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「石田龍一郎の最新スタンダード解説」第2回 M14注目カードTOP10 
 
text by Ishida Ryuichiro

 どうもこんにちは、石田龍一郎です。今回はM14のカードの中でスタンダード環境に変化を与えるだろうと思われるカードランキングTOP10とそれらを使ったサンプルデッキについて書いていきたいと思います。

 まずは早速ですが、M14トップ10から


10位 《林間隠れの斥候/Gladecover Scout》

 再録かつ1マナ1/1呪禁と能力は地味ですが、スタンダードの呪禁バントの新たな相方候補。とにかく軽いので、魔女跡追いよりかはこちらの方がよりコンボに近い形の呪禁バントで活躍が期待できそうです。


9位 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》

 今まで《東屋のエルフ/Arbor Elf》では多色デッキの時に使いにくかった場面も幾度かありましたが、これによって3色デッキでマナクリーチャーが使い易くなりますね。


8位 《獣の統率者、ガラク/Garruk, Caller of Beasts》

 今回の新規PWの一つ。歴代のガラクと比べると性能はかなり違いますが、その大味な能力を軸にデッキを作ってみたくなる面白いカードだと思います。特に今はエルフデッキでの足回りとなるマナクリーチャー達と《エルフの幻想家/Elvish Visionary》等のカードが揃っており、かつそれらと相性が良いので何か期待したくなります。


7位 《テューンの大天使/Archangel of Thune》

 続けて今回の個人的期待枠その2。似たような全体強化カードの《ガヴォニーの居住区/Gavony Township》と比べてマナが不要な点で優秀。現スタンダードであれば《イニストラードの君主、ソリン/Sorin, Lord of Innistrad(》や《血の芸術家/Blood Artist》など白黒で相性の良いカードが多いです。


6位 《変わり谷/Mutavault》

 色マナの制約無く、たったの1マナで土地が2/2クリーチャーとして戦闘に参加できるのは強力。使うのならば、やはり多相であることを活かして人間シナジーなど部族を活かした構築を狙いたいですね。

 ただ、現状《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary》や《ボロスの反攻者/Boros Reckoner》など色拘束が強いカードが多いので、デッキに入れようとすると思った以上に制約されてしまうので注意。


5位 《破滅の刃/Doom Blade》

 再録でアンコモンに格上げ。《ボロスの反攻者/Boros Reckoner》をシングルシンボル・2マナ・インスタントタイミングで除去できるお手軽感は魅力的。現状ではクリーチャーの除去耐性の高いものが多く単体除去を過信することはできませんが、それでもこのカードが優れていることには変わりはないです。


4位 《ザスリッドの屍術師/Xathrid Necromancer》

 人間や生け贄のシナジーと合わさると強力で、単体でも3マナ2/2+死亡誘発で2/2トークン生成と十分な性能。現存する貴種系デッキの即戦力として申し分ないカードです。


3位 《燃え立つ大地/Burning Earth》

 先代の魔力のとげの亜種ともいえるカードで、アグロデッキのサイドボードには打ってつけの1枚。中~低速デッキは大抵3色以上なので、赤系のアグロデッキのサイドボードには今後必ず見かける1枚でしょう。使われる側のプレイヤーはサイドボードに何かしらの対策をする必要があるでしょう。


2位 《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》

 今回の敵対色対抗レアサイクルのなかで唯一アドバンテージが取れるこのカード。3マナ3/1威嚇のクリーチャーにハンデスの能力のオマケは十分すぎる性能。《スラーグ牙/Thragtusk》などの戦場にでると対処しづらいカードを先に抜きたいですね。その上ハンデスが追放なので、リアニメイトに対して非常に有効なのも嬉しい限り。サイドボード向けの能力に見えますが、単純なスペックが高いことからメインボードでの採用も検討できる1枚。


1位 《漁る軟泥/Scavenging Ooze》


 統率者セットからの再録という珍しいカードですが、レガシー以下の環境では実績のある1枚。2マナ2/2の性能に墓地対策に加えて自身の強化とライフゲイン。隙の少ない優秀な強力クリーチャー。



 M14全体で見ると単体のカードパワーが少し低くダウナー調整されている印象なのですが、それでも強力なカードは多いです。『取りあえず入れとけ』と思える分かり易い強さではなく、『特定のアーキタイプが使うor対策で輝く』と思える渋い強さのカードが多いように感じます。デッキ構築が楽しみに感じるカードばかりです。

 新デッキ構築の足掛かり用の叩き台として2つサンプルレシピを挙げたいと思います。
サンプルリスト:ジャンドミッドレンジ
25land
4《草むした墓/Overgrown Tomb》
4《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
4《血の墓所/Blood Crypt》
4《森林の墓地/Woodland Cemetery》
3《竜髑髏の山頂/Dragonskull Summit》
3《根縛りの岩山/Rootbound Crag》
2《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run》
1《魂の洞窟/Cavern of Souls》

