《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》+生け贄手段

《霊体の先達/Karmic Guide》+《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》+生け贄手段

《太陽のタイタン/Sun Titan》+《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》+生け贄手段

《太陽のタイタン/Sun Titan》+《蘇生の天使/Angelic Renewal》+生け贄手段

A.コンボパーツの枚数:★★★★☆(生け贄手段も含めれば3枚コンボだが互換パーツが多い)

B.汎用性:★★★★★(どのパーツも単体で脅威となり得る)

C.単体除去耐性:★★☆☆☆(《影武者/Body Double》を使う場合は追放除去でないと妨害できないので5点)

D.墓地対策耐性:☆☆☆☆☆(どのコンボも適切なタイミングで墓地対策を挟まれると何も残らなくなる)


20点中11~14点のコンボ。

 《目覚ましヒバリ/Reveillark》関連と一くくりにしてしまいましたが、《太陽のタイタン/Sun Titan》なども絡める事も出来るクリーチャー主体の無限コンボです。

 このコンボの強力な点はなんといってもコンボパーツ単体での強さです。

 《目覚ましヒバリ/Reveillark》、《霊体の先達/Karmic Guide》、《太陽のタイタン/Sun Titan》はそれぞれ制限があるものの自分の墓地から何かしらのパーマネントを釣り上げる事ができ、容易にアドバンテージにつなげる事が出来ます。《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》と《蘇生の天使/Angelic Renewal》は自分が一番守りたいクリーチャーから1回守る事が出来、しかも《目覚ましヒバリ/Reveillark》以外のルートならそれぞれのコンボ始動のタイミングで墓地にいても問題なくコンボスタートできます。

 また、《霊体の先達/Karmic Guide》+《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》のルート以外では生け贄に捧げるクリーチャーが比較的大型なので、生け贄手段として《よりよい品物/Greater Good》も採用出来る点も利点です。

 このコンボに対抗するためには単体除去はもちろん重要ですが、それだけでは《影武者/Body Double》ルートの時に完全に無駄カードになってしまう(追放除去の場合は除く)ので、墓地対策のほうが重要です。

 しかし状況によっては相手がそれを警戒して、例えば《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》を構えている相手に《太陽のタイタン/Sun Titan》だけで(墓地に《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》を落とさないように)毎ターンの攻撃時誘発型能力だけでアドバンテージを稼ぎながら戦闘を行っていたらそもそも勝負になりません。

 また、《太陽のタイタン/Sun Titan》と《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》を一網打尽にして安心しているところに更に《目覚ましヒバリ/Reveillark》+《霊体の先達/Karmic Guide》で同じように無限コンボを決められる、という事もざらにあります。
こういったコンボパーツの可変性や汎用性がこのコンボの強みです。



後編へ続きます
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