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プロモアーカイブ 第5回 プロモーショナル・カード 
 

今回紹介するプロモは「プロモーショナル・カード」だ。一体何の話か?と思われるかもしれないが読んで字の如く。例えばジャッジ褒賞やFNMプロモでは、既存のカードがFoilになったりイラストが違ったりという「特別仕様」という形式のカード達である。これに対して、プロモーショナルのために完全新規で作られた連中・即ち初出がプロモであるというカードを、便宜上こう呼ぶのである。

これらのカードの一部は、マジックに関する小説の巻末に付属していたクーポンを、販売会社に送付するともらえるキャンペーンという形で配布されたため「ブックプロモ」という通称で呼ばれることも多い。早速それらのカードを順にみていこう。


《闘技場/Arena》《大アナグマ/Giant Badger》

小説「Arena」のキャンペーンで配布されたカードはこの2種類。《闘技場》は古い時代らしいマナのでない特殊能力オンリーの土地である。現在では「格闘」というキーワードでまとめられているこの能力の初出はこの土地である。後に「時のらせん」にてタイムシフト・カードとして、正規のエキスパンションに入ることとなる。そのため、プロモが初出でありながら日本語名が存在する1枚だ。
大アナグマも同じく、第8版に収録され日本語名が与えられた。この再録は、第8版がマジック10周年記念としてアングルード以外のすべてのセットからの再録という企画を行ったために選ばれたのだ。この流れで、彼は「ボックス・トッパー」と呼ばれる第8版のボックスに1枚封入されている大判カードにも採用される予定だったが、最終的には不採用になってしまった。


《Windseeker Centaur》

「Arena」以下、小説一冊につき1枚のプロモが配布されることとなる。5冊目では全てのプロモの中からランダムに選ばれた1枚が配布された。その小説2作目「ささやきの森」は邦訳されて日本でも販売されたが、残念ながら発売元がキャンペーンを行っている会社とは別だったためクーポンはついてこなかった。その「ささやきの森」のプロモがこのケンタウルス。意外なことに、マジック史上初のケンタウルスはこの1枚なのだ。今でこそ緑のクリーチャーの象徴的な部族ではあるが、当時はミノタウルスと同様に赤に割り振る予定だったのだろうか。
余談ではあるが、この小説には非常に多くのマジックのカードが登場している。興味がある方は読んでみてはいかがだろうか。


《Sewers of Estark》

続く3作目Shattered Chainsにて配布された1枚。カードとしては、色の役割が定まらぬ時代ならではの黒らしからぬ効果・重さの割に限定的な効果でしかないため、特筆するようなことは特にない。のだが、そのカードに書かれたテキストに曖昧な部分が多いため、ルールの変遷とともにオラクル訂正を受け続けており、全く見ることがないカードの割に4度ものオラクル更新を受けている。


《Mana Crypt》

今ではヴィンテージ、そしてなんといってもEDHで大人気の通称「マナクリ」は小説4作目Final Sacrificeのキャンペーンで配布された。この強力無比なマナ・アーティファクト、当時ゲームでは使えないことを承知の上で小説を購入した熱心なコレクター・マジックファンを、時を隔てて狂喜させる贈り物であったろう。

プロモーショナル・カードには、イベントでの配布を目的として作られたカードも存在する。近年では既存のカードのイラスト違いがメインだが、栄えある第1号は新規のカードであった。


《ナラスニ・ドラゴン/Nalathni Dragon》

アメリカにて行われたDragonConというイベントにて配布された小さなドラゴン。

このプロモ、配布されたイベントに参加できなかったファンからの苦情が殺到。

抗議の末にアメリカのマジック雑誌に付録としてつけられ比較的多くのプレイヤーが入手できるようになったという逸話がある。


一方日本では、入手方法がかなり独自のものだった。

日本語版「ミラージュ」初回生産分には《氾濫原》が含まれるべきロットに《水晶鉱脈》が含まれているという製品のミスがあった(パックを剥いても《氾濫原》が出てくることはなく、代わりに倍の《水晶鉱脈》が出現した)。

そのため、2枚の《水晶鉱脈》を販売元に送ると《氾濫原》と交換してくれるというキャンペーンを行っていた。

その際、オマケとしてつけられる形で配布されたのだ。

こういった問題が起こらなければどうやって配布される予定だったのだろうか、なかなか興味深い1枚である。
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