17creature
3《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
3《吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk》
4《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells》
3《オリヴィア・ヴォルダーレン/Olivia Voldaren》
4《スラーグ牙/Thragtusk》

18spell
4《遥か見/ Farseek》
2《破滅の刃/Doom Blade》
1《化膿/Putrefy》
2《ミジウムの迫撃砲/Mizzium Mortars》
1《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
2《原初の狩人、ガラク/Garruk, Primal Hunter》
4《忌むべき者のかがり火/Bonfire of the Damned》
2《ラクドスの復活/Rakdos’s Return》
15sideboard
2《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》
1《漁る軟泥/Scavenging Ooze》

2《自由なる者ルーリク・サー/Ruric Thar, the Unbowed)》
2《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil(》
2《ゴルガリの魔除け/Golgari Charm》
3《火柱/Pillar of Flame》
1《地下世界の人脈/Underworld Connections》
1《強迫/Duress》
 今まで苦手であったリアニメイトへの対策として、漁る軟泥を取ることでメインボードから無理なく対応しやすくなったのが強み。サイドボードに生命散らしのゾンビを入れることによって更にリアニメイトへのサイドボードを増やせるようになったのも◎
 あとは対《燃え立つ大地/Burning Earth》用のサイドボードにゴルガリの魔除けを試してみました。
サンプルリスト:ジャンクラッツ
24land
2《ガヴォニーの居住区/Gavony Township》
4《神無き祭殿/Godless Shrine》
4《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel》
4《草むした墓/Overgrown Tomb》
2《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove》
4《寺院の庭/Temple Garden》
4《森林の墓地/Woodland Cemetery》

25creature
4《宿命の旅人/Doomed Traveler》
1《若き狼/Young Wolf》
4《復活の声/Voice of Resurgence》
4《カルテルの貴種/Cartel Aristocrat》
4《血の芸術家/Blood Artist》
4《スカースダグの高僧/Skirsdag High Priest》
2《縞痕のヴァロルズ/Varolz, the Scar-Striped》
2《テューンの大天使/Archangel of Thune》

11spell

4《悲劇的な過ち/Tragic Slip》
4《未練ある魂/Lingering Souls》
3《イニストラードの君主、ソリン/Sorin, Lord of Innistrad》
15sideboard
2《罪の収集者/Sin Collector》
4《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
2《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》

3《突然の衰微/Abrupt Decay》
2《強迫/Duress》
2《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council》
 現存の貴種デッキは赤白黒と白緑黒の2種類ありますが、今回はテューンの大天使をサブシステムにした形が目新しくて面白そうだったので白緑黒の形にしてみました。単体性能で言えば《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council》の方が強いでしょうが、貴種系デッキ特有のシナジーやコンボを意識しての採用です。《ザスリッドの屍術師/Xathrid Necromancer》と《変わり谷/Mutavault》を使う形も面白そうなので、貴種系デッキは幾つか試してみたいですね。


 M14では「新しいアーキタイプを組みたくなるようなカード」よりも「既存のデッキにこう組み合わせ易そうだな」と感じるカードが多かったように思えました。なので《テューンの大天使/Archangel of Thune》や《獣の統率者、ガラク/Garruk, Caller of Beasts》は主軸として組みたくなるタイプのカードで、そういったカードは貴重だと考えてランキングでは高めに評価してみました。

 今回は現スタンダードに与える影響という枠で考えたので、強そうだけどデッキタイプとして成立しにくいものや、同じマナ域で別の強力カードがあるカード等は評価はしていますが今回はランク外になっています。(《カロニアのハイドラ/Kalonian Hydra》や《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》など)特に《チャンドラのフェニックス/Chandra’s Phoenix》の評価はギリギリまで悩んでいました。最終的にはより速度の早いデッキの存在と、同じ3マナで現環境地上戦の王者とも言える《ボロスの反攻者/Boros Reckoner》の重要性からランク外にしました。




 それぞれカードに対する評価は違うと思います。そこで単純に強い弱いと判断するのでなく、何故強いと思うのか?強弱判断の基準にしているものは一体何なのだろうか?

 そういった視点で自他のカード評価を再考すると、他人との明確な考えの違いや意外な共通認識の発見などがあって面白いと思います。

 新セットの発売後はそういった議論がし易い良い時期なので、是非友人とM14の順位付けを楽しんでみてはいかがでしょうか?



 この記事が友人たちとの議論のネタに役立てば幸いです。
それでは、またの機会に―

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